つい先日に放送されていた、明石家さんまがMCを務める『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)で、「変わりつつある日本の常識」なるテーマを特集。そのなかで、昨今の日本は
- 「バツイチ」のことを「マルイチ」
- 「ニート」のことを「レイブル」
- 「貧乳」のことを「シンデレラバスト」
……と呼ぶようになってきた……と紹介していた。
「マルイチ」は「離婚をもっと前向きに捉えよう」といった発想から「バツ(=×)」を「マル(=○)」へと変えたものらしい。
「レイブル」は「レイトブルーマー(late bloomer)」の略語で、直訳すれば「遅咲き」。就労に意欲的であるニート状態の人たちに対して、ネガティブなイメージが定着してしまった「ニート」の言葉を使うのはやめよう、ということで大阪府によって提唱されたらしい。
あと「シンデレラバスト」とは、「シンデレラが履いたガラスの靴はサイズが小さすぎて他の女性は誰も履けなかった」というエピソードから、ミニサイズのものを「シンデレラサイズ」と呼ぶことにちなんで、いわゆる「貧乳」の「貧」というネガティブな響きのある文字を省き、「シンデレラ」+「バスト」と英語で言い換えたものらしい。
揶揄的な表現をことごとく排除していくこういった試みは、いかにも現在の先進国社会的な風潮である。そして、同番組に出演していた脳科学者の一人が、
「ちまたに出回っている言葉をなんでもかんでもポジティブにアレンジしてしまったら、脳が反省をする機会が無くなってしまう」
……みたいな警鐘を鳴らす発言をしていた。
「これからの人生を真っ当に生きたい」と切実に願っている非就職者であり非就学者ででもあり職業訓練をも受けていない者を「ニート」の一言で差別化したり、反省のしようがない生まれついての「豊満さに欠ける乳」を一方的に「貧」のレッテルを貼る行為に対して、抗いの姿勢を見せる言論運動(←大袈裟?w)は、それなりの意義もあるだろう。が、たしかに「バツイチ」を「マルイチ」とするのは、さすがに「あまりにもポジティブすぎ」だと私も感じた。
そりゃあ、一度結婚に失敗しただけで、すべての不幸を背負ったかのごとく卑屈になる必要は一切ない。けれど、「離婚」はやはり「パートナーの選び間違い」、つまり「失敗」であったのは純然たる事実であって、そこは“無きもの”として「○」とせず、素直に受け入れて「失敗の原因」を冷静に分析するくらいの“苦行”はみずからに課し、次こその“幸せな結婚”に繋げていくべきなのではなかろうか?
まあ、「マルイチ」なんてインパクトの薄い造語が「バツイチ」に取って代わった“近い将来”を私はまったく想像できないのだけれど、もし万一、合コンだとか飲み会で出会った女性が「アタシ、マルイチで〜す」と浮かれた調子で自己紹介でもされたら、正直ちょっと引いてしまう気がする。
私は「離婚歴アリ」という戸籍の汚れ具合──拭いようのないシミのような“過去の粗相”をも含めて、相手を100%好きになりたいのだ。