100円ショップで売っている格安アルカリ乾電池。4、5本まとめて108円。このお値段だったら、たとえ品質が悪くても、まぁ納得……という感覚で買われる方は少なくないと思います。でも、実際に安かろう悪かろうなのでしょうか。そこのところガチ検証してみました。おなじみの100円ショップに加え、コストコの高コスパ電池も含めて性能をチェック!(編集部)
チェックしたアルカリ乾電池について
100円ショップ(ダイソー・セリア・キャンドゥ)、フライングタイガー、コストコで販売している格安の単3形アルカリ乾電池の性能を検証(参考用としてパナソニック製『金パナ(通称)』『EVOLTA』)。
検証① 持続時間(0.9V終始時間)
2.2Ωのセメント抵抗を電池につなげて、終止電圧(電池の寿命となる電圧、アルカリ電池の場合は0.9V)に下がるまでの時間。もっとも長く使える電池はどれかという指標だ。
▲2.2Ωのセメント抵抗を電池につなげ、両端の電圧をデーターロガーで計測。終止電圧が0.9Vになるまでの時間を計測する。
検証② 開始後60分経過時点の電圧
電池が余力を残している60分経過時点において、高い電圧を維持できているかどうか。高電圧を示している電池は内部抵抗が低く、高電流を継続して流せているということになる。
検証③ 実測容量
終止電圧0.9Vになるまでの電流記録の合計を1時間(3,600秒)と抵抗値2.2Ωで割って算出した。これは各電池が1時間流すことのできる電流の値を示している。充電池の mAh(ミリアンペアアワー)の値に換算したと考えてもらってよい。※検証の実行回数は2回、好結果の数値を採用した。
※本企画の検証結果はすべての商品で同様の結果を保証するものではありません。個体差等により結果が異なる可能性を踏まえたうえで、購入する際の一材料として参考にしていただければと思います。
ガチ検証結果まとめ!
上記が今回の検証結果まとめとなる。この結果から判断すると……
安さと性能を兼ね備えたダイソー『DAISO&S』を選べば問題なし!
『DAISO&S』の検証結果
参考価格 108円(5本) 製造・販売等 大創産業 60分後電圧 1.1167V 実測容量 1,633mAh 0.9V終始時間 202分52秒 液漏れ機器補償 ✕ 期限年数 7年 検体の使用期限 2023年3月 検体の製造年月 2016年3月 コスパ 21.6円/1本・13.2円/Ah
安くて大容量のアルカリ乾電池はどれか? 実測容量が1,600mAh以上かつ1本あたりの価格が30円以下を条件に抽出すると、ダイソー『DAISO&S』(5本入り108円)がトップだった。2個ずつリモコンに使って、余った 1本をどうする? といった問題はさておき、5本108円でこの計測結果はかなり魅力的だ。100円ショップでアルカリ乾電池を買い求める際は、本商品をチョイスすれば問題ないだろう。
① ダイソー で買った『DAISO&HZ』
放電グラフ
結果
参考価格 108円(5本) 製造・販売等 大創産業 60分後電圧 1.0986V 実測容量 1,400mAh 0.9V終始時間 173分23秒 液漏れ機器補償 ✕ 期限年数 5年 検体の使用期限 2021年3月 検体の製造年月 2016年3月 コスパ 21.6円/1本・15.4円/Ah
② ダイソーで買った『DAISO&S』
放電グラフ
結果
参考価格 108円(5本) 製造・販売等 大創産業 60分後電圧 1.1167V 実測容量 1,633mAh 0.9V終始時間 202分52秒 液漏れ機器補償 ✕ 期限年数 7年 検体の使用期限 2023年3月 検体の製造年月 2016年3月 コスパ 21.6円/1本・13.2円/Ah
③ ダイソーで買った『【AA】ALKALINE』
放電グラフ
結果
参考価格 108円(5本) 製造・販売等 大創産業 60分後電圧 1.1076V 実測容量 1,597mAh 0.9V終始時間 198分08秒 液漏れ機器補償 ✕ 期限年数 5年 検体の使用期限 2021年4月 検体の製造年月 2016年4月 コスパ 21.6円/1本・13.5円/Ah
④ ダイソーで買った『ALKALINE new』
放電グラフ
結果
参考価格 108円(5本) 製造・販売等 大創産業 60分後電圧 1.0932V 実測容量 1,482mAh 0.9V終始時間 185分59秒 液漏れ機器補償 ✕ 期限年数 5年 検体の使用期限 2020年10月 検体の製造年月 2015年10月 コスパ 21.6円/1本・14.6円/Ah
⑤ セリアで買った『ALKALINE PAIRDEER』
放電グラフ
結果
参考価格 108円(4本) 製造・販売等 セリア 60分後電圧 1.0884V 実測容量 1,444mAh 0.9V終始時間 180分02秒 液漏れ機器補償 ✕ 期限年数 5年 検体の使用期限 2020年12月 検体の製造年月 2015年12月 コスパ 27.0円/1本・18.7円/Ah
⑥ セリアで買った『アルカリ乾電池』
放電グラフ
結果
参考価格 108円(4本) 製造・販売等 ロイヤルパーツ 60分後電圧 1.0882V 実測容量 1,472mAh 0.9V終始時間 184分10秒 液漏れ機器補償 ✕ 期限年数 7年 検体の使用期限 2023年1月 検体の製造年月 2016年1月 コスパ 27.0円/1本・18.3円/Ah
⑦ セリアで買った『GP ULTRA』
放電グラフ
結果
参考価格 108円(4本) 製造・販売等 ネオテクノス 60分後電圧 1.0797V 実測容量 1,389mAh 0.9V終始時間 175分33秒 液漏れ機器補償 ✕ 期限年数 7年 検体の使用期限 2023年3月 検体の製造年月 2016年3月 コスパ 27.0円/1本・19.4円/Ah
⑧ セリアで買った『Premium Cell』
放電グラフ
結果
参考価格 108円(4本) 製造・販売等 COTTON FAIR 60分後電圧 1.0828V 実測容量 1,442mAh 0.9V終始時間 180分07秒 液漏れ機器補償 ✕ 期限年数 5年 検体の使用期限 2021年3月 検体の製造年月 2016年3月 コスパ 27.0円/1本・18.7円/Ah
⑨ キャンドゥで買った『ALKALINE』
放電グラフ
結果
参考価格 108円(4本) 製造・販売等 モリトク 60分後電圧 1.132V 実測容量 1,618mAh 0.9V終始時間 197分36秒 液漏れ機器補償 ✕ 期限年数 7年 検体の使用期限 2023年1月 検体の製造年月 2016年1月 コスパ 27.0円/1本・16.7円/Ah
⑩ キャンドゥで買った『Vアルカリ』
放電グラフ
結果
参考価格 108円(4本) 製造・販売等 オーム電機 60分後電圧 1.1097V 実測容量 1,490mAh 0.9V終始時間 183分21秒 液漏れ機器補償 ✕ 期限年数 5年 検体の使用期限 2021年3月 検体の製造年月 2016年3月 コスパ 27.0円/1本・18.1円/Ah
⑪ まいばすけっとで買った『ahydrate』
放電グラフ
結果
参考価格 99円(4本) 製造・販売等 アイ・フィット工業 60分後電圧 1.0735V 実測容量 1,324mAh 0.9V終始時間 166分29秒 液漏れ機器補償 ✕ 期限年数 5年 検体の使用期限 2021年3月 検体の製造年月 2016年3月 コスパ 24.8円/1本・18.4円/Ah
⑫ フライングタイガーで買った『SUPER ALKALINE BATTERY』
放電グラフ
結果
参考価格 108円(4本) 製造・販売等 ZEBRA JAPAN 60分後電圧 1.0964V 実測容量 1,467mAh 0.9V終始時間 182分49秒 液漏れ機器補償 ✕ 期限年数 5年 検体の使用期限 2020年10月 検体の製造年月 2015年10月 コスパ 27.0円/1本・18.4円/Ah
⑬ コストコで買った『KS AA ALKALINE 48 PACK』
放電グラフ
結果
参考価格 1,598円(48本) 製造・販売等 コストコホールセールジャパン 60分後電圧 1.1022V 実測容量 1,637mAh 0.9V終始時間 205分10秒 液漏れ機器補償 ✕ 期限年数 7年 検体の使用期限 2024年12月 検体の製造年月 - コスパ 33.3円/1本・20.3円/Ah
⑭ コストコで買った『DURACELL 40本パック』
放電グラフ
結果
参考価格 1,538円(40本) 製造・販売等 P&Gジャパン 60分後電圧 1.0888V 実測容量 1,520mAh 0.9V終始時間 191分32秒 液漏れ機器補償 ✕ 期限年数 10年 検体の使用期限 2024年3月 検体の製造年月 - コスパ 38.5円/1本・25.3円/Ah
⑮ 某店で買った『アルカリ乾電池 LR6U』
放電グラフ
結果
参考価格 108円(4本) 製造・販売等 三菱電機ホーム 60分後電圧 1.0808V 実測容量 1,429mAh 0.9V終始時間 179分22秒 液漏れ機器補償 ✕ 期限年数 5年 検体の使用期限 2021年2月 検体の製造年月 2016年2月 コスパ 27.0円/1本・18.9円/Ah
⑯ 某店で買った『アルカリ乾電池 LR6R』
放電グラフ
結果
参考価格 108円(4本) 製造・販売等 三菱電機ホーム 60分後電圧 1.0975V 実測容量 1,451mAh 0.9V終始時間 181分38秒 液漏れ機器補償 ✕ 期限年数 5年 検体の使用期限 2021年1月 検体の製造年月 2016年1月 コスパ 27.0円/1本・18.6円/Ah
ガチ検証結果まとめ!
デュラセルの電池がお得! コストコ『KS AA ALKALINE 48 PACK』は長持ち最強
コスパは関係なく、ひたすら大容量(1,600mAh以上)を求めるのであれば、コストコPB商品である『KS AA ALKALINE 48 PACK』(48本入り1,598円)がベストだ。ただ、ある意味ではコスパ面も評価できる。というのも、本商品はほぼDURACELL(デュラセル)製電池のOEM品と判断してよく、DURACELL製電池が33.3円/本で手に入るのはかなりお得と考えてよいからだ。
高出力・瞬発力ならキャンドゥで買った『ALKALINE』(モリトク)
パワーで選ぶ場合、参考用として取り上げた国産『EVOLTA』や『金パナ』には及ばないが、60分後電圧1.1V以上を条件に抽出すると、キャンドゥで購入した『ALKALINE』(モリトク、4本入り108円)がベストという結果に。コスパを考慮すれば、かなり優秀と考えてもよいだろう。
残念賞はまいばすけっとで買った『ahydrate』
放電時間の成績から最下位を選ぶと、まいばすけっとで購入した『ahydrate』が残念な結果に(166分29秒 / 実測容量0.9V終始時間1,324mAh)。どの電池も僅差で、これで残念賞と言うには少々気の毒ではあるが……。
高コスパ電池の性能はほとんど僅差
すべてのアルカリ乾電池の放電グラフを重ねて見ると、ほとんどの電池で似た特性になっていいる。放電時間は平均値を中央にして±20分の間に納まっている感じだ。通常価格品でも10分程度の個体差はざらに出てくることも考えれば、100円ショップで買える高コスパ電池の性能が大きく劣るとは言いがたく、むしろ性能差はほとんど僅差と言ってもよいかもしれない。
国産電池は高価だが給電性能はワンランク上
主に100円ショップで購入した電池は、放電開始から120分までの放電電圧において、金パナとEVOLTAを超えるものは無かった。
放電時間は、電池の容積を大きくして蓄電物質の量を増やせば延ばすことが可能だが、放電電圧の高さは蓄電物質のレシピや電池構造に大きく左右され、電池の性能そのものであるとも言える。この点はやはり有名国産メーカー製の電池はレベルが一回り上であることがわかる。
皮むき検証について
電池の表面の柄や文字が印刷してあるフィルムを剥がすと、電池のガワが露出して、製造番号の刻印や、板金の形や封止加工の違いで、加工工場や生産者が違うという点程度なら推測することが可能だ。
コストコで買った大量パック2種、セリアで買ったロイヤルパーツの電池は他のものとはガワの構造が異なっていた。コストコ2種はマイナス側の板金のパッキンに特徴がある。かしめ加工がまったく一緒で、カークランドシグネチャーブランド(コストコPB)電池は、ほぼDURACELL(デュラセル)のOEM品と言って間違いないだろう。
ロイヤルパーツのものは他の100均ブランドの構造によく似ているが、マイナス側の板に凹み加工があった。
液漏れ性能も忘れるべからず
電池ガチ検証で、毎回忘れてはいけないと書いているポイントだが、耐液漏れ性能=液漏れのしにくさ、を気に留めておいてほしい。ボタンを押しても反応しなくなったリモコンの電池蓋を開けたら、グズグズ汁漏れ状態の電池が……という経験はないだろうか?
アルカリ乾電池には蓄電物質から発生するガスを抜くための穴が空けられており、その構造上液漏れを完全に防ぐことはできない。液漏れの原因には、逆挿し=過負荷、構造物の劣化、封止部品の錆びなどがあり、耐液漏れ性能は、重要なポテンシャルのひとつと言えよう。
液漏れ性能についての検証は、より専門的な設備がなければ難しく、本記事でなかなか行うことができないが、経験的には国産品、格安品どちらの電池も、何年も放電したまま放置すれば、必ず液漏れはしてしまう。 やはり、液漏れの根本的な予防策は「長期間使用しない時は電池を抜く」以外なさそうだ。