
2026年9月17日(木)〜9月21日(月・祝)の期間、さいたま新都心で開催される日本最大級のクラフトビールイベント「けやきひろば秋のビール祭り」。
今回、その会場に少し変わったブースが登場します。その名も「チャレンジャーブース」。
これまで「けやきひろばビール祭り」に出店したことのない5つのブルワリーが、ひとつのブースに集まります。
この記事では、現地を訪れたからこそ見えてきた、それぞれのブルワリーの魅力を紹介します。
“けやき”に行く際はぜひチェックしてみてください!
もくじ・けやきひろばに、全国各地から5社のブルワリーが初登場!
・BrewBeast(岩手)
・NAT.BREW(富山)
・BAK(大阪)
・HIROSHIMA NEIGHBORLY BREWING(広島)
・FARMENTRY(奈良)
けやきひろばに、全国各地から5社のブルワリーが初登場!

「新しい醸造所を、より多くの人に楽しく知ってもらいたい」
そんな思いから生まれたチャレンジャーブースを運営するのは、全国350以上のブルワリーのビールを扱う業務店向けECサイト「Best Beer Japan」と、東京・代官山の「代官山 JUMP COFFEE ROASTERY CAFE」です。
そのなかで、それぞれのブルワリーについてもっと知りたい、実際に訪ねてみたいという思いが膨らみ、出店する5つのブルワリーを巡ることにしました。
チャレンジャーブースに集まるのは、2026年秋のけやきひろばビール祭りに初めて出店する、5つのブルワリーです。
- ・BrewBeast(岩手)
・NAT.BREW(富山)
・BAK(大阪)
・HIROSHIMA NEIGHBORLY BREWING(広島)
・FARMENTRY(奈良)
BrewBeast(岩手)
BrewBeastのブルワリーとタップルームのある「Lit work place」は、JR花巻駅を出るとすぐ目の前。 歩いて数十秒。もとはお土産屋さんだった場所だそうです。
新幹線が止まる新花巻駅から花巻駅までは電車で10分とかからず、盛岡駅から花巻駅までは電車で40分程度。地方のブルワリー訪問の際はクルマだと飲めないことも多い中、電車で簡単にアクセスできることは大きな魅力です。
ビールの枠を越えて、人が集まる場所をつくる
スタイリッシュなブルワリーと店舗は、なんと自分たちの手でつくり上げたそう。「何でも自分たちでつくろう」という気概を持つ人たちが集まっています。
私が訪れた日は、お盆明けにもかかわらず、仕込みの片付けで忙しそうな様子でした。
現在の工場には新しいタンクを増設し、生産量を伸ばしていますが、それでもまだ足りないほど。次々とビールを造り、多くの人に届けているブルワリーの勢いを感じました。
現在は、第2工場の計画も進んでいます。新工場は今の約4倍の規模になる見込みで、敷地面積は約5,000平方メートル。高橋さんが思い描いているのは、単に生産規模を拡大するだけではありません。
「その広い敷地を、みんなが集まる広場や公園みたいな場所にしたいんです。考えただけでワクワクしませんか!」
「広場をつくる!」と聞くと、大胆な構想のように思えるかもしれません。しかし、これまでのBrewBeastの活動を知ると、決して突拍子もないアイデアではないことがわかります。
完成したビールを携えて地元企業と一緒に地域のお祭りへ出店するなど、その活動は商品づくりだけにとどまりません。ビールをきっかけに、人と人が出会う場をつくる。第2工場の構想も、そうしたBrewBeastらしい活動の延長線上にあるのだと思います。
幅広い味わいから見つかる「好きな一杯」
「原材料の使い方や、副原料との掛け合わせによって、まったく違う味わいを生み出せる。それがクラフトビールの面白さですよね」
苦味を抑えたものから、コーヒーを使ったものまで。ひと口にクラフトビールといっても、その味わいはさまざまです。BrewBeastが幅広いラインナップを展開し、ハイペースで新作を発表している背景には、「いろいろな人に飲んでもらいたい」という思いがあります。
「ぜひ、さまざまなBrewBeastのビールを飲んでみてほしいです。そのなかで、『自分はこれが好きだ!』と思える一杯に出会ってもらえると思います!」
その考えのひとつの表れが「Lit work place」のタップルーム。最大12種類のビールがつながれたタップから、自分で好きなものを注いで楽しめる飲み放題を提供しています。少しずつ飲み比べながら、自分好みの一杯を探すことができます。
私はもともと、シャンパン酵母を使ったBrut IPAが好きなのですが、なかなか出会う機会がありません。ましてや、Brut Sour Aleを飲むのは今回が初めてでした。
幅広いラインナップを通して、これまで知らなかった味わいや、自分の新たな好みに出会える。それもBrewBeastの大きな魅力だと感じました。
訪問して感じたこと
ビール造りについて聞いていたはずが、気づけば話題の中心は「人」や「街」へ。高橋さんにとってビールは、おいしい一杯であると同時に、人と人、人と地域をつなぐものなのだと思います。
チャレンジャーブースで味わうBrewBeast
「お客さんとたくさん話せたイベントは、成功かなって。BrewBeastを知ってもらって、爪痕を残したいですね」
高橋さんがそう話すように、BrewBeastはお客さんとの会話を大切にするチームです。忘れ物をしてしまった失敗談さえ、面白いエピソードに変えてしまうほどポジティブ!ビールの味わいや造り手の思いから、ビールがつなぐ人や地域、新しいアイデアまで、話題は尽きません。
チャレンジャーブースでは、ぜひBrewBeastの皆さんに声をかけてみてください。多彩なビールとともに、ワクワクする会話も楽しめるはずです。
Lit work place(リットワークプレイス)
〇住所:〒025-0092 岩手県花巻市大通り1丁目7-40(Googleマップ)
〇営業時間:
1F ベーグル&コーヒースタンド 7:00〜17:00
2F タップルーム 17:00〜23:00
〇定休日:不定休
〇公式サイト:https://www.brewbeast-brewery.com/
〇Instagram(BrewBeast):@brewbeast.brewery
〇Instagram(Lit work place):@litworkplace
NAT.BREW(富山)
通りには彫刻の工房が軒を連ね、寺社の修繕が必要になると、井波の職人たちに声がかかります。
近年は移住者も増えており、昔ながらの街並みに、こだわりのコーヒーショップやレストランが自然と溶け込んでいます。
NAT.BREWのブルワリーは、そんな町の一角にあります。
ワイン醸造で培われた、素材との向き合い方
それもそのはず、NAT.BREW醸造長の望月俊祐さんは20歳でワインの世界に入り、 10年ワイン醸造を仕事としてきました。
山梨から、奥様の地元である南砺市に移り住んだあと、 さまざまなご縁から井波で2022年にNAT.BREWを創業。クラフトビールの醸造を始めます。
現在のビール醸造でも、そのように自分らが予期していなかった素材が舞い込んできて、 急に仕込むこともあるそう。
「外で作業をしていると、通りかかった農家さんから『今年は梅が豊作だったから、使わないか?』と声をかけられたりします。そうすると、『じゃあ、梅を使ったレシピを考えよう』となるんです」
まさに、この土地の素材や人との縁が、そのままお酒づくりにつながっています。
それを支えるのが、望月さんの探究心です。
望月さんには、醸造用の「ネタ帳」があるのだそう。どんな内容なのかとても気になりますが、そこは企業秘密。日頃から、素材とお酒のスタイルの組み合わせを考え続けています。
NAT.BREWは、どのような思いで酒造りに取り組んでいるのでしょうか。
2つの定番ビールには、どちらも地元の素材が使われています。
ペールエール「HEY HEY HOO」には南砺市のクロモジ、ヘイジーIPA「KUMA MASSIGURA」には南砺市特産の干し柿。実際に味わってみると、親しみやすい飲み口のなかに、それぞれの素材の個性がしっかりと感じられました。
地域との関わりは、ほかにもあります。地元の保育園では園児たちとグリーンカーテンとしてホップを育て、それを使ってビールを造っています。また、「富山にはビアフェスがないから」と、10月末には自らビアフェスも開催します。
なかでも印象的だったのは、醸造技術そのものを地域に開いていることです。依頼があれば搾汁を引き受け、近隣の市町村から寄せられるビール造りの相談にも応えています。
望月さんが修業時代、師匠から繰り返し言われていた言葉があります。
「地酒は、その土地に足を運ばせるものであれ」
地元の素材を使い、培った醸造技術を地域に還し、人々がその土地を訪れるきっかけをつくる。望月さんの話を聞くうちに、「土着醸造」とは、単に地元の素材でお酒を造ることではなく、こうした一連の営みを表す言葉なのだと感じました。
訪問して感じたこと
NAT.BREWのお酒からは、その土地の風土や季節の移ろいが感じられます。果実を使ったものも多く、望月さんのワイン醸造の経験が生かされています。
「ワインのようなビールが大好き」と話す望月さん。苦味のあるビールも造る一方で、ハードサイダーやミード、ホップワインなど、ビールという枠にとらわれず、幅広いお酒造りに関心を持っています。冬になると大量のリンゴが持ち込まれ、それを使ってハードサイダーを造ったそうです。
そう笑いながら話す望月さんの姿から、自由な発想で軽やかに挑戦を重ねているブルワリーなのだと感じました。
チャレンジャーブースで味わうNAT.BREW
NAT.BREWが大切にしているのは、地元への還元です。販路も地元を中心としており、これまで東京でのイベントには、あえて出店してきませんでした。
今回、埼玉・けやきひろばで開催されるチャレンジャーブースは、関東でNAT.BREWのビールを味わい、望月さんと直接話せる貴重な機会です。
ワイン造りで培った経験や発想が、ビールにどのように生かされているのか。ぜひ会場で土地が育んだ一杯を楽しみながら、感じてみてください。
NAT.BREW(ナットブリュー)
〇住所:〒932-0231 富山県南砺市山見1721(Googleマップ)
※営業日は公式サイトのカレンダーをご確認ください
〇公式サイト:https://www.nat-brew.com/
〇Instagram:@nat.brew_inami
BAK(大阪)
少し南へ歩けば、ファッションの通りとして知られるオレンジストリートがあり、周辺には古着屋やコーヒーショップが並びます。マンションが増え、少し落ち着いた雰囲気になった一角に「BAK HORIE Brewing Studio」はあります。
2015年に大阪・堂島の店からはじまったBAKは、2018年に北浜で自らビールを造りはじめ、2023年にブルワリーをこの堀江の場所に移転しました。
白い壁には、特徴的な文字。「猿」に見えますが、よく見ると少し違います。
案内してくださったのは、ブルワーの篠田柾志さん。愛知県出身で、神戸の酒蔵に勤めたあと、ワーキングホリデーで2年間イギリスへ。帰国後、BAKに加わりました。
「麦」と「獏」から生まれた、BAKの一文字
BAKのロゴに使われているのは、ビールの原料である「麦」と、悪夢を食べる伝説の生き物「獏」を組み合わせた、実在しない漢字です。
そこに込められているのは、「ビールを飲んで、今日のイヤなことは忘れて楽しく生きよう」という思い。ブルワリーでは、同じ文字がピンク色のネオンとなって光っていました。
新しいビールが毎週のように仕込まれ、定番は「苦渋」というIPAのみ。夏にはキュウリを使った「カッパボーイ」、土用の丑の日には「Ox Day」と、季節やアイデアに合わせたビールが次々と生まれます。
「ビールの醸造を通じて、毎年『この季節が来たな』と感じられるのが面白いですね」
ビールも、人も、場所も。通いたくなるBAK
「どこでも飲めるものではなく、大阪に来たからこそ飲める。そういうスタイルで運営しています」
5店舗はいずれも大阪市内の中心部にあり、その日の行き先に合わせて立ち寄りやすいのも魅力です。しかも、同じスタイルの店は一つもありません。
北堀江の「HORIE」は、食べ物を持ち込んでゆっくり過ごせる、ブルワリー併設の店舗。梅田の「BAK UMEKITA」ではカレーやまぜそば、スパイス料理を、堂島の「BAK 堂島 JCT.」では日本酒や料理を楽しめます。心斎橋の「BEER BAK STOP」はテキーラやメスカルも扱うバー、淀屋橋の「BAKKANO」はイタリアンの店です。
店ごとに料理も雰囲気も、つながっているビールも異なります。牡蠣に合わせて造られたゴールデンエールを飲めるのは、淀屋橋だけなのだそうです。
BAKのビール造りについて尋ねるなかで、話の中心になったのは、店に集まるお客さんのことでした。
1杯だけ飲んで帰る人、お菓子を持ち込んで女子会を楽しむ人、毎週決まった曜日に訪れる人。BAKが日々の暮らしに溶け込んでいることがうかがえます。
「ビールが好きというより、BAKのビールとBAKのスタッフが好き、という人が多いのも特徴だと思います」
その言葉を聞いて、HORIEへ向かう前に立ち寄ったUMEKITAでのことを思い出しました。スタッフの皆さんが気さくに声をかけ、大阪のおすすめを次々と教えてくれたのです。その温かさが嬉しく印象に残っていたからこそ、「BAKの人が好きだから通う」という気持ちがよくわかりました。
お客さんのなかには、1日のうちに堂島、梅田、心斎橋と何軒もの店舗を巡る人もいるそうです。いわば「BAKはしご」。ビールだけでなく、人や場所まで含めて楽しめるからこそ、次の店にも足を運びたくなるのでしょう。
今回は2店舗だけでしたが、次に大阪を訪れるときは、私も全5店舗の「BAKはしご」に挑戦したいと思っています。
訪問して感じたこと
BAKのビールは、とにかく名前がユニークです。
この日つながっていたのは、「苦渋」「グッドモーニングさん」「カッパボーイ」「パッションフルーツとマンゴーと私」「ノンアブノーマル」など。並んだ名前を眺めるだけでも楽しくなります。
飲んでみると、たしかにキュウリ! 青々とした香りが、すっと鼻に抜けていきます。名前からどんな味だろうと想像し、飲んでみて「なるほど」と納得する。BAKのビールは、名前も含めて楽しめます。
ビールのアイデアは、店舗の料理やスタッフの提案、常連客との会話からも生まれます。遊び心は、ビールだけにとどまりません。イベントでは、スタッフ全員を遊戯王風のカードにすることも。
ビール造りも、イベントも、その伝え方も、決まりごとにとらわれない。まずは自分たちが面白がる。BAKは、造り手自身が飲み手と一緒になって楽しんでいるブルワリーなのだと感じました。
チャレンジャーブースで味わうBAK
今回のけやきひろば秋のビール祭りは、BAKにとって初めての首都圏でのイベント出店です。どの銘柄を持ってくるのか尋ねると、意外な答えが返ってきました。
「『苦渋』ひとつで行きます!」
毎週新しいビールを造るBAKが、あえて定番の一杯だけで挑みます。「苦渋」は、造るたびにドライホップを少しずつ変えているそうです。今回のチャレンジャーブースでは、どんな「苦渋」に出会えるのでしょうか。
タップの説明に添えられていたのは、「人生の苦味」という言葉。どんな「苦渋」が味わえるのか。ぜひ会場で確かめてみてください。
BAK HORIE Brewing Studio
〇住所:〒550-0014 大阪府大阪市西区北堀江2-7-1(Googleマップ)
〇営業時間:水〜日 15:00〜21:00
〇定休日:月曜日、火曜日
※そのほかの店舗情報は、公式サイトをご確認ください。
〇公式サイト:https://b-a-k.jp/
〇Instagram:@bak_beer
HIROSHIMA NEIGHBORLY BREWING(広島)
「原爆ドームから本気で走れば(笑)、30秒で着くくらいの距離です」
そう教えてくれたのは、HNB代表の福本成美さん。観光や買い物の途中にも、気軽に立ち寄れる場所です。
「NEIGHBORLY」は、「ご近所の」という意味。話を聞くなかで、この名前につながるエピソードが何度も登場しました。
街の真ん中で、ご近所と造る
ビアフェスを通して多くのブルワーと出会ううちに、「自分たちでもビールを造りたい」という思いが強くなり、2020年に醸造を始めます。
ブルワリーの場所に選んだのは、やはり街の真ん中でした。その理由を、福本さんはこう話します。
ブルワリーが入るのは、30数年前に建てられたファッションビル。設備は3つのフロアに分かれ、アーケード商店街からも醸造の様子が見えます。街を歩いていると、ふとビール造りの現場に出会える。HNBは、街の風景に溶け込んだブルワリーです。
広島の人と素材から生まれるビール
HNBが常に考えているのは、地元の人たちと何ができるか。その姿勢は、素材選びにも表れています。
定番の「レモブル GO HIROSHIMA」に使うのは、ブルワリーを始める前から付き合いのある農家のレモンやネーブルです。
「以前から親しくしている、とてもこだわりのある農家さんです。ビールを造るなら、必ずこの方のレモンを使いたいと思いました」
素材は、単に広島産だから選ぶわけではありません。
「『この農家さんの、この素材を使いたい』と、農家さんとのつながりも含めて選びます。また、場合によっては、商品として出しにくい素材を農家さんから買い取り、ビールに生かすこともあります。ただし、すべての素材を広島産に限定しているわけではありません。造りたいビールの可能性を狭めず、幅広い味わいを届けることも大切にしています」
醸造フロアの見学中には、次の限定ビールについて話し合う場面に立ち会うことができました。ブルワーが提案した果実について、収穫時期に合っているか、必要な量を確保できるか、価格は見合うか、広島らしさはあるか。一つずつ確認されていました。
そのやり取りから、地域の素材や季節に目を向け続ける真摯さが感じられました。HNBのビール造りは、広島にアンテナを張り続けることでもあるのだと感じました。
「ビールには多種多様な種類と味わいがあるから面白い。お客さんにも、できるだけ幅広く楽しんでもらいたいと思っています」
多彩なビールを造りながらも、共通して目指しているのは「ドリンカブル」であることです。HNBらしい味わいについて、福本さんはこう話します。
「何度飲んでも、飲み疲れしないようなビールを造りたいと思っています」
この日飲んだ「レモブル GO HIROSHIMA」は、レモンとネーブルのピールが香るゴールデンエール。ごくごくと飲めて、気づけばグラスが空になっている。まさに「ドリンカブル」な一杯でした。
訪問して感じたこと
この言葉に込めた思いを、福本さんはこう話します。
「ビールに限らず、食事を楽しんだり、普段どおりに暮らしたりできるのは、平和があってからこそです。私たちのブルワリー&レストランは平和記念公園のすぐそばにあり、ありがたいことに、世界中から多くの方が訪れてくださいます。世界ではいろんなことがありますが、この場所に訪れていただいた時は、ビールや食事をきっかけに、笑顔が広がっていったらうれしいですね」
チャレンジャーブースに向けて
けやきひろばを訪れる方に伝えたいことを尋ねると、福本さんはHNBのビールだけでなく、イベント全体への思いを話してくれました。
「私たちのビールはもちろん、さまざまなブルワリーを巡りながら、イベント全体を楽しんでいただけたらと思います。初めて訪れる方には、クラフトビールを好きになるきっかけにしてほしいですし、何度も足を運んでいる方にも、新しいビールとの出会いを楽しんでほしいですね」
ビアフェスを10年にわたって主催してきた福本さんらしい言葉です。
チャレンジャーブースのHNBのタップには、気仙沼のBLACKTIDE BREWINGとのコラボレーションビール「ON WE GO」をはじめ、多彩な銘柄が順番に登場する予定です。
まずは、HNBのドリンカブルな一杯をごくごくと。飲み終えたら、他の気になるブルワリーへ。福本さんの言葉どおり、ぜひ会場を巡りながら楽しんでください。
HIROSHIMA NEIGHBORLY BREWING 併設飲食店「クラフトビールと炭火 はればれ 」

〇住所:〒730-0051 広島県広島市中区大手町1-5-10(Googleマップ)
〇営業時間:12:00〜22:00
〇公式サイト:https://www.hnb.beer/
〇Instagram:@hnb_beer
FARMENTRY(奈良)
橿原は、古代から近世まで、さまざまな時代の歴史が残るエリアです。たとえば近鉄大和八木駅からFARMENTRYへ向かう途中には、今井町があります。戦国時代に寺内町として成立し、江戸時代には商業の町として栄えた場所です。現在も約500棟の町家が残り、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。
そんな今井町からもすぐ近く。FARMENTRYの醸造所は、もともと自動車部品の保管用に建てられたものの、一度も使われないまま残っていた建物を活用しています。
醸造設備も、既製品を輸入したものではなく、自分たちで設計しました。一人でも作業や洗浄ができ、一部が故障しても別のポンプで醸造を続けられる仕組みになっています。
目指すのは、きれいなビール
ビール造りを担うのは、醸造担当の西崎翔さんと、運営業務を担当する奥田亮平さん。西崎さんはもともと放射線技師、奥田さんは事務職として働いていました。2人は役割を分担しながら、これまでの経験や科学的な視点を生かして、ビール造りに向き合っています。
FARMENTRYでは、醸造からタップルームの運営、イベントへの出店、ホップの栽培まで、幅広い仕事を2人で担っています。私が訪れた日も、西崎さんは畑に出ているとのことでした。秋のイベント出店が続く忙しい時期でしたが、奥田さんは快く迎え、丁寧に話を聞かせてくれました。
「目指しているのは、雑味のない、きれいなビールです。IPAやラガーだけでなく、ヘイジーIPAもすっきりと飲みやすいものが多いと思います」
FARMENTRYのビールはクリーンでクリアな味わいが特徴的です。雑味が少なく、狙った味わいがはっきりと感じられるビールです。
見た目に濁りのあるヘイジーIPAでも、味わいはすっきりと飲みやすく仕上げる。スタイルが変わっても、「きれいなビール」という軸は一貫しています。
「酵母くん」と発酵の世界
奥田さんは、このキャラクターを親しみを込めて「酵母くん」と呼んでいました。デザインの草案には、形の異なる案がほかにもあったそうです。モチーフになっていたのは、ラクトバチルスとペディオコッカス。どちらも、ビールに酸味を生み出す乳酸菌の仲間です。
酵母や乳酸菌がロゴの候補になる。発酵をテーマに、土地の恵みや微生物の力を生かしたビール造りを目指すFARMENTRYらしさが、ロゴにも表れています。
こうした微生物は、実際のビール造りにも登場します。
ここでは、野生酵母を含む複数の酵母や乳酸菌を働かせ、半年以上かけてビールを熟成させます。細かな温度管理は行わず、微生物の働きにできるだけ委ねているそうです。
奥田さんは、その楽しみ方をこう話します。
「同じビールを何本か寝かせて、時間による味の違いを楽しんでもらうのもいいと思います」
FARMENTRYでは、瓶に詰めたあとも変化を続けるビールもあり、微生物の働きに委ね、時間とともに変わる味わいを楽しむことができます。
訪問して感じたこと
「クラフトビールは重たくて個性が強いイメージだったけれど、これはすっきりしていて、とてもおいしい。こんなにおいしいビールが近所にあったなんて知らなかったけど、うれしいな」
友人はそのまま、もう1本注文しました。
醸造所で聞いた「きれいなビール」とは、こういうことなのかもしれません。
クラフトビールに詳しい人だけでなく、これまであまり飲んでこなかった人にも、背景を知らなくても、ひと口でおいしさが伝わる。友人の反応を見て、FARMENTRYが目指す「きれいなビール」の意味を実感しました。
チャレンジャーブースで味わうFARMENTRY
奥田さんに、けやきひろばへ持っていくビールについて伺いました。まず注目したいのが、ラガーの「SPECIAL HOUSE LAGER」です。
FARMENTRYでは大容量の専用タンクを使い、低めの温度で時間をかけて発酵させています。すっきりとした飲み口で、味わいはクリア。後味もきれいに切れます。
「SPECIAL HOUSE LAGER」は、ジャパン・ブルワーズ・カップ2025の淡色ラガー部門で1位を獲得しました。しかし、普段販売されているのは橿原市とその周辺のみ。地域外で味わえる機会は限られています。そのため、けやきひろば秋のビール祭りは、このラガーを味わえる貴重な機会です。
もう1種類は、IPA「POPPIN CANDY」を予定しています。奥田さんに理由を伺いました。
「IPAとしては少し変わった、甘さを思わせる香りがあります。ほかともかぶらないビールになるのではなると思います」
タイプは異なりますが、どちらもFARMENTRYらしいビールです。ぜひ会場で、その「きれいなビール」を確かめてみてください。
FARMENTRY
〇住所:〒634-0832 奈良県橿原市五井町197-5(Googleマップ)
※営業日・営業時間はInstagramをご確認ください。
〇公式サイト:https://farmentry.net/
〇Instagram:@farmentry
最後に

岩手から広島まで、参加ブルワリーを実際に訪ねてきました。
現地に足を運んだからこそ感じられる魅力が、どの醸造所にもありました。
この記事が、現地を訪れるきっかけになれば嬉しいです。
ただ、今回5社すべてを訪ねましたが、現地に行くのはなかなかの道のり……。北は岩手、西は広島。東京からはどこも遠く、移動は本当に大変でした。
そんな5社が、9月17日からのけやきひろばに一度に並びます。
私が何日もかけて回り、ようやく飲むことができた5社。その5社とチャレンジャーブースで出会い、話し、そして飲み比べることができます。
チャレンジャーブースは、おいしいビールが飲めるブースであると同時に、来場者が投票できる企画でもあります。
最も票を集めた1社は、来年春のけやきひろばビール祭りに、単独のブースで出店することができます。
ぜひ会場に飲みに来てください!
◼︎チャレンジャーブース:https://beerkeyaki.bestbeerjapan.com/
2026けやきひろば秋のビール祭り
〇開催場所:さいたま新都心 けやきひろば(屋外)
〇住所:さいたま市中央区新都心10番地(Googleマップ)
〇開催日時:2026年9月17日(木)〜9月21日(月・祝)
〇時間:
・17日(木)16:00〜21:00
・18日(金)11:00〜21:00
・19日(土)10:00〜21:00
・20日(日)10:00〜21:00
・21日(月・祝)10:00〜20:00
〇公式HP:https://www.beerkeyaki.jp/

