『Yay!』|全世界800万人のユーザーが使うSNS
――本日はよろしくおねがいいたします。
――まずは、『Yay!』のサービス内容を教えてください。
石濵様(以下、石濵と表記)「『Yay!』は、匿名性のソーシャルサービスです。『誰もが素を出せるバーチャルワールド』というコンセプトで運営をしています。」
石濵「趣味趣向や世代が近い人同士をつなげ、コミュニティ形成をしたり、共通の話題で話せる友人を作れるサービスとなっています。」
石濵「また、サービスをリリースして3年程たちますが、現在のユーザー数はグローバル規模で800万人以上となっています。」
――3年で800万人のユーザーをお持ちなのですね。
――かなり急激にユーザー様が増えているサービスのようにお見受けいたしました。
「好き」でつながるコミュニケーション機能
石濵「特徴的な機能としては三つあります。まずは、タイムライン機能です。これは、同世代や趣味趣向が似ているユーザーさんの投稿を見ることができる機能ですね。」
――自分と近い趣味趣向をしている友達を作りやすそうですね。
石濵「次に、リアルタイム通話ができるボイスチャット機能が備わっています。ボイスチャットを繋ぎながら、ユーザー同士で一緒にゲームをプレイしたり、YouTubeを見たり、雑談をすることなどができます。」
石濵「数値の実績としては、このボイスチャット機能は1日で累計700万分程使われています。」
石濵「最後に、サークルという特徴的な機能があります。これは自分の関心事でグループを作れる機能です。例えば、NFTやweb3、ゲームのタイトルなどでコミュニティ形成ができます。」
――自分の好きなテーマでサークルを作って、同じテーマに関心がある仲間を集めることができるのですね。
石濵「はい。そうです。このコミュニティ機能ですが、数値で言うと現在9万種類程のコミュニティがあります。」
シンプルかつ拡散力のあるコミュニティ設計
――『Yay!』をコミュニティ×SNSと捉えると、既存のSNSとの差別化が重要になってくるとは思うのですが、そういった既存のアプリケーションと『Yay!』を比較したときの特徴を教えてください。
石濵「既存のコミュニティ×SNSのサービスと『Yay!』の大きな違いは、コミュニティごとの横断ができるという点です。」
石濵「具体的には、サーバーごとにアカウントを分けたり、ソーシャルグラフを分断していないことを特徴として挙げることができます。」
石濵「なので、『Yay!』上では、仲良くなったユーザーさんがどのコミュニティに参加しているかがすぐに分かります。友人が入っているコミュニティに自分も入っていくこともできますし、タイムライン機能で投稿を見ることもできます。」
石濵「つまり、ユーザーさん同士の関係性がサーバーにより分断されない構造になっている点が大きな違いです。」
石濵「また、よりシンプルになっています。どこが盛り上がっているサークルなのか、何を話せばいいのか、などが分かりやすくなってるので、『Yay!』はライトユーザーさんも楽しみやすい構造になっています。」
コミュニティ貢献 × Play to Earn
――『Yay!』はどのようなユーザーをターゲットにしていますか?
石濵「ターゲットを明確に区切ることはしていません。興味と関心を軸に『Yay!』のサービス内でコミュニティ形成をしてもらうことを大事にしています。」
――趣味や年代など、共通項のある人同士をバーチャルで繋げることを大事にしていらっしゃるのですね。
既存ユーザーをオンボーディング
――今回のホワイトペーパーの発表で、『Yay!』にブロックチェーンが入ることを公開されています。
――その中で、特定の行動に対してトークン(仮想通貨のようなもの)をユーザーに付与する、いわゆる「Play to Earn (X to Earn)」の考え方が導入されていたことが印象的でした。
――こういった新しい仕組みが入ることによって、ユーザー層が変わることも想定されているのでしょうか?
石濵「はい。我々はユーザー層を4種類に分けて考えています。」
石濵「第一に、(ブロックチェーン導入前からの)既存のユーザーさんです。こちらの方々はブロックチェーンについての知識がある方は少数派だとみています。」
石濵「第二に、ブロックチェーンやトークンについて既に知識のある方々です。」
石濵「第三に、DeFiやイーサリアムでバリデータをやられている方で、最後はトレーダーの方です。」
――ブロックチェーンが入ることによって、既存のユーザー様以外のプレイヤーがYay!のプラットフォームに参入してくることを予測されているのですね。
石濵「そうですね。ですが、私たちが最も重要視しているのが、既存ユーザーさんに嫌な気持ちを抱かせることなく、ブロックチェーンがもたらすPlay to Earnの世界に参加してもらうことです。」
石濵「先ほど仰っていただいたように、『Yay!』の中にPlay to Earnの仕組みを導入します。コミュニティ貢献を通じて、稼げる仕組みへ参入してもらう導線を引くことが、我々が世の中から求められていることだと思っています。」
――コミュニティ貢献をすることでトークンを入手できるような仕組み、貢献すればするほど自分にとっての経済的インセンティブにもなる仕組みを構想されているのだと感じました。
石濵「そうですね。とはいえ、それを達成するためには、先ほど申し上げた2番目から4番目の方々(新しくYay!に参加するブロックチェーンへの知見がある方)に手助けをしてもらう必要があります。その方たちの力も借りながら、既存ユーザー層のオンボーディングをお手伝いする形になります。」
デジタルペットのバトルでトークンを獲得
――具体的にどのようなPlay to Earnを構想しているのかについてもお伺いします。
――ホワイトペーパーを読む限り、一言で言うと『コミュニティへ貢献をするとトークンが入ってくる』システムになるとのことですが、その具体的な内容を教えてください。
石濵「我々のサービスに『Pal(パル) 』というデジタルペットのNFTがあります。それを保有してもらうことが、Play to Earn体験の第1ステップになります。」
石濵「その後、ユーザーさんに『Yay!』のアプリでコミュニティ貢献をしてもらいます。『具体的にどのような行動がコミュニティ貢献になるのか』という話は、ちょっと複雑なので、是非ホワイトペーパーを読んでいただきたいです。」
――読ませていただきました。botなどの自動投稿を弾いたり、本当にコミュニティのためになる行動を設定したり、非常に高度な工夫がされていると感じました。
※4つのNFT/
貢献度を表す『トラストスコア』と『アクティビティスコア』
石濵「コミュニティ貢献度を決定するための指標は、大きく分けて二つあります。」
石濵「一つが『トラストスコア』です。これはユーザーさんがアカウントをどれ程の期間・頻度で運用してくれているのかを表すスコアで、ユーザーさん自身に対しての『トラスト』をスコア化したものです。」
石濵「もう一つは『アクティビティスコア』です。その日にユーザーさんが何をしてくれたのかを表すスコアで、タイムラインへの投稿などが関係します。例えば『あああ』といった意味の無い投稿ではスコアには影響しません。」
石濵「幅広く、色々な要素から見て、意味のある投稿を我々の中で分類し、スコアリングしています。また、友達を招待したり、ギフトを送ることでもスコアが貯まる仕組みになっています。」
石濵「『トラストスコア』と『アクティビティスコア』により、コミュニティへの貢献度が決まります。貢献度はゲージで表されます。」
石濵「貢献度ゲージが貯まったら『Pal(パル) 』を戦わせることができ、我々のトークンである『EMPL(エンプル)』を獲得することができます。」
石濵「話をPlay to Earnに戻します。先ほど「コミュニティ貢献」の話が出ましたが、このコミュニティへの貢献を行うことで、『コミュニティ貢献度』がゲージのような形でたまっていきます。」
石濵「そして、このゲージが一定値まで貯まると、他のプレイヤーの『Pal(パル) 』と戦わせることができます。そして、勝っても負けてもトークンを獲得することができます。」
――なるほど、勝っても負けてもトークンが貰える設計にするのは、工夫を感じました。
――『せっせと貯めたコミュニティ貢献度を使っても、何もメリットにならなかった』のが、一番プレイヤーとしては苦しいですからね。
ーーソーシャルゲームにスタミナの概念があると思いますが、それがコミュニティへの貢献度であるようなイメージでしょうか。
石濵「そのイメージに近いです。我々のサービスはゲームプレイでなくSNSですので、SNS活動を行っていただくことでバトルができるようになり、報酬が発生する、という仕組みです。」
後発サービスだからこそ、web3へ参入するメリットがある
――単純な疑問なのですが、お話伺っている限り、『Yay!』はサービスとしても順調で、敢えてweb3的なブロックチェーンやPlay to Earn体験を入れる必要性があまりないように感じます。
――その中で、敢えてPlay to Earnの導入を決めた理由を教えてください。
石濵「まず前提として、我々はマーケットで勝っていかなければならないと考えています。そのため、先ほどお話したコミュニティの機能面以外でも差別化を図る必要がありました。」
石濵「その時に参考にできる前例がありました。それは、とあるバーコード決済のサービスです。」
石濵「そのサービスは、後発で出てきた決済サービスです。そのうえ、スマホからQRコードを見せる作業が必要でした。クレジットカード等の他の決済システムよりも、ワンステップ手間が多い。」
石濵「そのため、最初は誰も使わないだろうと思われていました。」
石濵「しかし、今となってはその決済サービスを使っている方が数多くいらっしゃいます。それはなぜかというと、後発であっても金銭的なインセンティブがあったからです。」
石濵「そのサービスは強烈なマーケティングキャンペーンを打っていました。そのサービスを使うだけで、20%〜30%お金が戻ってくる。その体験がユーザーにとっても強烈だったのだと思います。」
石濵「なので、今では決済するときはそのサービスを優先的に使おうと思う人も。なぜなら、そちらの方がお得だったり、インセンティブによってユーザーが増え金銭のやり取りが楽だから、と多くの人が思うようになったためです。」
石濵「我々が実現したいことはこれに近いです。ソーシャルサービスが数多くある中で、金銭的インセンティブをサステナブルで提供できるトークノミクスを持つSNSとして勝ち上がっていきたいと思っています。」
――後発のSNSだからこそ、トークンの力を借りて、マーケットの中で戦っていきたいという強い意志を感じました。
web3プロダクトとしての『Yay!』の特徴
――経済圏を持つweb3プロダクトは様々ですが、その中で『Yay!』が特徴的な点を教えてください。
既存ユーザーの多さ≒安定収益
石濵「まず、既存ユーザー数が多く、全世界で800万人のユーザーがいる点です。」
石濵「ユーザー数が多いことで、現状すでにトークン以外の収益が存在しています。広告収益だったり、ユーザーさんが投げ銭をするギフトの収益、あるいはサブスク収益が存在します。」
――既に安定的な収益が入ってくる事業があるのは強いですね。
――世の中のPlay to Earnを志向する企業様でも、そう多くはない特徴だと感じております。
「普通の人」でもPlay to Earnを楽しめる
――とはいえ、Play to Earnのトークンは、価格が大きく変動することが多く、かなり難易度が高いと感じています。
――その中で『Yay!』が、いわゆるトークン経済圏を構築するときに、意識された点はどこでしょうか?
石濵「はい。構築で一番こだわったポイントは、一般の人たちに難しいことを意識させず、Play to Earnを楽しんでもらうためのロジックを組んだことです。」
石濵「まず『Yay!』は無料で触れるアプリケーションです。そしてなおかつ、『Pal(パル)』を育てる一環でブロックチェーンと自然に関われるようになっています。ユーザーさんに『ブロックチェーン』を意識させないように設計しています。」
石濵「この『ブロックチェーンであることを意識させずにブロックチェーンに触ることができる』システムを作ることは難易度が非常に高いです。」
石濵「ですが結果として、その点がユーザーさんにメリットがあり、投資家さんから見ても『マスアダプションに効果的だ』と思ってもらえる内容にできたらと思っています。」
「売り圧」と「買い圧」のデザイン
――Play to Earnを志向する以上、トークン価格を安定させることは、ユーザーから見てもサービス側から見ても、非常に重要かと思います。
石濵「『Yay!』のトークノミクスが特徴的であるのは、我々ナナメウエがトークンの発行元になりユーザーへ付与する構造を持つ点です。」
石濵「先ほどの決済サービスの例では、某大手通信会社より、何百億という出資を受けることでキャッシュバック企画を行っていました。」
石濵「一方『Yay!』では、発行したトークンを経済圏全体で支えるストラクチャーになっており、その循環によりユーザーさんがインセンティブを受け取れる構造となっています。」
――借りたお金ではなく、自社発行のトークンを使う。ユーザーの元に戻ってくるお金が「運営企業の借金」ではないと考えると、自社発行のトークンの見方が変わってきますね。
石濵「我々のサービスでは『EMPL(エンプル)』がユーティリティトークンになります。『EMPL』を出金するときに、市場価格で『YAY』というガバナンストークンに変えます。」
石濵「ドル($)で例えると、ユーザーさんが1000ドル分の『EMPL』を出金する時、我々のイーサのトレジャリーを使って1000ドル分の『YAY』を買います。そのうちの85%をユーザーさんのウォレットに渡し、15%が手数料として発生する構造になっています。」
石濵「それにより、1000ドル分の『YAY』が市場では買われている状態となります。その状態で、ユーザーさんが手に入れた850ドル分の『YAY』が全て売却されると、『買い圧』が150ドル分上回ります。」
石濵「逆に、ユーザーさんが手に入れた850ドル分の『YAY』を売却しないとしたら、1000ドル分の『買い圧』が市場に発生します。」
石濵「つまり、通常のGameFi(ゲーミファイ)であれば、出金されると売られる一方なので、『売り圧』も高まる一方ですが、我々が作っているものは出金されればされるほど、どんどん『買い圧』が上回る逆の構造になっている、ということです。」
https://lp.yay.space/docs/whitepapers/YAY_White_Paper_v2.2_jp.pdf
石濵「なぜこの構造を実現できるのかというと、我々のトレジャリーに『買い』を支えられるだけのイーサが既にあるためです。」
――非常に考えられた独特のシステムだと感じました。
石濵「ありがとうございます。私自身がずっとトレーディングをやっているので、金融的なナレッジや知識は一定持っているつもりです。」
石濵「その上で、売られ続けるだけのトークンは資本効率が非常に悪いことが分かりましたので、そうならないような構造をデザインしました。」
ユーザーメリットを追求するweb3プロダクト
ーー最後に、石濵様からユーザーへお伝えしたいことがあれば、お伺いできればと思います。
石濵「今までのトークンストラクチャーは、お客様が不利になってしまうことが多かったと思っています。どうしても会社側の利益を優先しなければいけない構造になってしまっていました。」
石濵「しかし我々のトークノミクスは、ユーザーさんと同じ方向を向くことができると思っています。」
石濵「盛り上がれば盛り上がるほど、ユーザーさんへのメリットも大きくなる仕組みになっているので、フェアに『Yay!』を一緒に盛り上げていきたいと思っています。」
――本日は誠にありがとうございました。御社の今後の活躍が、非常に楽しみです。
石濵 嵩博 様|株式会社ナナメウエ 代表取締役
1990年 愛知県生まれ。
青山学院大学社会情報学部卒。
大学在学中にサンフランシスコへ留学し、米Concept Art House社にてBizDev(事業開発)」を担当。
2013年5月 株式会社ナナメウエを創業。
「つながりを科学する」をミッションに、SNS の領域に従事。
2016年2月 タイにて大量のコミュニケーションデータを基盤に企業のAI活用を支援するDataWow社を設立。
2020年1月 「すべての人に居場所を」というコンセプトに、誰もが素を出せるバーチャルワールド「Yay!(イェイ)」をリリース。
2022年4月 シリーズBで総額16億円の資金調達を完了し、トークンエコノミーの形成によりweb3時代の新しい居場所を生み出し、日本のソーシャルの民主化を牽引。
株式会社ナナメウエ
「つながりを科学する」というミッションのもと、誰もが素を出せるweb3時代のバーチャルワールド「Yay!」を運営しています。
2020年1月のリリース以来、800万人以上が利用するYay!は「すべての人に居場所を」というコンセプトのもと、趣味が合う人同士がつながり、様々なコミュニティ運営やグループ通話をしながら、雑談やゲームを楽しんでいます。
今後はコミュニティ上にトークンエコノミーを形成し、サステナブルなバーチャルワールドの実現を目指しています。
各種リンク
Yay!公式:http://yay.space
YAY ホワイトペーパー v2.2:https://lp.yay.space/docs/whitepapers/YAY_White_Paper_v2.2_jp.pdf
株式会社ナナメウエ公式:https://nanameue.jp/