宅配水「クリクラ」を提供する株式会社ナックは、11月19日に日本気象協会から防災士資格を持つ気象予報士を迎え、首都直下地震に備えた「在宅避難」と「防災の習慣化」をテーマとするメディア関係者向けセミナーを開催。
能登半島地震から1年(2025年1月1日)、阪神淡路大震災から30年(2025年1月17日)を前に、過去の大災害の経験からの知識も踏まえ、日常生活に防災習慣を取り入れる重要性を再確認する機会として、セミナーでは災害時に自宅で3日間以上を安全に過ごすための実践的な知識などの解説が行われた。
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第一部では、株式会社ナック クリクラビジネスカンパニー代表 川上裕也さんより、「クリクラの工場の拡充と安心・安全の取り組み」「災害時のクリクラの供給体制と被災地支援」などの内容の講演が行われた。
クリクラは日本全国44か所にプラントを配置し、自社配送を構築している。そのため、災害時でも被災地に近いプラント、営業所から水やウォーターサーバーを直送することで、被災地支援ができると川上さんは伝えた。また、利用者に最後まで届ける行程を自社で行っているため、緊急時でも対応できることがクリクラの特徴、とアピールした。
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具体的に被災地支援を行った事例については、同社の加盟店部 部長の宮崎さんが説明を行った。東日本大震災については「かなり大きい被害だったので2人1組で約10チームで仙台と福島方面に人員を派遣して対応しました。避難所への納品対応を積極的に行いました。水がなかなかない状況だったので、水を喜んでもらえました」と伝えた。ほかにも、熊本地震、能登半島地震でのクリクラの対応を紹介した。
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第二部では、日本気象協会所属 気象予報士 久保智子さんが「在宅避難の備え~日頃からできる防災対策~」と題した講演を行った。久保さんは、台風や豪雨などの近年の気象災害やここ数年の地震被害について触れたのち、首都直下地震で想定される被害についても説明を行った。
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首都直下地震が起こった場合、東京都だけでもおよそ300万人近くの避難者が出ると予想されている。その全員が避難所に行くことは難しい。避難所というのは、自宅が損壊するなどして自宅での避難ができない人が優先される。そのため、東京都でも在宅避難を視野に入れるように強く言われている。
続いて、在宅避難の判断基準、在宅避難と避難所それぞれの特徴などの説明も行われた。さらに、在宅避難の備えとしては、家具の固定、避難時に必要な防災バッグなどを枕元に置いておく、などの家の中の安全を確保することの重要性が伝えられた。
在宅避難に最低限必要な備え(ライフライン)としては、水道(給水タンクや給水袋)、ガス(カセットコンロとカセットボンベ)、電気(懐中電灯やヘッドライト)など、緊急時に必須なアイテムが挙げられた。
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食料や飲用水は最低でも3日分の備蓄が必要ということで、簡単かつ効率の良い備蓄の方法として「ローリングストック」が紹介された。普段食べている食品を少し多めに買い置きし、食べたら買い足して常に一定の食品を備蓄することをローリングストックという。
ローリングストックを意識し水や食品を備蓄すると、緊急時のために特別な物を買わずに簡単に備蓄ができる、消費期限切れを防ぎ食品ロスを防止できる、などのメリットがある。食品以外に生活用品にも応用可能。
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震災直後は交通機関の寸断への対応や人命救助が優先されるため、救援物資が届き始めるまでの3日分が食料備蓄の基本とされている。また、災害発生後の72時間(3日間)は、生存率が大きく下がる人命救助の分かれ目とも言われていて、この3日間を自宅で安全に過ごすために、日常生活にローリングストックを取り入れるなど、「在宅避難」を前提とした、日頃からの心構えと災害対策の習慣化が大切になる。