ほうれん草といえば栄養たっぷりな野菜の一つ。年間を通じて店頭で見かけますが、寒くなるこれからの季節にこそ、ぜひ献立に取り入れたい野菜です。その理由を管理栄養士が解説します。
ほうれん草に関する基礎知識
ほうれん草の旬は11月から3月頃。暑さに弱い野菜のため、夏は高冷地やビニールハウスで栽培されます。雪がふるほど寒い時期には、凍らないよう自ら糖度を上げるので、より甘みが増しておいしくなります。
ほうれん草は色鮮やかで葉肉に厚みとハリがあるものを選びましょう。茎が太すぎるものは育ちすぎのサイン。葉が堅くアクも強くなるため、太すぎないものを選んでください。また根元の赤みが鮮やかなものを選ぶと甘みがあります。
ほうれん草は生食できるの?
ほうれん草を食べる際は、アクが強いので下茹でが必要です。アクと呼ばれるものの正体は「シュウ酸」という物質で、大量に摂取すると結石の原因になるといわれています。最近のほうれん草はシュウ酸の含有量が少なくなっているそうですが、茹でて水にさらすとなお安心。またシュウ酸は水溶性の物質のため、炒めるなどの水を使わない調理方法では除去できません。炒める際にも下茹ですることをおすすめします。
なお生食用(サラダ用)に販売されているサラダほうれん草はシュウ酸の含有量が少ないため、下茹でせずに生で味わうことができます。
ほうれん草が「買い」な理由
さて、ここからはほうれん草が本当の意味で買うべき食材である理由を見ていきましょう。
"買い"ポイント1:栄養の宝庫!
濃い緑色のほうれん草。ビジュアルからして、いかにも栄養が詰まっていそうですよね。年間を通して味わえるほうれん草ですが、寒い季節に収穫されるほうれん草は、ハウス栽培のものと比べても栄養価が非常に高くなります。
特に免疫力に関与するβカロチンやビタミンCが多く含まれているため、風邪をひきやすい秋冬におすすめの野菜です。また女性に嬉しい鉄分も豊富。ただし植物性食品に含まれる鉄分は、非ヘム鉄といって体に吸収されにくいのが難点です。たんぱく質(肉、魚、卵、大豆製品)や、ビタミンC(野菜や果物)を一緒に摂ることで吸収率がアップしますよ。
そのほかに高血圧を予防するカリウムや、丈夫な骨や歯をつくり神経機能を調節するカルシウムなども多く含む、まさに栄養の宝庫の野菜といえます。
"買い"ポイント2:冷凍保存可能
ほうれん草は自宅で冷凍保存ができます。冷凍すると栄養価が下がりそうと心配する人もいますが、冷蔵庫に長期間保存するよりも鮮度の良いうちに冷凍した方が、実は栄養価は保たれます。
洗ってサッと下茹でし水にさらしたら、ペーパータオルに包んでしっかり水気を絞りましょう。適当な長さにカットしてから使いやすいように1回分に分け、空気が入らないようにぴっちりとラップに包んでください。あとは冷凍用保存袋に入れて冷凍庫に入れれば、お弁当作りや緑黄色野菜が足りない時などにすぐに使えて便利です。汁物には凍ったまま入れてもOKですが、炒める際にはレンジで解凍し、水気を絞ってから使ってくださいね。
"買い"ポイント3:おひたしだけじゃない!ほうれん草のポテンシャル
ほうれん草の代表的なメニューといえば、おひたしやごま和え。どうしても和食のイメージが強いほうれん草ですが、アレンジ次第でどんな料理にも栄養と彩りを与えてくれます。
例えば洋食ならバターでソテーして。韓国料理ならごま油で和えてナムルに。ほうれん草が苦手な子どもでも、バターやごま油で調理したら食べやすくなります。これからの季節はシチューやグラタン、スープに入れるのもおすすめ。冷凍のほうれん草を凍ったまま入れてしまえば調理もラクチンです。
ほうれん草の良さをいかしたレシピを紹介
「ほうれん草の巣ごもり卵」
最後はほうれん草を使ったレシピを紹介。ほうれん草とたまごで栄養ばっちりの、15分程度でできる簡単おかずです。
材料(1人分)
ほうれん草 100g / たまご 1個 / 塩・こしょう 各少々 / パルメザンチーズ 大さじ1 / バター 5g
作り方
1. ほうれん草は塩茹でし、水にさらして水気をしっかり絞る。
2. フライパンにバターを溶かし、1を入れて炒め、塩・こしょうで味付ける。
3. フライパンの中で中央に穴のあいたドーナツ状の土手を2で作り、中央にたまごを割り入れる。
4. 水大さじ1(分量外)を入れ、蓋をしてたまごに火を通す。
5. 皿に盛り、パルメザンチーズをかける。
風邪やインフルエンザが流行り始めるこれからの季節。ほうれん草パワーで元気にのりきりましょう!