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ドラフト戦線異常アリ 異例の偏重ドラフトとなる埼玉西武



 関係者としか言えないが、今年の埼玉西武ライオンズは「投手に偏重したドラフトになる」そうだ。それも、高校生投手ではなく、社会人、大学生の即戦力を重視した指名になるという。
 「全員、社会人、大学生のつもりで…」
 関係者はそう語っていた。「高校生投手ナシ」はあくまでもたとえであり、それくらい、投手陣の補強を急いでいるというわけだ。岸孝之、牧田和久、十亀剣、菊池雄星、高橋光成、野上亮磨、郭俊麟など先発スタッフは揃っているが、チーム防御率は3.69(リーグ5位)、2ケタ勝利を挙げたのが十亀1人(11勝)では物足りないと見てだろう。

 1位入札は今永昇太(左投左打/駒大)だと思われる。
 「1位候補が投げられたのを見ることができて、良かった」
 渡辺久信シニアディレクターが、故障でしばらく大事を取っていた今永の“復帰マウンド”を見た後、各メディアにそうコメントしている。昨年のドラフトもそうだった。時折、西武はあえて1位指名を明かすか、匂わすようなコメントを出して、指名が重複しそうなライバル球団を牽制する。どの球団も本能的に入札での重複を嫌う傾向があるからだ。
 「熊原健人(右投両打/仙台大)の入札もあり得る。最近の西武は真っ直ぐの速い投手が少なくなったので」(在阪球団職員)
 熊原は、巨人、楽天も高評価している。今年6月、やはり渡辺SDが熊原を直接視察しており、「上位候補」と言い切っていた。今永、熊原とも重複は必至。前年の「高橋一本釣り」のように上手く行くだろうか。
 このほか、西武スカウトが熱心に見ていたとされる大学生、社会人投手は岡田明丈(右投左打/大商大)、多和田真三郎(右投右打/富士大)、西村天裕(右投右打/帝京大)、横山弘樹(23=右投左打/NTT東日本)など。「西村は投球フォームを少し改良しなければならない。左肩の開きが早い」(前出・在阪球団職員)
 しかし、西村に関しては「右腕の振りのしなやかさ、試合終盤でも球速が落ちない」と、絶賛するスカウトもいた。西武スカウト陣が投球フォーム改良にさほど時間が掛からないと判断すれば、上位指名されるだろう。

 興味深いのは、社会人・横山の指名順位だ。昨年のドラフト終了時から「来年は横山」と話すスカウトも何人かいた。間違いなく、社会人ナンバーワンなのだが、社会人投手は指名解禁年に調子を落とすヘンな傾向があり、横山も夏の都市対抗前後から本来のピッチングを見失っている。ほとんどの球団が「普通なら(本調子なら)、1位候補だが…」とためらっている。各球団が1位入札での重複を嫌う理由は2度目の入札で再抽選となった場合、その外れたときの本命と再々入札選手の力量差が大きいからだ。2度目の抽選は西武も嫌がっている。西武は牧田、十亀など社会人投手の成功例も多いので、2度目の抽選を避け、この横山の指名を繰り上げてくるかもしれない。

 また、スポーツ新聞等では「B評価」だが、各スカウトが意外と高く評価しているのが、Hondaの右腕・石橋良太(24=右投左打)だ。たしかに目立った成績はおさめていたが、
 「選手層の厚いHondaにいて、1年目から投げていた投手。明徳義塾時代(高知)、徹底的に基礎体力と投球術を叩き込まれていて、野球もよく分かっている。カットボール、スライダーは一級品」(在京スカウト)
 との声も聞かれた。
 今年は高校生に逸材が多いので、社会人選手の多くが下位指名になる可能性が高い。この石橋が下位まで残っているとしたら、高校時代から見守ってきた西武が放っておかないだろう。

 高校生も指名するとしたら、東海大菅生の勝俣翔貴(右投左打)を狙うようだ。勝俣は投手だが、それは彼の野球センスとチームの都合でコンバートされただけで、U−18でチーム最高打率を残したように、打撃力は二重丸である。西武は投手で指名して主力野手に育て上げた実績も過去にあるだけに、「3年以上先を見据えた投資」として、この勝俣を下位指名してくるかもしれない。
 学校関係者によれば、勝俣はプロ志願届を出しているが、系列大学から“特例”を与えられているという。「指名がなければ進学」、「下位指名や育成枠の低評価だった場合は進学と天秤に掛ける」のだそうだ。特定球団への思い入れはないらしいので、育成ビジョンをきちんと説明すれば、大丈夫だと思うが…。
 西武は投手に偏重したドラフトとなる。要するに、来季は優勝を狙うつもりでいて、ドラフトでその戦力補強の大半を終わらせようとしているのだろう。育成と野手指名は必要最低限となるようだ。

※渡辺久信シニアディレクターのコメントは共同通信配信記事を参考といたしました。尚、大学野球の指名打者制で試合が行われますが、熊原健人投手は高校時代に右打席での公式記録もありましたので、「右投両打」と表記しました。

【訂正】岸選手の名前の表記が間違えておりました、正しくは岸孝之です。訂正してお詫びします。

【記事提供:リアルライブ】
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