アマゾンで iPhone用Lightningケーブルを探すと「3本で999円」などの激安品が見つかります。アップル純正品を買ったら2,000円とかするし(アマゾンで売ってる激安純正品はほぼ偽物)、サードパーティのMFi認証品もそれなりのお値段であることを考えると、この安さはかなり魅力的。もちろん品質がそれなりに低そうなのは覚悟の上です。
……でも、実際のところはどうなのでしょう。レビュー数もやたらと多かったりするし、みんな買ってるから大丈夫なのでは? そこんとこ気になるので、買いか待てか、ガチ検証してみました!
検証|ハンダマスターかしま
RoiCiel の 3本999円
コネクタ部・基板
ケーブル断面
仕様・検証まとめ
- 価格 999円
- 同梱本数 3本
- 型番 5RC12ZLTN-1MBL
- ケーブル仕様 ストレート式
- 用途 充電◯ 通信◯
- MFi認証 ☓
- 長さ 100cm
- 抵抗値 208.2mΩ
- 電圧降下V(2A) 0.42V
- 電源芯線 0.10mmΦ × 19本
- シールド なし
総合評価 ★★☆☆☆
抵抗値は 208.2mΩ(100cm)で普通にまともな数値。シールドに関してはケーブル、コネクタ部ともに無い点は激安品に共通したポイントだ(MFi認証品ではあり得ない)。Lightningコネクタの認証チップ(非正規)は基板設計にミスがあったのか、足が1本宙に浮いていた。なお、アマゾン上では定価4,980円から80%OFFの999円で販売しているが、もちろん定価分の価値はない。
PARCOCO の 3本999円
コネクタ部・基板
ケーブル断面
仕様・検証まとめ
- 価格 999円
- 同梱本数 3本
- 型番 LCNB004
- ケーブル仕様 ストレート式
- 用途 充電◯ 通信◯
- MFi認証 ☓
- 長さ 200cm
- 抵抗値 358.8mΩ
- 電圧降下V(2A) 0.72V
- 電源芯線 0.14mmΦ × 11本
- シールド アルミ箔
総合評価 ★★☆☆☆
抵抗値は 358.8mΩと高めに見えるが、ケーブル長が 200cm なのでそれ相応の数値であり、とくに問題はない。芯線には粗めの 0.14mmΦx11本が使われており、芯線面積の効率は良いものの、柔軟性には多少欠ける。不思議な点がひとつ。配線のシールド材に使われているアルミ箔が、コネクタ側でどこにも接地していないため、電気的効果がない。アルミ箔分の原価がムダに。悲しい作りだ。
WMSJP の 3本1,299円
コネクタ部・基板
ケーブル断面
仕様・検証まとめ
- 価格 1,299円
- 同梱本数 3本
- 型番 (ASIN:B072MN768H)
- ケーブル仕様 ストレート式
- 用途 充電◯ 通信◯
- MFi認証 ☓
- 長さ 180cm
- 抵抗値 336.3mΩ
- 電圧降下V(2A) 0.67V
- 電源芯線 0.06mmΦ × 49本
- シールド アルミ箔
総合評価 ★★☆☆☆
フラット形状が特徴のケーブル。USBの信号線はツイストペアで実装するのが基本なので残念な作り。180cmという長さを考慮すると抵抗値は相応のものだろう。良い点……目立つ色だから紛失しにくいところくらいだろうか。なお、本製品は現在、アマゾン上では品切れ状態となっている。
総評:安いのが欲しいならダイソー製品を選んだほうがマシ
今回検証した「アマゾンで販売している3本セットの激安Lightningケーブル」はいずれもMFi認証を取得していない製品。iOSのアップデートなどによって使えなくなるリスクがある点は認識しておきたい。MFi認証の取得にはアップルの要求基準を満たす必要があり、製造にはそれなりのコストがかかる。MFi認証のない製品はこの分のコストをカットしている。安いLightningケーブルには相応の理由があるのだ。
▲今回検証したLightningケーブルとアップル純正品(右下)の断面まとめ。
MFi認証を取得していない製品でも、ポイントを押さえた作りであれば、最低限のところで許容できるかもしれないが、ほとんどが作りも精度も悪い。今回検証した製品はほぼシールドされていないため、ノイズの影響を受けやすく、場合によっては通信や機器に悪影響を及ぼす可能性も考えられる。評価するとしたら、抵抗値はさほど問題がない点、化繊布で覆われたケーブルは頑丈そうというところだろうか。ちなみに、安さを求めるのなら、ダイソーの低品質な激安モデルを選ぶほうが潔いかもしれない。
繰り返すようだが、MFi認証のないケーブルを使うことは、高価なiPhoneに対してリスクを負っている可能性がある点は認識しておきたい。
▲今回検証したLightningケーブルと過去に検証した製品を抵抗値順に並べたもの。ケーブル長が異なるため抵抗値による優劣の比較をするものではない。あくまでも参考程度に。
検証項目について
主な検証項目:抵抗値
抵抗が低いほど電流が流れやすい。つまり低抵抗のケーブルならば安定して短時間で充電できるわけだ。充電用ケーブルでは重要な指標となる。抵抗値が低ければロスなく電力を供給でき、大容量機器でも安定して急速充電できる。2.0A充電など高電流対応機器が登場しても、ケーブルの抵抗が高ければ、本来のメリットは薄まってしまう。
▲各ケーブルのライトニングコネクタ側の分解後に+-
主な検証項目:2A充電時の電圧降下V
ケーブルの抵抗によって発生する電圧降下。ここでは2A充電時のロスを抵抗値から算出している。
主な検証項目:シールドの有無
通信ケーブルを覆ってノイズを遮断するための機構。充電性能には関係がないが、通信ケーブルとしても使用するならばあったほうがよいだろう。
※本企画の検証結果はすべての商品で同様の結果を保証するものではありません。個体差等により結果が異なる可能性を踏まえたうえで、購入する際の一材料として参考にしていただければと思います。また分解等の検証は専門知識を持つ者が行なっております。真似しないようご注意ください。