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なぜ「ASKA」人気は続くのか? 覚せい剤、不倫、離婚…度重なる不祥事を経ても支持される理由


出典:「FUKUOKA ASKA」YouTubeより


歌手のASKAさんが約5年ぶりの全国ツアー開催を発表した。ASKAさんといえば記憶に新しいのが2013年からの覚せい剤取締法違反など度重なる不祥事。不倫発覚、離婚なども重なり、イメージ的には並のタレントやミュージシャンなら二度と浮上できないほどのダメージを受けたはずだ。



 



しかし、2016年末にYouTubeで新曲『FUKUOKA』を公開すれば再生回数200万回を超える大反響。



 





『FUKUOKA』を収録したアルバム『Too many people』もオリコン週間ランキングで最高7位にくいこむなど上々の成績を記録している。そして満を持して今回の全国ツアー。以前にも増す勢いで着々と完全復帰への道のりを歩んでいるASKAさんの人気の理由はどこにあるのだろうか。



 



 



■記録にも記憶にも残る音楽的実績、才能



 



今、30代以上の方なら人生のどこかで必ずASKAさんの音楽にふれたことがあるはずだ。



 



『SAY YES』『YAH YAH YAH』などCHAGE and ASKAのスーパーヒット曲はもちろん『はじまりはいつも雨』などのソロ曲、『パラダイス銀河』などアイドルやシンガーへの提供曲……。1970年代末から1990年代にかけて、記録にも記憶にも残る数々の名曲を手がけたASKAさん。



 



その作風は幅広いが、女性的とまで思える鮮やかで細やかな感情描写と、それを大勢の共感に導けるポップセンスの共存は他に真似のできないところだ。独特の泥臭さから“フォーク演歌”と呼ばれたデビュー曲の『ひとり咲き』からして、アマチュアにもかかわらず、当時の音楽シーンを分析していかに注目されるかというマーケティンングの末に作ったという。



 



流行や商業的ポイントを押さえながら、真に芸術たりうる楽曲を作ることができる、日本音楽史上まれに見る天才と言っていいだろう。



 



 



■CHAGEさん曰く「ASKAは太陽」



 



そんなASKAさんの支持者は音楽界、芸能界にも数多い。



 



玉置浩二さん、田中昌之さん、岩崎宏美さんらは前述した不祥事の前後も公然とASKAさんに寄り添った立場であることを表明していたし、山口百恵さん、星野源さんなどファンであるとか影響を受けたということが知られている方は枚挙にいとまがない。才能は才能を惹きつけるのだろう。



 



長年の相棒であるCHAGEさんはエッセイ集『月が言い訳をしてる』(幻冬舎 1994年)で



 




太陽の役目に比べれば月の役目は小さいものです。でも、僕は夜道を照らす月でいたい。見上げた人だけがわかる月でいたい。そして忘れていけないのが、毎日形の変わる気まぐれな月も、太陽の光を受けて輝いているということです




 



と自らを月に例えて、ASKAさんの偉大さを表現している。知らない人がよく勘違いしているが、CHAGEさんはけっしてASKAさんの添え物ではなく、才能にあふれ独自のヒット曲も持つ堂々たるアーティストだ。それほどの人が「彼は太陽」と認めてしまえるほどの凄さがASKAさんにはあるのだ。



 



 



■社会意識があるアーティストだった



 



ASKAさんを評価する上でもう一つ重要な要素がある。それは社会意識の強いアーティストであると言うこと。



音楽配信の普及が音楽業界に大きな危機を与えていることは以前にも『Spotify、Apple Music…「サブスクリプション」音楽サービスのアーティスト側の収益は想像以上に低かった』というコラムでお知らせしたが、ASKAさんも現在の音楽業界に危機感をおぼえ、2017年にアーティストに正当な利益が還元される音楽配信サービス『Weare(ウィアー)』を立ち上げた。



 



はっきり言って、すでに功成り名を遂げたASKAさんがわざわざ身銭を切ってしなければいけないことではない。もっと若い世代のアーティストこそ自分たちのために立ち上がらなくてはいけない問題なのに、あえて後世の音楽界のために大御所の自ら先陣を切ったのだ。



 



ASKAさんは1993年にも厚生省の少子化防止キャンペーンを受け、小田和正さん、玉置浩二さん、徳永英明さんら七人のスターが結集するチャリティ企画『USED TO BE A CHILD』のまとめ役を引き受けている。時代の変化に流されたり、自らの利益だけを考え保身に走るタイプのアーティストではない。音楽を通していかに社会に善い関わりを作れるか模索してきた。そんな人柄だからこそ、たとえ不祥事があっても許され得るのだろう。



 



 



■アーティストは正義の具現者ではない



 



いろいろ理屈めいたことを並べたが、ここから先はまったく僕の私見。そもそもミュージシャン、アーティストというのは社会的常識や正義の具現者として存在するわけではない。



 



けっしてASKAさんのことではないが、人格的にとんでもない人間がとてつもなく優れた芸術作品を生み出し、大きな感動や癒しを生むことは往々にしてある。犯罪を犯した人が個人として責められるのは仕方がないが「坊主憎けりゃ袈裟まで」とそのアーティスト性までおとしめられてしまうのは、いささか子どもっぽすぎると思うのだ。



 



結局僕が言いたいのは、ASKAさんは日本の音楽界にとってかけがえのない存在だということに尽きる。今回の全国ツアーを機にASKAさんの音楽が広く再評価され、公に復権することを願うばかりである。


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