ズッキーニといえばパスタやトマト煮込みなど、加熱して食べるイメージがありますよね。でも実は、生でも食べれられる野菜だということをご存知ですか?生で食べることで得られるメリットやおすすめレシピを紹介しますので、ぜひフレッシュなズッキーニを楽しんでみてくださいね。
ズッキーニは生でも食べられる!
ラタトゥイユなど加熱する料理に使われることが多いズッキーニですが、実は含まれている栄養素の性質上、生で食べた方が効率よく栄養が摂取できる野菜です。美味しく食べるためのポイントをおさえ、今年の夏は旬のズッキーニを生でも楽しみましょう。
生で食べるときのポイント
生で食べるときの調理ポイントは主に2つあります。
- 薄くスライスする
- 塩をまぶして苦味を落とす
ズッキーニは茄子と味や食感の特徴がよく似ています。茄子もそうであるように、生の場合は大きくカットして食べると青臭さや独特の歯触りが気になるかもしれません。そのため、薄くスライスして食べるのがおすすめです。
また、スライスしたズッキーニを塩揉みしておくと、余分な水分とともに苦味などの雑味も抜け、さらに美味しく食べられます。ズッキーニ1本あたり小さじ1程度の塩を揉み込み、水分が出てきたら絞りましょう。
生で食べることで得られるメリット
ズッキーニはカリウムを筆頭に葉酸、βカロテン、ビタミンCなどの幅広い栄養素を含んでいます。これらの栄養素には水に溶けやすいものもあり、茹でる・煮るなどの調理をすることで、体内に吸収される栄養素の量が少なくなってしまうのです。調理によってズッキーニ全ての栄養素がなくなるわけではありませんが、効率よく、無駄なく栄養を摂取するためには生でいただくのがおすすめです。
続いて、ズッキーニに含まれる栄養素についてそれぞれ詳しく解説します。
カリウム
カリウムはズッキーニ100g中(約1/2本)に320mg含まれています。定番の夏野菜であるトマトは210mg、きゅうりは200mgなので、野菜の中でもズッキーニはカリウムを多く含んでいるといえます。
カリウムは体内の過剰なナトリウム(塩分)を体外に排出するため、むくみや高血圧の予防に効果的です。また、茹でるなどの調理中に失われやすい栄養素なので、生で食べることで効率的に栄養を摂取することができます。
葉酸
葉酸はズッキーニ100g中に36μg含まれています。胎児の発育に重要とされるビタミンで、厚生労働省からも妊娠前・妊娠中より葉酸を積極的に摂取することが推奨されています。他にも動脈硬化の予防などにも関与するとされ、近年注目されている栄養素です。葉酸は熱に弱く、さらに水溶性ビタミンで水にも溶けやすいため、茹でたり炒めたりせず生で食べたほうが栄養を摂取しやすいでしょう。
βカロテン
βカロテンは、体内に入ると美肌効果や免疫力アップの効果が期待できるビタミンAなどに一部変換される栄養素です。ズッキーニ100g中には320μg含まれ、βカロテン独自の効能としては老化などを防ぐ抗酸化作用が挙げられます。βカロテンは脂溶性ビタミンのため、油と一緒に摂取すると体内への吸収率が良くなります。生でズッキーニを食べる際は、オリーブオイルやごま油などの油をドレッシングとして使用するといいでしょう。
ビタミンC
ズッキーニ100g(約1/2本)中にはビタミンCが20mg含まれています。日本人のビタミンCの摂取基準量は1日100mgと言われているので、ズッキーニ1本には1日の摂取基準量の40%と多くのビタミンCが含まれていることになります(※)
ビタミンCはコラーゲンの生成やホルモンの分泌を助け、皮膚や細胞を健康に保ち、免疫機能を維持する働きがあります。水溶性のビタミンで、水に溶けやすいと同時に光にも弱い性質を持っています。栄養素を少しでも多く摂取するには生で食べること以外にも、光などの環境の影響を受けないよう、食材が新鮮なうちに食べることも大切です。
※栄養素が全て体内に吸収されたと仮定した場合
生ズッキーニのおすすめレシピ
先ほど紹介したとおり、ズッキーニを生で食べる際は切り方の工夫と塩もみが必要ですが、アクもほとんどなく、生でも扱いやすい食材です。生で食べるのが初めてでどうすればいいか迷った際は、きゅうりの置き換えで使用すると美味しく頂けるレシピが多いでしょう。
また、次のようなレシピにズッキーニを加えて楽しむのもおすすめです。
カッペリーニ風そうめん
輪切り、もしくは細切りにした生ズッキーニ(1/2本程度)をプラスしてください。オリーブオイルを使用するのでβカロテンの吸収効率もアップ!夏にぴったりの一品です。
ツナとトマトのカッペリーニ風そうめん
ツナ缶詰(油漬)、トマト、そうめん、小ねぎ(あれば)、○オリーブオイル、○レモン汁、○にんにくチューブ、○塩、○こしょう
調理時間:10分
生ズッキーニとトマトのナムル
豆苗を、輪切りまたは細切りにした生ズッキーニ(1本程度)に置き換え。ごま油を使用するのでβカロテンの吸収効率もアップします。ズッキーニの緑色とトマトの赤色が映え、見た目も綺麗に仕上がります。
トマトと豆苗のナムル
トマト、豆苗、○しょうゆ、○中華スープの素(顆粒)、○にんにくチューブ、○ごま油、白いりごま、塩・こしょう
調理時間:10分
生ズッキーニのコールスロー
キャベツを細切りした生ズッキーニ(1/2本程度)に置き換え。ズッキーニは生でも水が出にくいため、水っぽくなりがちなコールスローも失敗が少なくできます。また、マヨネーズはβカロテンの吸収量を7倍高めるという研究結果もあります。
春キャベツのコールスロー
春キャベツ、にんじん、○マヨネーズ、○粒マスタード、○酢、○砂糖、塩・こしょう
調理時間:20分
生ズッキーニの洋風手まり寿司
きゅうりを生ズッキーニ(適量)に置き換え。縦にスライスしたものをシャリに巻いても、輪切りしたものを上に乗せても見栄え良くできるでしょう。チーズなどの具材も一緒にのせ、オリーブオイルを少したらすと洋風な手まり寿司になり、βカロテンの吸収効率もアップします。
お子さんと一緒に作れる♪宝石みたいな「手まり寿司」の作り方
今年のひな祭りは、かわいい”手まり寿司”にチャレンジしてみませんか? ラップで握れば完成するので、お子さんと一緒に手作りが楽しめますよ~!
ズッキーニを生で楽しもう
夏が近づくとスーパーで目にすることが多くなるズッキーニ。カリウムなど水に溶けやすい栄養素を含む野菜のため、しっかり栄養を摂りたいなら生で食べるのがおすすめです。いつもの料理に加え、生で食べるレパートリーも増やして幅広いアレンジでズッキーニを楽しみましょう。
参考文献:
独立行政法人 農林水産消費安全技術センター 広報誌
国立研究開発法人 医薬基礎・健康・栄養研究所「ビタミンについて」
文部科学省「食品成分データベース」
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
吉田企世子・松田早苗監修『あたらしい栄養学』(高橋書店)
牧野直子監修、松本 麻希『栄養素図鑑』(新星出版社)