シイタケは和食や洋食など、さまざまなジャンルの料理に使用できるため重宝される食材のひとつ。そんなシイタケの主な栄養素は、1日の摂取量のうちどのくらい摂取できるのかをくわしく解説!干しシイタケとの比較、効率よく栄養を摂る方法、レシピも紹介します。
シイタケに含まれる栄養と効果を解説!
シイタケは主に食物繊維、ビタミンD、葉酸を多く含んでいます。
ここでは、それぞれの働きに加えて1日の摂取量の基準と生シイタケと干しシイタケ3つ分の量を比較します。
便通を整える「食物繊維」
シイタケには食物繊維(不溶性食物繊維)がきのこ類のなかでも特に豊富に含まれています。
食物繊維は、胃腸で水分を含むことにより大きく膨らみ、腸を刺激することで排便に必要な腸のぜん動運動を生み出してくれます。これによって、便通が通りやすくなるのです。
食物繊維の1日の目標量は成人男性21g以上、成人女性18g以上とされています。では、生・干しそれぞれのシイタケ3つ分の量ではどのくらいの食物繊維が摂取できるのかみていきましょう。
シイタケの食物繊維量
生シイタケ 3つ分(60g):2.9g
干しシイタケ3つ分(15g):7.0g 1日の目標量と比べると足りませんが、食物繊維が豊富なイメージのあるさつまいもは1.3g(60gあたりの食物繊維量)とシイタケよりも少なめ。
シイタケで食物繊維量を摂ることはとても効率的だといえます。
シイタケをはじめとする、食物繊維が豊富なきのこ類やさつまいも、キャベツなどさまざまな食材を組み合わせて、食物繊維を積極的に摂るようにしましょう。
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)/日本人の食事摂取基準(2020年版)
“骨”の健康に必須!「ビタミンD」
ビタミンDは、骨の材料となるカルシウムとリンの吸収を促進する働きがあります。
不足すると、骨の強度が落ちてしまい骨折や疼痛の原因になる「骨軟化症」を引き起こしやすくなります。
ビタミンDの1日の目安量は成人男性・女性ともに8.5μg。
生・干しそれぞれのシイタケ3つ分の量が、1日の目安量のどのくらいあるのかみていきましょう。
シイタケのビタミンD量
生シイタケ3つ分(60g):0.2μg
干しシイタケ3つ分(15g):2.6μg1日の目安量には及びませんが、干しシイタケはビタミンDが豊富といえそうです。
他のきのこ類のえのきやエリンギ、ぶなしめじよりも倍以上のビタミンDを摂取することができます。
ビタミンDを意識してシイタケを食べる場合は「干しシイタケ」を選ぶとよいでしょう。
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)/日本人の食事摂取基準(2020年版)
DNA合成に必要な「葉酸」
葉酸は、私たちの細胞の増殖させるための働きがある重要な栄養素です。
そんな葉酸の1日の推奨量は男女18歳以上で240μgとされています。
生・干しそれぞれのシイタケ3つ分は1日の推奨量と比べて、どのくらの量が摂取できるのか見ていきましょう。
シイタケの葉酸量
生シイタケ3つ分(60g):29μg
干しシイタケ3つ分(15g):41μg
葉酸は緑黄色野菜に多く含まれているイメージがありますが、シイタケも決して少ないわけではありません。1日の推奨量には届きませんが、干しシイタケには特に多く含まれています。他の緑黄色野菜と合わせて積極的に摂るようにしましょう。
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)/日本人の食事摂取基準(2020年版)
シイタケの栄養を改めて見てみると、生シイタケよりも干しシイタケのほうが栄養価が高いことが分かりました。
用途にもよりますが、シイタケの栄養を摂ること優先するなら、断然干しシイタケを利用するのがオススメです。
ただし、干しシイタケは一度水に戻す手間があるため、すぐに使えません。その時々によって使い分けましょう。
また、干しシイタケを使う際に出る戻し汁、捨てたりしていませんか?
せっかくの栄養を摂るためにも干しシイタケを利用するのであればぜひ戻し汁も使いましょう。その戻し汁にはたくさんのうまみや栄養が含まれていますよ。
減塩対策に!干しシイタケの戻し汁がおすすめな理由
シイタケに含まれているビタミンやカリウムなどは、水に溶けやすい性質があるため、戻し汁に流れてしまいます。それを捨ててしまってはもったいない!干しシイタケの戻し汁は「出汁」として使用しましょう。
シイタケの出汁は塩分少なめ。でもおいしい!
シイタケだしの特徴として塩分(ナトリウム量)がかつおだし、昆布だしよりもかなり少ないのが特徴のひとつです。塩分が低い=おいしくないイメージがあると思いますが、シイタケだしはシイタケのいい香りとうまみが濃いため、ほかの出汁より塩分濃度が低くても十分おいしく仕上がります。
100gあたりのナトリウム量
シイタケだし:3mg
かつおだし:21mg
昆布だし:61mg
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
干しシイタケは戻し汁も含め、捨てるところが一切ありません。
ここまで読んでいて、「じゃあ生シイタケは栄養価が少ないの?」というイメージを持ってしまった方も多いのではないでしょうか。
いえいえ、じつはちょっとしたひと手間を加えるだけで生シイタケの栄養価をUPさせることができるんす。
それに加えて調理法も工夫するだけで、シイタケの栄養を効率よく摂れるので紹介していきます。
シイタケの栄養を効率よく摂る3つのコツ
シイタケの栄養を効率よく摂るために覚えておいてもらいたい3つのコツを紹介いたします。どれもすぐにできることばかり!
天日干しで栄養価UP!
生シイタケは干しシイタケと比べるとビタミンD量が少ないですが、たった30分天日干しをするだけでビタミンDの量がUPします(*)。
自然の力を借りるだけで栄養価がUPするのであれば、やらない理由はないですよね。とっても簡単なのでぜひ試してみて下さい。
*参照:日本家政学会誌 紫外線照射による各種キノコ中のビタミンD2含量に関する研究
【方法】
①シイタケのひだを上にてザルなどに並べる。
②日の当たる場所に30分ほど置く。
※天日干ししたシイタケは、その日のうちに使用することをおすすめします。
水洗いはなるべくしない
シイタケには葉酸やカリウムなどの水に溶けやすい栄養素があるため、水で洗うと栄養素が流れ出てしまいます。もし気になる汚れがある場合は、キッチンペーパーや清潔な布巾でふき取るようにしましょう。
どうしても洗いたい場合は短時間でサッと行うことをおすすめします。
茹でる以外の調理方法を選ぶ
少しでも多く栄養をとるなら調理方法も意識してみましょう。しいたけを茹でてしまうと、水に溶ける栄養はゆで汁に流れてしまうため、あまりおすすめできません。
おすすめの調理法は「油」を使って調理すること。シイタケに含まれるビタミンDは、脂に溶ける性質があるので油を使用した調理方法のほうが、ビタミンDの吸収率が高まります。
以下のレシピはおすすめの調理法を用いています。ぜひ参考にしてください。
【しいたけのツナマヨ焼き】
肉厚のシイタケがジュワっとしてお酒にも合うレシピです。
マヨネーズの油でビタミンDの吸収率もUP!
しいたけのツナマヨ焼き
しいたけ、ツナ水煮缶、○マヨネーズ、○塩・こしょう、ドライパセリ
調理時間:15分
【こんにゃくとしいたけのオイスターソース煮】
シイタケがうまみを吸い込んでごはんのおかずにぴったりです。
レシピ内では生シイタケを使用していますが、干しシイタケで代用してもおいしくできるでしょう。
こんにゃくとしいたけのオイスターソース煮
しいたけ、こんにゃく、小ねぎ(あれば)、○しょうゆ、○酒、○オイスターソース、○鶏ガラスープの素、ごま油
調理時間:20分
【きのこのアヒージョ】
今人気が高いアヒージョもお家で簡単にできちゃいます。脂に溶けるビタミンDはオイルに溶け込むので、バケットに素材の香りがついたオイルをつけて食べるとGOOD!
きのこのアヒージョ
エリンギ、しいたけ、にんにく、塩、こしょう、ドライパセリ、オリーブオイル
調理時間:15分
シイタケの栄養を逃さず摂ろう!
生シイタケと干しシイタケは栄養素に大きく違いがありました。しかし、生シイタケもちょっとしたひと手間を加えるだけで栄養価がUPできちゃいます。栄養それぞれにも性質が異なるため、効率よく摂るためにも紹介したレシピをぜひ試してみてくださいね。