【不朽の名作】漫画界のレジェンドたちの青春と挫折を描いた作品「トキワ荘の青春」
タイトルに「トキワ荘」と入っている時点で、だいたいの人はわかると思うが、手塚治虫や藤子不二雄、石ノ森章太郎、赤塚不二夫など、後の漫画界を引っ張っていくこととなる漫画家たちが若手時代をすごしたトキワ荘でのエピソードを扱った作品だ。とはいっても藤子不二雄や赤塚の華々しい成功物語を描くのがこの作品の中心ではない。手塚が去った後のトキワ荘の住人たちに「テラさん」と呼ばれ尊敬され、頼りにされた漫画家・寺田ヒロオがこの物語の主人公だ。
寺田といえば、貸本全盛時代から漫画界で活躍し『スポーツマン金太郎』や『背番号0』など、数々の名作を残している。しかし、70年代には早くも漫画家としては引退状態で、80年代以降に有名作がないことから、他のトキワ荘メンバーに比べると後の知名度はそれほど高くない。この作品はそのトキワ荘の負の部分、ダークサイドを描いており、寺田がなぜ後に漫画家を引退してしまったのかの心理描写が所々で描かれている。
だが、全体的な雰囲気作りとして、暗くなりすぎていないのが、この作品の良い部分だ。後に戦後間もない昭和を描き人気となった『三丁目の夕日』のような“みんな貧乏だけど明るかった”という雰囲気が満載だ。とはいっても押し付けがましくはなっておらず、淡々と時の流れが移り変わっていくといく感じで、「こんなに素晴らしかった!」と過度に漂白された戦後初期の昭和の描写を嫌う人にもイライラする部分もなく楽しむことができるだろう。
しかし、この淡々としたさまが、主人公の性格に違和感を与えているのも確かだ。寺田を本木雅弘が演じているが、作品の雰囲気に合わせたのか、かなり静かな性格の人物になっている。藤子不二雄A名義で出した自伝的作品『まんが道』を読んだ人なら知っているだろうが、この作品での寺田は、トキワ荘の頼れる兄貴分で、原稿を落として震える藤子不二雄のふたりを一喝し、鼓舞しているシーンなどで、かなり熱い男として描かれている。また、お金がなくなり、漫画を編集部に持ち込んでもダメ出しされるばかりの赤塚が実家に帰ろうとするのを呼びとめ、見返りを求めずに金を貸すエピソードが残っているなど、面倒見のいい人物であることがうかがえる。しかし同時に頑固でもあり、『まんが道』などにもそのエピソードがあるが、後にアクションや暴力描写の多くなった少年漫画を批判し、70年代に絶筆宣言をしてしまうことにもつながってしまう。その頑固な部分がこの作品では弱く、ただのやさしいお兄さんになってしまっている。
作品の雰囲気には合っているのかもしれないが、他の作品での寺田の魅力を知っている人には、物足りないキャラにも映ってしまう。冒頭の安酒の美味しい飲み方や、貧乏料理を教えるシーンなどはおそらく『まんが道』の方がコミカルかつ寺田の頼れる人物感が良く描写されている。大森嘉之が演じる赤塚が、トキワ荘を出ようとして、挨拶に来るシーンでも、説得が淡白すぎて、ただお金を貸しているだけの印象にも映る。
おそらく、過度に激しい描写にして「ウケ狙い」と見られてしまうのを避けたかったのだろう。それは、もうひとりのトキワ荘のダークサイドを担う人物の描写がこの作品では重要になっているからだ。古田新太演じる森安直哉は、トキワ荘で寺田、藤子不二雄らと「新漫画党」結成に関わるが、貸本業界衰退後は、時代の流れについていけずに、最終的にはトキワ荘を飛び出してしまう。他の漫画家が売れっ子になっていくなかでひとり残されてしまう、むなしい姿が強烈に印象に残るようになっており、この作品の主役がトキワ荘を出た後も大活躍するメンバーではなく、寺田を含む、後に伸び悩んでしまった人物たちが主役であることを強く印象づける。
また、親交はあったが、そこまで深くトキワ荘とは関わっていない、つげ義春をあえて登場させ、寺田を「いい人すぎる」と評すシーンも、後の寺田を暗示しており、かなり印象的なシーンだ。他のトキワ荘の住人のように時代の新しい流れを作れず、つげのように、わが道を行くスタイルも確立できなかった、寺田の「いい人」の部分だけを極限まで抽出したのがこの作品なのだ。おそらく熱血漢にしすぎると、森安が失踪した段階で、怒るシーンなどを盛り込まなければいけないので、この静かで空しいが、そこまで悲しくもない、なんとも言えない青春の匂いがする作品は作れなかっただろう。個人的には「もう二度と森安とはつき合わん!」などと激怒した寺田も見たかったかもしれないが。
他の登場人物を演じる役者も、阿部サダヲ(藤本弘)や鈴木卓爾(安孫子素雄)、生瀬勝久(鈴木伸一)など、今では個性的なキャラを演じている俳優が多く、コミカルな場面も多いので、漫画界の伝説の数々が生まれた場所を感じてみたい人にはオススメだ。
(斎藤雅道=毎週土曜日に掲載)
【記事提供:リアルライブ】
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