JRの列車の指定席券は、発車する日の1カ月前の10時に発売します。人気の列車はすぐに売り切れてしまいます。しかし、満席でもあきらめてはいけません。JRのきっぷのルールを知っていれば、指定席を確保できるチャンスが広がります。
今年もあと1週間ほど。年末年始の帰省を予定していたものの、忙しくて列車の指定席を買っていないという人もいるのでは? 「自由席に座るために早起きして並ばなくちゃ……」と思っているアナタ、まずは次の方法を試してくださいね。
指定席、売り切れでも諦めないで!
「キャンセル」を狙おう
購入時に満席だった列車も、出発日の前にキャンセルが出る場合があります。家族4人で並んで……という席は難しいかもしれませんが、2人掛け席2列は取りやすいでしょう。出発まで、駅に行くたびに問い合わせてみましょう。もっと手軽な方法としては、JR東日本の「えきねっと」、JR東海の「スマートEX」などのインターネット予約サービスに登録して、手が空いたときに確認してみましょう。
キャンセルがもっとも発生しやすい日は出発日の3日前~2日前です。その理由はJRの払戻手数料です。JRの払戻手数料は、使用開始前までは1券種1枚あたり220円です。券種とは、乗車券、自由席特急券などの種類です。ところが、座席を指定した券種の場合、出発の2日前までは1券種1枚あたり330円で、出発前日から発車時刻までは額面の30%にアップします。したがって、手数料が安いうちにキャンセルしようという人が増えます。
ちなみに、東京~大阪間の東海道新幹線「のぞみ」の指定席特急券は5,700円(通常期)です。2018年12月25日から2019年1月10日までは繁忙期料金として200円増し、5,900円になります。指定席特急券を払い戻す手数料は、発車の2日前までは330円で、前日からは30%の1710円になります。そこで、手数料が安いうちに払い戻す人が増えるわけです。「出発日の前日からキャンセル料が高くなる」は、キャンセル待ちを狙う人も、キャンセルする側になる人も覚えておきましょう。
キャンセル待ちは出発の3日前が狙い目
「キャンセルってそんなに出るものかしら」と思いますよね。しかし「休暇の予定は立たないけど、先にチケットは買っておきたい」とか「仕事が立て込んで休めなくなった」とか「本人や同行者の体調がすぐれない」という経験は誰にでもあります。新幹線の場合、1列車あたり数百人以上が乗車しますから、1%の確率でもキャンセルする人は数人以上になります。
料金が高額な長距離指定席ほどキャンセル料金も高くなるので、2日前までにキャンセルする人は多いと思われます。筆者もキャンセル待ちで座席を獲得したことは何度もあります。ただし、出発の2日前の遅い時間になると、わずかなキャンセル待ちを狙ってきっぷを買う人も現れるでしょう。その前日、出発の3日前が狙い目といえそうです。
JRの指定席は1回だけ無料で変更可能
キャンセル手数料と合わせて知っておきたいのは、「変更は1回だけ無料で可能」です。乗車券、指定席特急券は、使用開始前に1回だけ無料で変更できます。これを知らないと、「いったん払い戻して買い直す」をしてしまい、もちろん払い戻せば手数料がかかります。
しかし、「急用ができたので、発車時刻が遅い列車に変更したい」とか「予定を繰り上げて1日早く帰りたい」などというときは、駅の窓口で列車の変更を依頼しましょう。1回だけなら無料です。新しいきっぷには「乗変」というスタンプが押されます。「乗変」の表示されたきっぷは無料変更の対象になりません。2回目の変更は「払い戻し、買い直し」となります。
異なる区間・列車への変更も可能
乗車券、指定席特急券は、同じ券種であれば、同じ区間、同じ列車に限りません。東海道新幹線の指定席券を北陸新幹線の指定席に変更するという扱いも可能です。変更前より変更後の料金が高くなれば差額を支払い、変更後の方が安い場合は差額が払い戻されます。ただし、クレジットカードで購入した場合の差額の扱いはカート会社によって異なるので窓口で確認しましょう。料金が変わらない場合は、クレジットカード払いでもカードの提示は不要です。
また、「スマートEX」「えきねっと」など、インターネット予約会員の場合は、発車までに何度でも手数料なしで変更できる特典があります。
筆者は指定席変更を活用しています。予定の列車で希望の窓際席が無かった場合に、とりあえず通路側の指定席券を購入し、乗車前に窓際席に変更してもらいます。最近では、2日間連続で水戸方面に行く用事があり、常磐線特急の下り列車のチケットを2日分購入しましたが、用事が1日で済んだため、2日目の下り特急列車の指定席特急券を1日目の帰りの指定席特急券に変更しました。
目的の列車の指定席が満席だったとき、同じ日の違う時間帯の列車の指定席を確保して予備とし、キャンセルがあれば目的の列車に変更するという方法もあります。
「キャンセル待ち手数料の変動」や「無料で予約変更」という制度のおかげで、いったん満席になった列車の指定席の空席状況は変化しているんです。希望の列車が満席でも、あきらめないでくださいね。