日々更新されるWebマンガ。大手出版社も本腰を入れ始め、その量たるやハンパな数ではなくなってきた。いくら我らがマンガ大好きジャパニーズだとはいえ、すべてを追いかけるには時間がいくらあっても足りないことだろう。積んどくことができない媒体なのも悩ましいところ。そこでmitokでは絶対に外せない注目作品を定期的にご紹介。Webマンガ、これを追うべし!
角野ユウ『たべかけ福音計画 〜Dear Succubus Sister〜』 少年ジャンプ+連載
アニメやゲームでよく見かける悪魔・吸血鬼・サキュバスといったキャラクターは、最近じゃとりわけ美少女モノやラブコメに欠かせないモチーフ。人間の血や生命力を食物にして生き永らえる種族に生まれ、日常生活の中で時おり本能を抑えきれず暴走し、吸血・吸精行為は必然、背徳的でお耽美な雰囲気を醸し出し……と、物語上の葛藤からお色気描写まで用意できる王道の設定です。
その題材の美味しさを貪欲に取り込んだ、ド直球なサキュバスラブコメが本作。人間と淫魔のハーフに生まれた少女・水織は、男性の精気を求める汚れた本能に打ち勝つべく、教会のシスターとして清く正しく生きることに。神父の息子・真紘に少しずつ精気を分けてもらう水織だが、成長と共に次第に食欲を抑えがたくなってきてしまい……
口や身体の一部に接触して精気を吸う、嬉し恥ずかしのドキドキ感。その一方で吸い尽くしてしまえば相手を殺すことに……という理屈でヒロインと主人公がつかず離れずイチャイチャする王道の枠組みなのですが、主人公が性的興奮を催すと精気の量が増える体質と判明。「それはつまりWin-Winで何も問題が起きないのでは?」という印象もあり、ラブコメを成立させる葛藤の部分には若干モヤモヤが残るかも。
とはいえ本作の眼目はむしろ、線が細くフワッとした絵柄で童顔巨乳ヒロインのテレ顔やトロ顔といった赤面描写(と腕で寄せた乳の質感や形状)にこだわりまくってバシバシ男性読者のハートを狙い撃ってくるところ。何の衒いもなくダイレクトに少女漫画的な可愛らしさを美少女ラブコメに悪用している、なんて言い方でもしたくなるような一種背徳的な読み味があり、少年誌的ちょいエロのより刺激的なカタチを求める読者ならぜひ注目していきたい一作ですよ!
『たべかけ福音計画 〜Dear Succubus Sister〜』掲載情報
・作者:角野ユウ
・掲載メディア:少年ジャンプ+