呪い? 都市伝説? カントリー・ガールズに降りかかる数々の厄難
とりあえず、最悪の事態は逃れたということでホッと胸をなでおろすファンの一方、依然として不安を拭い去ることができない者も少なくない。その背景には、20年近くにわたり囁かれてきた都市伝説的な噂の存在も……。
稲場愛香がグループの活動から離脱したのは、4月16日のことだ。東京・ディファ有明で行われた3rdシングル『ブギウギLOVE/恋はマグネット/ランラルン〜あなたに夢中〜』の発売記念イベントを「体調不良」を理由に欠席。ハロプロに限らず、アイドルが体調不良を理由にイベントやコンサートを欠席するのは、さほど珍しいことではない。このときも、多くのファンは「すぐに戻ってくるだろう」「明日は個別握手会があるから大事を取ったのだろう」と、重く受け止めてはいなかったはずだ。
しかし、翌日のグループチェキ&個別握手会にも稲場は姿を表さなかった。山木梨沙と並び、グループで断トツの更新数を誇ってきたブログも、4月14日を最後に途絶えていた。
4月20日、「ご心配おかけしました( .. )」のタイトルで、久しぶりにブログを更新。前述の発売記念イベントとチェキ&個別握手会の欠席を詫びた。「やっと戻ってくる」とファンが喜んだのも束の間、その後、ブログの更新は再び途絶えた。4月23日、翌24日に予定していたグループチェキ&個別握手会の稲場の欠席を発表。後日振替および返金対応も告知された。さすがに、ハロプロファンの間でも稲場の体調と今後を心配する声が静かに広がっていった。なかには、「脱退」を危惧する声も……。
その不安が一気に高まったのが、メンバーの森戸知沙希のブログに、ある変化が見られてからだ。5月14日から、全国のライブハウスを回るツアーを予定しているカントリー・ガールズ。森戸のブログでも、「7人体制になって初のツアー」という煽り文句とともに追加公演の告知が毎回されていた。それが、稲場が一時的にブログを更新した4月20日から、追加公演告知に「7人体制になって初のツアー」という文言が使われなくなったのだ。定型だった告知文の変化を、目ざといアイドルファンが見逃すはずがない。ネット上でも、「7人体制じゃなくなるということか!?」「まなかん(稲場の愛称)はやっぱり脱退?」と不穏な空気が広がっていった。
稲場愛香というアイドルについて、簡単に説明しておいた方がいいかもしれない。
2013年5月、ハロプロ研修生に加入。それ以前から、地元北海道のローカルアイドルグループ「PEACEFUL」のメンバーとして活動していただけあって、研修生加入時には下地ができあがっていた。特にダンス技術が高く、2014年11月にカントリー・ガールズのメンバーとなってからは、ハロプロの全体コンサートで好例になっている選抜メンバーによるダンスパフォーマンスコーナーでも「センター」的役割を担ってきた。稲場のダンススキルがハロプロ随一であることは、ファンだけでなく、メンバーたちも認めるところだろう。
その他にも、アイドルらしい特徴的な歌声、機転が利くトーク、ライブ中や握手時のファンへの厚遇など秀でた部分が多く、カントリー・ガールズの一番人気メンバーと言ってもいいメンバーだ。
4月28日22時頃の公式発表で、現在の離脱が病気療養のためであることが知らされ、ツイッター上でも安堵の声が溢れかえった。それだけ、稲場の不在を心配し、彼女に期待を寄せていたファンが多かったということだ。しかし、予定されていた舞台『気絶するほど愛してる!』の大阪公演は中止となり、ツアーも中心メンバーの稲場抜きで行うことになる。グループのPM(プレイングマネージャー)である嗣永桃子も、「不安な気持ちがないといったら嘘になります」と、稲場の離脱を知らせるブログに綴っている。嗣永のブログにもあるように、今が“6人”のがんばりどころだ。
それにしても、カントリー・ガールズというグループは、たびたびアクシデントに見舞われるグループだ。2014年11月に結成、年明けのハロプロ全体コンサートで『愛おしくってごめんね』のパフォーマンスが大きな話題を呼ぶものの、人気の大きな推進力となっていた島村喜唄が突然の脱退。2015年6月12日の公式発表では、「ご家族と弊社との間に埋めることができない隔たりがあることが明らかになってまいりました」という異例の説明もあったため、“銭闘”も含めてさまざまな推測が飛び交った。
うたちゃん(島村の愛称)ショックも癒えぬ同年8月には、山木梨沙がマイコプラズマ感染症を患い、10日間ほどの療養を強いられることに。カントリー・ガールズの勢いに衰えが見えていたことは明らかで、それに対するテコ入れでもあったのだろう。11月、ハロプロ研修生の再注目株、船木結と梁川奈々美の加入を発表。両名への期待度の高さも手伝い、勢いを取り戻しつつあった中での稲場の離脱劇だった。
度重なる不運に、「カントリーは呪われている」という物騒な物言いをするファンもいるほどだ。その言葉の背景には、カントリー・ガールズの前身である「カントリー娘。」に降りかかった厄難の数々がある。
1999年4月、「半農半芸」をコンセプトに誕生したカントリー娘。。メンバーは、戸田鈴音、柳原尋美、小林梓の3人。しかし、同年7月、『二人の北海道』でのインディーズデビュー直前、メンバーの柳原尋美が交通事故によって亡くなってしまう。翌月には、リーダーの小林梓が脱退。「心労」との公式発表ではあったが、「加入前のヌード仕事がバレてクビになった」との噂も。その後、あさみ、里田まいが加入するも、唯一の初期メンバーであるりんね(戸田鈴音)が卒業。みうなの加入、あさみとみうなの卒業と流転を繰り返し、最終的には里田まいが唯一の所属メンバーとなってしまった。
このグループを受け継ぎ、名称を改めて誕生したのがカントリー・ガールズだ。依然、稲場愛香とグループの行く末に不安を残すファンたちも、「呪い」などという非科学的なことを信じているわけではないだろう。ただ、「一度、きちんとお祓いをしてもらった方がいい」「いっそ、改名すべき」と真剣に心配する声が多数あるのも事実だ。
少しでもファンやメンバーの不安が消えるのならば、この際、こだわりは捨て、前向きなリスタートとして改名するのも有りなのかもしれない。
【リアルライブ・コラム連載「アイドル超理論」第25回】
【記事提供:リアルライブ】
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