歴史や自然、文化にアートまで魅力たっぷりのサウジアラビア。かつてはイスラム教徒の巡礼など限られた外国人しか入国が認められず、多くの人にとって見果てぬ夢であったサウジアラビア旅行が、いよいよ現実に!これまで神秘のベールに包まれてきた憧れの地だけに、近年訪れる旅行者が急増しています。
とはいえ、メジャーな旅行先に比べると観光情報はまだまだ少ないので「行ってみたいけど何をしたら良いか分からない」と思う方も多いでしょう。 せっかく訪れるなら中東ならではの体験を想う存分満喫しませんか。
本記事では、サウジアラビアを訪れるなら見逃せないポイントを分かりやすくまとめています。
新時代の冒険へ、いざ出発!
写真提供:サウジアラビア政府観光局
Marhaba(マルハバ)
中東やイスラム圏を訪れると必ず耳にするこの挨拶は、アラビア語で「こんにちは」を意味します。これは歓迎の意が込められたもので、私たち旅人を温かく迎えます。
サウジアラビアは古来より多くの旅人を受け入れてきました。これまではイスラム教の巡礼を目的とする渡航がメインでしたが、2019年9月の観光ビザ解禁を機に外国人でも宗教信仰を問わず、誰でも入国できるようになりました。
先進的なグローバルディスティネーション
写真提供:サウジアラビア政府観光局
目指すは年間観光客数1億人!サウジアラビア政府は革新的な国家戦略「ビジョン2030」を目標として掲げ、日々変革を遂げています。
2023年には首都リヤドの国際空港を中心とした巨大ハブ化構想が正式に発表され、世界の注目を集めています。サウジアラビアに世界最大のハブ空港が完成し、日本から直行便が就航する日もそう遠くはないでしょう。
また、サウジアラビア北西部で進行中である
「NEOM(ネオム)」
はテクノロジーとイノベーションにより人類の進歩を加速させる、
前代未聞の未来都市プロジェクト
。まさに、人類は21世紀最大の文明開化を目の当たりにしています。
今こそ行きたい、サウジアラビアの旅
写真提供:サウジアラビア政府観光局
近い将来、目覚ましい発展が期待されるサウジアラビアですが、正式に観光客を迎え入れて間もない今この瞬間は観光に訪れるチャンスでもあります。
「百聞は一見に如かず」と言いますが、先入観を取り除いて五感を満たせば、きっと真のサウジアラビアが見えてくるはず。
写真提供:サウジアラビア政府観光局
旅先で出会う人の優しさ、異国情緒あふれる街の雰囲気、スークに漂うスパイスの香り、人生で初めて口にする食べ物の美味しさ、そして心奪われる絶景。これらはすべて言葉で言い表せるものでなく、ひとつとして同じではありません。
サウジアラビアでは、どんな体験があなたを待ち受けているのでしょうか。
ここでは旅気分を盛り上げる非日常的な体験をご紹介します。
本場アラブのおもてなしを体感
写真提供:サウジアラビア政府観光局
サウジアラビアに到着したら、まずはサウジコーヒーを飲んでホッとひと息つきましょう。
これは「カフワ(Qahwah)」と呼ばれるアラビアコーヒーの一種です。スパイスの香り漂うオレンジジュースのような見た目はインパクト絶大!初めて見る人は恐らく、コーヒーであると認識するまで少し時間がかかるかもしれません。
黄色の正体はスパイスの女王である、カルダモン。国土の広いこの国では地域ごとに焙煎の好みからスパイスの組み合わせ、配合まで異なるので、ぜひ飲み比べてみてください。
写真提供:サウジアラビア政府観光局
コーヒーのお供はデーツが定番です。これはナツメヤシの実を乾燥させたドライフルーツで、クレオパトラも愛したといわれる果実。
栄養価の高さからスーパーフードとして近年話題を呼んでいます。非常に甘いので、単品で食べるよりもコーヒーと一緒に嗜むのがおすすめです。
美味しい伝統料理を堪能
写真提供:サウジアラビア政府観光局
その土地ならではのグルメを食べるのは、旅の楽しみのひとつ。
サウジアラビアを含む中東料理はあまり馴染みがないという人が多いかもしれませんが、食材は米や小麦、鶏肉、羊肉など日本人に馴染みのあるものばかり。
唯一異なるのは香辛料などのスパイスがふんだんに使われているという点ですが、唐辛子など辛味の強いものはほとんど使用しません。そのため、辛い物が苦手な人でも安心して楽しむことができます。
サウジアラビアの名物料理「カブサ」
写真提供:サウジアラビア政府観光局
お肉と野菜をスパイスやヨーグルトで味付けしてお米と一緒に炊き上げた、サウジ流炊き込みご飯です。結婚式などの祝い事や大きなイベントに欠かせないご馳走です。
本場サウジアラビアでは複数人で大皿を囲んで、会話を楽しみながら食べるのが一般的なのだそう。もはや「国民食」といっても過言ではありません。
中毒性のある絶品スイーツ「クナーファ」
Photo by VELTRA
サウジアラビアを含む中東諸国で親しまれる伝統菓子。セモリナ粉と水で出来た生地にバターをたっぷり混ぜ込んで香ばしく焼き上げた生地にピスタチオを散らしたもので、シロップをかけて食べます。地域によって作り方が異なるのですが、筆者はフレッシュチーズが入ったクナーファ(Knafeh)の大ファンです。
賞味期限は5分くらいが妥当でしょうか...というのも、クナーファは焼き立てが一番美味しいのでぜひ出来立てを味わっていただきたいです。中毒性のあるスイーツなので、食べすぎには注意してくださいね。
民族衣装を着て街歩きを楽しむ
写真提供:サウジアラビア政府観光局
サウジアラビアでは素敵な民族衣装に身を包んだ人々とよくすれ違います。男性用は「トーブ(ソーブ)」、女性用は「アバーヤ」と呼ばれる伝統的な衣装を日常的に身に着けています。
これはイスラム教の戒律に従ったもので正装として親しまれています。実際に現地に行くと全身黒い衣装を着た女性の割合の高さに驚くでしょう。「女性に服装の自由がない」と感じるかもしれませんが、自ら選んで着ている女性が多いのだとか。
写真提供:サウジアラビア政府観光局
街行く人々を観察してみると、肌の露出は控えながらもそれぞれ個性あるファッションを楽しんでいる様子がうかがえます。男性は基本的に白一色ですが、女性は好きな色が選べたり、可愛い刺繍が施されていたりとセンスのあるアバーヤも販売されているので、旅行のついでに現地のオシャレを楽しんでみませんか。
素敵なアバーヤを着こなせば、流行に敏感なサウジ女子に「それ、どこで買ったの?」と声を掛けられるかもしれませんね。
スークでショッピング
写真提供:サウジアラビア政府観光局
スークは日用品や生活雑貨から伝統工芸品まで、様々なものが集う市場です。サウジアラビア各地には至るところにスークが点在し、特徴がそれぞれ異なります。
トーブやアバーヤといった民族衣装もスークで購入できます。場所によって値段は異なりますが、首都リヤドならトーブが70リヤル(約2,715円/2023年8月時点)、アバーヤは200リヤル(約7,756円/2023年8月時点)が相場です。
中には値札が付いていないものが紛れていますが、値段を聞けば親切に教えてくれます。
写真提供:サウジアラビア政府観光局
旅慣れた方はぼったくりを心配するかもしれませんが、サウジアラビアでは滅多にありません。本当は無いと断言したいところですが、不安な時は無理に値段交渉をせず違う店をチェックしてみると良いでしょう。
可愛いアラビア雑貨や香水、デーツのお菓子などお土産にぴったりなアイテムを手に入れるなら、訪れてみて損はないですよ。
モスクのガイドツアーに参加してイスラム文化への理解を深める
写真提供:サウジアラビア政府観光局
イスラム教の発祥地であるサウジアラビアを訪れるなら、宗教への理解は欠かせません。サウジアラビア国内には約94,000ヵ所のモスク(礼拝所)があるといわれていますが、基本的に異教徒の立ち入りはNGとなっています。
とはいえ、一部のモスクでは非イスラム教徒を対象にガイドツアーを開催しているので、イスラム教の文化に興味のある方は参加してみてはいかがでしょうか。
イスラム教はキリスト教および仏教と並ぶ「世界三大宗教」のひとつなので、ご自身の教養と宗教への理解を深めるためにもきっと有意義な体験になることでしょう。
イスラムアートの世界観を堪能
写真提供:サウジアラビア政府観光局
アートがお好きな方はぜひ建造物の天井や壁面に注目してみてください。特にモスクは素敵なデザインが施されたものが多く、緻密な幾何学模様やカリグラフィーが目を惹きます。
イスラム様式を取り入れた建築は、アッラー(神)へ捧げるための 美 を一貫して追求しているのが特徴です。
写真提供:サウジアラビア政府観光局
イスラム圏では偶像崇拝を禁じる代わりに植物、幾何学、そして文字をモチーフにした主に3種類の装飾が発達しました。スペイン南部や南フランスなどオスマン帝国(トルコ)の侵略を受けたことのある国ではキリスト教の教会にも関わらず、これらの装飾が施されていることがあります。
このような特徴は、あえて意識を向けてみるとなかなか面白いものです。
砂漠を駆け抜ける高速列車に乗ってみる
Photo by VELTRA
日本の9倍あまりの国土面積を誇るサウジアラビアを旅するなら、高速鉄道を利用するのがおすすめです。時間を節約するなら国内線を利用するのも良いですが、空港までの移動やチェックインが面倒な人も多いはず。
ホテルから空港まで移動するためのタクシー代を考慮すると、少しお金を足すだけで高速鉄道に乗れてしまうので、鉄道をうまく利用しながら時間とお金を節約しましょう。
古くは巡礼者が何日もかけて歩いたであろう道をたったの数時間で移動できるのは、やはり現代人ならではの特権。路線はサウジアラビア南部を除く主要都市を網羅しているので、長距離でも短時間で快適に移動できます。
高速列車なら、ジェッダからメディナまで最短1時間48分でアクセス可能。時刻表も2時間に1本のペースなので日帰りでも十分楽しむことができます。
ヒジャーズ鉄道の軌跡を辿る
写真提供:サウジアラビア政府観光局
ちょっとユニークな体験をするなら、ヒジャーズ鉄道の路線を辿る旅なんていかがでしょうか。
この鉄道は今から100年以上前にダマスカスとメディナ間で運行していたもので、シリア、ヨルダン、サウジアラビアの3国を結ぶ総延長 1,302kmにわたる壮大な路線を誇りました。
建設が開始されたのは1900年、完成には8年もの歳月を要したにも関わらず、その数年後に発生した第一次世界大戦(1914〜1918)中にアラブ人たちによって破壊されるという数奇の運命を辿った鉄道として知られています。現在、ヒジャーズ鉄道の軌道を使用するのは ヒジャーズ・ヨルダン鉄道 および アカバ鉄道の2路線のみ。
写真提供:サウジアラビア政府観光局
結局のところ、サウジアラビア側の路線は放置されたまま現在に至ります。砂漠に取り残された駅舎や汽車、線路は自由に見学することができます。一部ではヒジャーズ鉄道に特化したツアーも催行されているので、気になる方は要チェックです。
不朽の名作「アラビアのロレンス」の映画ファンは独特な世界観を味わいに、コアな鉄道ファンは100年前の列車旅に思いを馳せる。21世紀のヒジャーズ鉄道は皆さんの想いを乗せて、今日も「古き良き時代」へと誘います。
世界遺産を巡って歴史を学ぶ
写真提供:サウジアラビア政府観光局
2023年8月現在、サウジアラビアでは6つの場所が世界遺産に登録されています。
これから登録が期待される候補地を含めるとさらに10ヵ所以上あり、世界遺産の数は今後も増え続ける見通しです。サウジアラビアの遺跡はヨルダンやバーレーンをはじめとする周辺の国々との歴史の繋がりが深いので、これらの国を訪れた人にもぜひ訪れていただきたいです。
写真提供:サウジアラビア政府観光局
これまでに中東方面に旅行したことがある人はサウジアラビアを訪れることによって、歴史や文化の面で共通する部分に気付いたり、過去の記憶を結び付ける「点と点を繋ぐような感覚」が楽しめるでしょう。
もちろん、中東初心者でも安心して観光できる旅行先なので、ここを入口として中東での冒険を満喫しましょう!異国情緒漂う趣は不思議な居心地の良さを感じさせます。
サウジアラビアの世界遺産
アル=ヒジュルの考古遺跡(マダイン・サーレハ)
ディルイーヤのツライフ地区
メッカへの入り口、歴史都市ジッダ(ジェッダ)
サウジアラビアのハーイル地方の岩絵
アハサー・オアシス、進化する文化的景観
ヒマー・ナジュラーンの文化的岩絵群
大自然を遊び尽くす
写真提供:サウジアラビア政府観光局
サウジアラビアの自然は砂漠はもちろん、海や山、緑豊かなオアシスまで多様性があるのが特徴です。
ふかふかの砂丘でバギーを遊んだ後は、黄金色の砂漠で夕日を観賞し、日が沈んだら友人や家族とキャンプファイヤーを囲んで歌い、そして眠りにつく頃には満点の星空。たった1日だけでもこんなに贅沢な体験が叶います。
写真提供:サウジアラビア政府観光局
翌日は紅海沿いに移動して、シュノーケリングやダイビングでカラフルな海の世界を堪能。レストランで新鮮なシーフードをお腹いっぱい食べるのも良いですね。そこから少し移動すれば、ハイキングが楽しめる山岳地帯や温泉にだって行ける。
こんな贅沢な体験が一度の旅行で実現できるのも、サウジアラビアならでは。
もっと自由に、もっと気軽に。
写真提供:サウジアラビア政府観光局
2030年に向けて急速な発展を遂げる、サウジアラビア。
近い未来には高さ1,000mを超える超高層ビルや巨大なアート建築「ムカーブ」、世界最大規模の公園をはじめ、世界を驚かせる見どころが続々と誕生する予定です。
もちろん将来的にも楽しみですが、
今しかないサウジアラビアの姿
があるのも事実。本記事では「行きたい!」と感じる今この瞬間の気持ちにフォーカスした旅の楽しみ方をご提案しました。
サウジアラビアへ旅行する際はぜひ参考にして、良い旅をお過ごしください。
https://www.veltra.com/jp/mideast/saudi_arabia/?sid=1554
VELTRA
余暇プランナー
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