毎年8月7日頃からの半月間は、「立秋」と呼ばれる時期。由来や気候の特徴、この時期の楽しみ方を、和文化研究家の三浦康子さんに教えてもらいました。
立秋とは?
立秋(りっしゅう)とは「秋が立つ=秋の兆しが見え始める時期」という意味です。二十四節気の13番目で、秋を6つにわけたうちの最初の節気。毎年8月7日〜8月22日頃にあたり、2023年は8月8日(火)〜8月22日(火)です。
暦の上では秋が始まり、11月初旬の「立冬」の前日までが秋とされます。しかし、立秋の頃は、実際には猛暑日が続く暑さの厳しい時期。立秋に入ってからの暑さは「残暑」といい、「暑中見舞い」は「残暑見舞い」に変わります。
いわし雲を見つけたら雨に用心
まだまだ残暑の厳しい時期ですが、空には秋の兆しが見え始めます。空が少しずつ高く感じられ、小さな固まりがたくさん集まったような雲が見られるように。このような雲は、その形状から「いわし雲」「うろこ雲」「ひつじ雲」などと呼ばれています。
いわし雲は、イワシの群れのような細長い形の雲の集まり。うろこ雲は小さく丸い雲の集まりで、魚のうろこのように見えます。ひつじ雲はヒツジのようなモコモコした雲の集まりがヒツジの群れのように見え、うろこ雲よりも低い空で見られます。どれも通年見られる雲ですが、特に秋は空が澄み渡って見やすくなるため秋の季語になっています。
これらの雲は低気圧の前面に現れることが多いため、見かけたらこのあと雨が降るサイン。また、いわし雲が早く出た年はイワシが豊漁になるとも言われています。
旬の枝豆を味わおう
この時期に旬を迎える食材といえば枝豆です。枝豆は未成熟な大豆を収穫したもので、豆と野菜両方の栄養的特徴を持つ、とても栄養価の高い野菜。タンパク質、ビタミンB1、カリウム、食物繊維、鉄分などを豊富に含んでいます。
なかでも枝豆のタンパク質に含まれるアミノ酸の一種「メチオニン」は、ビタミンB1、Cとともにアルコールの分解を促し、肝機能の働きを助けてくれる効果が。「ビールに枝豆」は栄養的にもよい組み合わせなのです。
枝豆といえば塩茹でが定番ですが、東北地方の郷土料理である「ずんだ」もおすすめです。ずんだとは枝豆を茹でてペースト状にし、砂糖を混ぜて甘くしたもの。お餅や白玉に絡めたり、アイスやかき氷のトッピングにしたりするとおいしいですよ。枝豆の風味と鮮やかな緑色を、目と舌で楽しんでくださいね。
監修:三浦康子
和文化研究家。日本の文化を今に生かす方法をさまざまなメディアで提案。「行事育」提唱者。著書に『子どもに伝えたい 春夏秋冬 和の行事を楽しむ絵本』(永岡書店)他多数。
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