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細田守監督「イマーシブシアター 新ジャポニズム」特別対談で日本美術史とアニメーションの繋がりを語る


東京国立博物館では、「イマーシブシアター 新ジャポニズム 〜縄文から浮世絵 そしてアニメへ〜」を開催中。この展示では、巨大なLEDモニターを使用し、日本の伝統美術とアニメの世界を没入体験できる。NHKの技術を駆使した超高精細映像で、縄文時代から現代に至るまでの日本美術を大迫力で紹介する。特に、後半部分では、日本アニメの名作が登場し、日本美術とアニメの共通点が探られる。監督の細田守氏と学芸企画部長の松嶋雅人氏が対談し、日本美術とアニメの繋がりについて議論を深めた。さらに、細田監督は新作アニメ『果てしなきスカーレット』にも触れ、その内容に日本と西洋の美術から受けた影響を語った。日本の美意識が世界で人気を博していることを再認識させる展示となっている。

東京国立博物館 本館特別5室では、3月25日(火)から8月3日(日)まで、「イマーシブシアター 新ジャポニズム ~縄文から浮世絵 そしてアニメへ~」を開催中。

6月9日(月)にはメディア向け内覧会とともに、東京国立博物館 学芸企画部長 松嶋雅人氏と同展示に映像出演している細田守監督の2人での対談が行われた。

“イマーシブ”という没入型の展示や体験イベントが、いま人気を集めているが、今回、東京国立博物館で開催中の「イマーシブシアター」は、正面には高さ約7メートルという巨大な正方形のLEDモニターを据え、左右には横長のモニターもあるという圧巻のスケールでの没入体験ができる。

NHKの最先端技術を結集させた超高精細映像により、東京国立博物館が所蔵する国宝などの貴重な文化財を細部まで映し出した映像により、日本美術の世界に没入体験できる。

映像の流れとしては、縄文時代から始まり時系列で日本の美術が紹介され、後半には日本のアニメーションのパートに移る、という構成になっていた。縄文時代の土器や土偶、古墳時代のはにわ、平安時代の絵巻、室町時代の鎧兜、さらには江戸時代の屛風や浮世絵などを、ふだん見ることができない角度やサイズで堪能できる。

1万年以上前から、日本の風土の中で受け継がれてきた、日本独自の美意識が、いま世界で人気の日本のアニメにも共通していることを大迫力の映像によるタイムトラベルを通じて体感できる内容。

第3幕「日本アニメの誕生と飛躍」と第4幕「日本アニメと日本文化の共通コード」では、手塚治虫、高畑勲、宮崎駿、細田守による、日本を代表する名作アニメも続々と登場する。

東京国立博物館 平成館では、4月22日(火)~6月15日(日)の期間に特別展「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」も開催しているが、イマーシブシアターのナビゲーターは、大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK)で蔦屋重三郎役で出演している横浜流星が務める。音楽は映画、テレビ、演劇、ダンス、ファッション、広告など様々なメディアでの音楽制作を手掛ける蓮沼執太が手がけている。

細田監督と松嶋氏の対談では、日本美術とアニメーションとの繋がりや、日本美術と西洋美術の違い、絵画やアニメなどの解釈における観客の想像力の重要性などが話し合われた。さらに、細田監督は11月21日(金)に全国公開が決定している新作アニメ映画『果てしなきスカーレット』が控えている。まだ映画の内容は明かされていない部分が多いが、対談の中ではついついネタバレしてしまいそうになる瞬間がありながらも、日本美術、西洋美術から受けている影響などが監督本人から語られた。

『果てしなきスカーレット』について、松嶋氏より話を振られた細田監督は「主人公は16世紀ヨーロッパの王女様。西洋美術史でいえば、ルネッサンスから100年以上後の時代」と時代背景を説明。また、現実世界との行き来について聞かれると「16世紀を描きながらも、歴史もの、史劇ではなく、ちゃんと僕らが生きているこの現代にしっかりと照り返されるようなものでありたい」と、多少ぼかしつつも映画の内容について答えていた。

細田監督は、同展示の映像の中で、安土桃山時代から江戸時代初期(16世紀)にかけての絵師である長谷川等伯による国宝「松林図屛風」を例に挙げて、「日本美術は、描かないことで描く、ということを表現してきた。描かれていない空間にあらゆるものが宿っている」と論じている。

質疑応答の際に、今までの作品あるいは新作アニメにおいて、この「松林図屛風」のように“描かないことで描く表現”をどう意識してきたかを細田監督に質問したところ「『果てしなきスカーレット』と同時代に描かれた『松林図屛風』は、憧れの一つで、究極の表現だと思っています。アニメーションってなかなか、その境地に至ることが歴史的にはすごく少ない。 

たとえば、この『イマーシブシアター』にも登場している高畑監督は、“描かないことで描く”という境地、すごく過激な境地に至った監督です。『となりの山田くん』と『かぐや姫の物語』、あれはまさに背景が『松林図屛風』のように白いわけです。高畑監督の輝かしいフィルモグラフィ(作品歴)があってこそ可能になる、狂気の世界です」と、高畑勲監督の作り上げてきた作品や世界に畏敬の念を抱いていることや、アニメーションにおいて“描かないことで表現する”ことの難しさを伝えた。

 

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