ビール好きの皆さんは、怖い名前のビールに出会ったことはありますか?
世の中に個性的な名前のビールは多々あれど、中にはフランス革命からはじまった処刑方法であり、血を連想させる『ギロチン(La Guillotine)』という怖い名前のベルギービールがあるんです。
「ギロチン」なんて、どんな味わいなんだろう?もしかして赤い血のような色のビールなのかな?など妄想が膨らみます。
そこで「ギロチン」が一体どんなビールなのか、実際に飲んでみました!
■ライター:村岡 由美香
フランス革命200周年を記念したビール
そもそも「ギロチン」とは、2本の柱柱の間に処刑人をうつ伏せ状態にさせ、柱の間に吊るした刃を落とし、首を切断する斬首刑の執行装置のことを指します。フランス国王ルイ16世や王妃マリー・アントワネットの処刑にも用いられたのだそう。名前は、フランス革命当時に処刑方法としてこの形式の断首台を提案した、フランスの医師「ジョゼフ・ギヨタン」という名前に由来しています。
処刑方法にギロチンを取り入れようとするなんて残酷だと思うかもしれません。ですが、当時の斬首刑は死刑執行人の腕によるところが大きく、未熟な人が担当すると受刑者は死ぬまでに何度も斧や刀で切りつけられ、非常に苦しい思いをしたのだとか。
そこで、苦痛を与えず処刑する方法としてギロチンが採用されました。残酷なわけではなく、実は受刑者のためを思って考えられた道具だったのです。
そんなギロチンの名前を冠したベルギービール「ギロチン(La Guillotine)」は、フランス革命軍による進撃を受け、ナポレオン・ボナパルトによるフランスの統治が終わるまで、フランスの占領下にあった国・ベルギーの醸造所にて、フランス革命200周年を記念してつくられました。
醸造するのは、“ピンクの象”で有名なブルワリー
「ギロチン」を製造しているのは、ベルギーの北西部に位置し、1654年からビールを醸造する「ヒューグ醸造所」。
ピンク色の象がモチーフで有名な『デリリウム トレメンス』から、アルコール度数の低いフルーツビールまで幅広く醸造しています。
ちなみにベルギーには、“ベルギービールの聖地”と言われている「デリリウムカフェ」というビアカフェがありますが、日本でも東京に7店舗展開されています。ヒューグ醸造所の自社ビールを中心に、様々なベルギービールも楽しめるお店なので、入荷状況によっては「ギロチン」を樽生で飲める時があるかもしれません!
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ハイアルコールなゴールデンエール
「ギロチン」はゴールデンエールというビアスタイルに分類されますが、「ストロングゴールデンエール」と記載しているサイトもあるくらいに、しっかりとしたミディアムボディが特徴です。アルコールは9.0%。
グラスに注ぐと赤みを帯びたゴールドカラーが印象的な液色。泡立ちがよく、もこもこっとしっかりした泡ができます。ボトルの赤色と相まって、危険を意味する警告色のよう。
飲む前から香ばしい甘さを感じるアロマ。フルーティさも感じつつ、口を付けると滑らかな泡のおいしさと、しっかりとした甘さが口内に広がる!と思いきや、後味には柑橘系のような苦みが。
パンチの効いた苦みではないため飲みやすく、けれどその奥にハイアルコールの力強さが潜むビールです。ハイアルコールなので、口当たりの良さにペースが速くならないよう気を付けてください!
一緒に食べたいおつまみは?
クリチといぶりがっこの肉巻き
口に含むときに甘みを感じる「ギロチン」インは、おつまみも甘みを合わせてみたい!と思って選んだのは「クリチといぶりがっこの肉巻き。後味には苦みがあるビールなので、大葉とクリームチーズの爽やかさで引き締められるのも◎。さらにいぶりがっこの燻した風味が、『ギロチン』の香ばしさを引き立ててくれます。
一緒に読みたい漫画は?
『ベルサイユのばら』日本人にとってフランス革命といえば『ベルサイユのばら』。『ベルばら』という略称で有名な不朽の名作です。少女漫画ですが、時代背景がしっかりしていて歴史漫画としても面白く、男女問わず楽しめます。
1日に何百人もの処刑がギロチンで行われていたフランス革命以後。なぜそのような恐怖政治が行われる状況になったのか、「ギロチン」を飲みながら漫画で気軽に学んでみると、より気持ちの入った状態で飲めるかもしれません。
ちょっと怖い名前の「ギロチン」ですが、その歴史を学び、醸造家たちの遊び心を楽しみながら飲んでみてください!
『ギロチン(La Guillotine)』
〇ビアスタイル:ゴールデンエール〇アルコール度数:9.0%
〇URL:https://www.belgianbeer.co.jp/products/detail.php?product_id=157
〇製造者:ヒューグ醸造所