(C)beersonic / Shutterstock.com
12月31日は大晦日。大晦日の由来や伝統的な過ごし方について、和文化研究家の三浦康子さんに教えてもらいました。
大晦日とは
毎月の月末を「晦日(みそか)」といい、12月の月末は1年の終わりなので「大晦日」と呼びます。
元日は、新年の神様「年神様(としがみさま)」が1年の幸福をもたらすために各家庭にやってくる日。そこで大晦日は「年神様を寝ないで待つ日」とされていました。
年越しには昔から続くさまざまな習わしが。年越しそばを食べ、寺社では除夜の鐘などの年越しの行事が行われます。
長寿や開運を願う「年越しそば」
「年越しそば」は大晦日の夜にそばを食べる風習で、江戸時代に広まりました。そばは細くて長いので「長生き」、切れやすいので「苦労と縁が切れる」、「運気が上がる」など縁起がよいとされていました。
そのため、そばのように長く伸びて長生きできる「長寿そば」、食べたら運が上昇する「運気そば」、1年の苦労と縁を切る「縁切りそば」、金細工職人が飛び散った金粉をそば粉で作った団子で集めたことから「福そば」、などさまざまな呼び名があります。
そばの薬味に欠かせないネギにも「労う(ねぎらう)」「祈ぐ(ねぐ)=祈る」というよい意味があるので、ぜひそばと一緒にいただきましょう。
煩悩を払う「除夜の鐘」
大晦日の夜が深まってくると、お寺から「除夜の鐘」が響き渡ります。除夜は大晦日の夜のこと。大晦日は「旧年を除く」という意味から除日(じょじつ)とも呼ばれ、その夜が除夜です。
除夜につかれる鐘は108回。怒りや嫉妬など、人間にある108の煩悩を鐘の音で払うためと言われています。一般的に、107回は年内、最後の1回は新年と、年をまたいでつかれます。
年をまたいで「二年参り」
(C)theoldman / Shutterstock.com新年に初めて社寺に参詣することを「初詣」といいますが、大晦日の夜から元旦にかけてお参りをすることを「二年参り」といいます。旧年の穢れ(けがれ)を祓い、1年を無事に過ごせたことに感謝をしながら、新年が良い年になるように祈ります。
昔は「年籠り(としごもり)」といって、大晦日の夜から新年にかけて社寺にこもり、徹夜で年神様をお迎えしていたそう。寝てしまうとシワが増えたり白髪になったりするという言い伝えもありました。
今年の大晦日は家族で年越しそばを食べたあと、二年参りに出かけて除夜の鐘を聞いてみるのはいかがでしょうか。
監修:三浦康子
和文化研究家。日本の文化を今に生かす方法をさまざまなメディアで提案。「行事育」提唱者。著書に『子どもに伝えたい 春夏秋冬 和の行事を楽しむ絵本』(永岡書店)他多数。
http://wa-bunka.com/
[All Photos by shutterstock.com]