海外旅行や海外出張で必須となるのが通信環境の準備。
ポケットWi-FiルーターやSIMカードが主流と思われますが、皆さんは"eSIM"のサービスをご存知でしょうか。
インターネット上のみで契約が完了し、自分のスマートフォンをそのまま海外で使用できる大変便利なサービスのため、日本のキャリアでも急速に普及しています。
この記事では、eSIMとは何であるのか、メリット・デメリット、eSIMサービスが利用できる通信会社などについて徹底解説します。
そもそもeSIMってなに？
eSIM（Embedded Subscriber Identity Moduleの略）とは、スマートフォン本体にあらかじめ埋め込まれた本体一体型のSIMのことをいいます。
2021年ごろから日本国内のキャリアでも続々とサービスが開始された新しい選択肢で、物理的なカードがなくなり、自分でカードを差し替える手間、SIMカードを受け取りに行く（届くのを待つ）手間が省けるのが特徴のひとつ。
インターネット上で契約が完結し、いつも使っているスマートフォンをそのまま海外で使用することが可能です。
その他、契約時の利便性の向上や複数の通信会社を同時に契約できるなど様々なメリットが生まれました。
詳細については、これ以降の章で詳しく解説いたします。
eSIMのメリットについて
eSIMについての基本的な知識を踏まえ、ここではeSIMを利用するメリットについて解説します。
物理的なSIMカードが不要
eSIMはデジタルデータとして管理されているため、物理的なSIMカードがありません。そのため、スマートフォンのバッテリカバーなどを開けて、SIMカードを入れ替えると言った作業が不要です。従来の物理SIMカードを利用していた際は、飛行機に乗った後に入れ替えの作業をしたりといった光景がよく見られました。eSIMを活用すれば、狭い機内で作業をして、普段使っていたSIMカードを失くしてしまったといったトラブルからも解放されます。
オンラインでいつでも契約ができる
eSIMを利用する際は、インターネットから手続きができる通信事業会社がほとんどです。物理SIMの受け渡しもないため、手続きがすべてオンライン上で完結します。急な旅行や出張の際も、自宅から空港まで向かう電車の中で手続きができる点は非常に利便性が高いです。支払いに関してはクレジットカードで行うのが一般的なため、カードの用意だけはしておきましょう。
複数の通信会社を簡単に切り替えられる
利用するスマートフォンの機種によっては、デュアルSIMに対応したモデルがあります。デュアルSIMに対応していると、複数のeSIMを同時に使うことが可能で、電話とデータ通信で利用する通信会社を分けるといった使い方が可能です。また複数の会社と契約をしておくことで、どちらかの回線が不安定な場合でも、安定した通信環境の確保を実現できます。ご自身のスマートフォンがデュアルSIMに対応した機種であるかは、メーカーの公式サイトなどでご確認をお願いします。
端末本体のバッテリーだけで利用できる
eSIMはモバイルWi-Fiとは異なり、スマートフォンのバッテリーのみで作動するため、利用に際して充電を気にする必要がありません。充電が不要なため、それに付随する充電器やケーブルなども不要。できるだけ荷物を減らして旅行へ行きたいと考えている人には大変便利です。
機器の返却や受け渡しの手間が不要
前述の通り、eSIMはデジタルデータで管理されるため、物理的な物の受け渡しなどは一切不要です。海外旅行用にモバイルWi-Fiをレンタルする際の、郵送での受け渡しや返却といった作業が煩わしいと考えている人は、ぜひeSIMを活用してみてください。
日本で事前に申込手続きができる
海外SIMカードは、旅先に着いたときに空港などで購入することもできます。その一方で、契約の際に日本語が通じない、設定方法がわからない等といったトラブルに見舞われる可能性もあります。記事の後半で紹介する、eSIMを販売している会社を利用すれば日本国内で申し込みや手続きができるため、このような心配は不要。サポート体制もしっかりとしているところが多いので、eSIM初心者でも安心して利用ができます。
eSIMのデメリットについて
メリットの次はデメリットについても合わせて解説します。
eSIM対応のデバイスでなければ利用できない
eSIMは比較的新しい規格のため、eSIM対応機種でなければ使用することができません。契約の申し込みを行う前に、ご自身のスマホが対応しているのかしっかりと確認をしておきましょう。日本国内で人気のiPhoneであればiPhone XS・iPhone XS Max・iPhone XR以降に発売された機種がeSIMに対応しています。また契約内容によっては、携帯電話会社にてeSIMの利用開始前に「SIMロック解除の手続き」も合わせて必要になる場合があります。
なお、eSIMは契約情報などをスマートフォンの端末に直接保存するため、契約後は端末の変更はできません。
複数人での同時利用はできない
eSIMは、利用する端末ごとに回線の契約が必要です。そのため、Wi-Fiルーターのように1台で複数人が利用するといった使い方には対応ができません。家族旅行やグループ旅行など利用する人数が多いときには、どちらがお得か比較をしてみる必要があります。一方でWi-Fiルーターも複数人で同時接続をすると、通信速度の低下などが起こります。LINEやメールなどのテキストベースの利用ではなく、動画なども旅先で快適に楽しみたい場合は、端末ごとにeSIMを契約するのがおすすめです。
海外で使えるeSIMを取り扱うおすすめ事業者
ここからは、実際に海外eSIMを取り扱う通信事業者や料金体系について解説します。
ベルトラでも続々販売しているので、海外旅行の際はご検討ください。
Trip Roaming
海外で使用できる便利なデータ通信専用プリペイドeSIMの販売です。
スマートフォンやタブレットなど、ご自身が今使っている端末にインストールするだけで、現地で通信可能になります。eSIM設定に必要なQRコードはメールで送られてくるので、郵送での受け取りや返却は一切不要です！旅程に合わせられるよう様々なプランをご用意しているので、ぴったりなものがきっと見つかるはずですよ。
- 2日間（1GB）プラン：309円
- 7日間（3GB）プラン：1,097円
- 15日間（5GB）プラン：1,359円
- 30日間（20GB）プラン4,017円
https://www.veltra.com/jp/hawaii/oahu/p/16571?sid=1554
※上部「取り扱いエリア」よりご自身の渡航先をお選びください。
DDM（きもちeSIM）
海外で使用できる便利なデータ通信専用プリペイドeSIMの販売です。
日数と容量は、希望に合わせて選択可能です。さらに無制限プランもご用意！料金を気にすることなく気軽に通信を利用できます。また、こちらも設定に必要なQRコードはメールでお送りするので郵送でのやり取りやカウンターに立ち寄ることも不要です。さらに、LINEで問い合わせができる安心サポート付きなのも魅力です。
- 毎日500MB：428円
- 毎日1GB：644円
- 毎日2GB：874円
- 無制限プラン：1,780円
https://www.veltra.com/jp/asia/korea/seoul/p/16825?sid=1554
※上部「取り扱いエリア」よりご自身の渡航先をお選びください。
Airalo
シンガポールを拠点にeSIMに特化したサービスを提供している会社が「Airalo」です。200以上の国や地域で通信が可能で、申込みは携帯電話の専用アプリを利用して完結できる手軽さが人気を集めています。海外SIMの種類は、単一国で使えるeSIM、アジア・ヨーロッパなどエリアで使えるeSIM、126カ国で使用ができるeSIMと3種類を用意しています。また、Airaloでは音声通話が可能なプランも利用可能。主要な国の料金プランは以下のとおりです。
- 韓国：32ドル（無制限／10日）
- 台湾：4.5ドル（1GB／7日）
- ハワイ：4.5ドル（1GB／7日）
Airaloでは国によって、10日間や30日など長期滞在プランも用意されています。長期出張や留学などで利用するのもおすすめです。
購入～使用開始～利用解約の流れについて
最後に、eSIMの利用開始から終了までの流れについて解説します。手続き方法は利用する会社により若干異なりますが、大きな違いはありません。今回は、上記で紹介したDDM（きもちeSIM）を例に上げて解説します。
- 利用する端末がeSIMに対応しているかを確認します。SIMロックが解除されたSIMフリー端末であるかも合わせて確認しましょう。
- Webサイトから契約プランを選択してください。利用する国や地域、利用ができるデータ容量により価格は異なるので、自分の目的に適したものを選びましょう。
- 設定用QRコードをメールで受信。ご利用に必要な情報をお送りします。
- 受信したQRコードと説明書を確認し、ガイドに沿って利用する端末の設定を行います。
- ご利用開始！設定確認後、通信開始となります。
利用を終了する際には、通信会社への連絡などの手続きは不要です。帰国後は日常使っている国内回線へ切り替えを行ってください。
MB／GB数の利用目安
eSIMの契約プランには500MB／1GB／3GB／5GB／20GBなど様々な容量プランがあります。
契約前に、自分が1ヶ月におおよそどのくらいの容量を使用しているか調べてからプラン選択をしましょう。また、出張で海外に行く場合には、現地でどのような業務内容やウェブ会議があるかを予め把握し、余裕を持ったプランで契約することをおすすめします。
1GBでできること
- Webページ（Yahoo!などのニュースサイトなど）の閲覧：約6,600回
- メール（添付ファイル込）：約2,000通
- メッセージアプリでのインターネット電話：音声通話：約55.5時間／ビデオ通話：約3.3時間
- YouTubeでの動画鑑賞：1.4時間
4泊5日の海外滞在目安
- Google検索、メール、LINEメイン：1GB
滞在中に軽い調べものをする、メールやLINEで連絡を取る程度であれば1GBで十分でしょう。動画視聴やビデオ通話、データアップロードはGB数を消費するのでご注意ください。
- 動画視聴、データアップロードなども使用する：5GB
休憩時間に動画を見たい、ビデオ通話もする場合があるなど、データの消費が予測される場合には5GBほどあると安心でしょう。
- ビジネス利用や動画視聴を長時間する予定：無制限
ビジネスでは、予定外の通話、ビデオ会議が発生する可能性もあります。また、データアップロードや容量の大きいメールのやり取りも発生する場合があるため、無制限プランにすると安心です。
また、ホテルやカフェなどのWi-Fiが利用できる場合は、eSIMのデータを利用せずWi-Fi通信にこまめに切り替えるとeSIMデータをセーブできるので意識してみるといいでしょう。
手軽に海外での通信環境を確保するなら、eSIMを利用するのがおすすめ
eSIMの基本情報やメリット・デメリットについて解説しました。
eSIMはオンラインのみで、申込や利用開始の手続きが完了する手軽さが最大の魅力です。また充電器やケーブルなども不要のため、荷物を減らしたい旅行の際にも嬉しいポイントです。
eSIMは2021年以降に本格的なサービスが始まった比較的新しいサービス。これから海外旅行を検討されている方は新しい選択肢の一つとしてご利用を検討ください。
出典・参考
Tak
余暇プランナー
元旅行会社勤務のトラベルライターです。プロならではの視点で全国各地の魅力やおすすめスポットを紹介しています。 国内・海外問わず旅行が大好きで、世界遺産やローカルフード巡りを楽しんでいます。
