梅雨に入り、湿度が高い季節がやってきた。
この時期になると、決まって熱が出たり咳き込んだりする人もいると思う。
いわゆる夏風邪のような症状だが、まれにこの時期特有のアレルギー症状が原因のことがある。
今回はこの時期に多い、「夏型過敏性肺炎」について解説する。
高温多湿な時期に多い
夏型過敏性肺炎は、暑いことに加え、じめじめとした湿度が高い環境で発症しやすい。
そのため、東日本より西日本での発症例が多いと言われている。
カビが原因
高温多湿と聞いて、思い当たる人もいるかもしれないが、夏型過敏性肺炎はカビに対するアレルギーが原因だ。
このカビは、「トリコスポロン」という名前だ。
風通しや日当たりが悪い家、水まわりの木材に住みつくとされている。
その他にも、クーラーのフィルターなどにも生息しやすい。
症状は夏風邪に似ている
夏型過敏性肺炎の代表的な症状は、空咳、息切れ、発熱だ。
アレルギー性疾患だが、鼻水は現れにくい。
また、原因となるカビを吸い込んでから、6〜8時間後に症状が出現し始めるのが特徴だ。
例えば、子どもが学校に行って、そこでカビに暴露したとすると、家に帰る頃に咳や熱が出たりする。
階段を登る時に、息切れしたりもする。
そして数日で自然に治ることも多いため、夏風邪と間違えやすい。
カビに触れないことが大事
原因となるカビがはっきりしているため、まずはカビに暴露しないことが大切だ。
また、アレルギーのお薬やステロイド剤を使うこともある。
症状によっては、入院しての治療が必要になることもある。
入院すれば、曝露源からも離れられて症状が軽快する。
しかし、退院すれば、再度曝露されるため、症状が再発してしまうのも特徴のひとつだ。
繰り返し症状が再発する場合は、夏型過敏性肺炎の可能性がある。
予防するには…
夏型過敏性肺炎の予防には、カビを生やさない環境作りが大切だ。
特に、クーラーのフィルター掃除などは定期的に行って欲しい。
また、水まわりを清潔に保つことが大切だ。
大掃除、引っ越し、寝具の交換などもおすすめだ。
執筆者:あやたい
医療制度や医療職・医療現場が抱えるさまざまな問題について考える医師。
日々変わっていく医療現場から生の声や、日常に役立つ医療知識を発信したいという思いで執筆。