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山田裕貴「木の上の軍隊」観客の前で宣言「作品を受け止めてくれるのが幸せな人間、俳優である」


映画「木の上の軍隊」ロングラン御礼Q&A舞台あいさつに登壇した山田裕貴(撮影・村上幸将)

山田裕貴(34)が23日、東京・丸の内ピカデリーで行われた、堤真一(61)とのダブル主演映画「木の上の軍隊」ロングラン御礼Q&A舞台あいさつに、平一紘監督(35)とともに登壇。舞台あいさつの最後に「これから残す作品も全て、ヒットすることがうれしいんじゃなくて、作品のメッセージを受け取ろうとしてくれるのが幸せだと感じる人間でありますし、俳優であると、ここに宣言します」と個人として、俳優としてのあり方を、満員の観客の前で力強く口にした。

「木の上の軍隊」は、太平洋戦争末期に熾烈(しれつ)な地上戦が繰り広げられた沖縄で、終戦を知らずに2年間、ガジュマルの木の上で生き抜いた日本兵2人の実話を基にした物語。堤は、太平洋戦争末期の1945年(昭20)の沖縄・伊江島に宮崎から派兵された上官の山下一雄、山田は地元沖縄出身の新兵・安慶名セイジュンを演じた。実話を元にした劇映画で、堤が演じた上官の山下一雄には山口静雄さん、山田が演じた安慶名セイジュンには佐次田秀順さんとモデルとなった実在の兵士がいる。撮影は沖縄と伊江島で24年11月から約1カ月、行われ、山田と堤はガジュマルの木の上で撮影した。

映画の原作は、10年に亡くなった劇作家の井上ひさしさんが生前、やりたいこととして記し、病床でプロット(あらすじ)まで作り、残した1枚のメモを基に、没後の13年に初演された舞台だ。「父と暮せば」「母と暮せば」と並ぶこまつ座「戦後“命”の三部作」と位置づけられ、再演を3度、重ねた。

質疑応答の中で、舞台のヘビーユーザーという女性から、この日、映画を見て、山下と安慶名が米軍の残留物を見つけて破壊行動を行い、初めて勝ち誇ったシーンを「どう解釈していいか分からず、ワジワジした」と、複雑な思いを抱いたとの感想が寄せられた。平監督は「直前までなかったシーン。脚本の構成の中で、あのシーンがなくて2人がずっと苦しいままで発散がないと、見ていてつら過ぎると思った。2人が米軍基地に突っ込んだり、米兵1人を狙撃して倒すのも史実にないのでできない。ただ、ごみ捨て場であれをするのはできる」と当該シーンを創作した狙いを説明。「はたから見たら惨めなんだけど2人からしたら、それしかできることがない。令和を生きる僕たちは100%、負けるって分かるじゃないですか。何かで勝たせてあげたかった」と続けた。

山田も「あのシーンを直接的に受け止めると難しい。どうせ米軍が、ごみに捨てたものじゃないですか? たたき割ることくらいしかできなかった、惨めな2人なんです」と当該シーンについて語った。その上で「お友達と言い合いになって、100%、自分が悪い、負けている時でも、何か1こ、言い返したくなる時、あるじゃないですか? 相手が正しいのに、人間は、でもさ…となる。その惨めさ、こっけいさ、弱さたるやない…謝れば良いのに、攻撃性を持ってしまう人間の本能が出ているシーン。あそこしか良しとできない存在」と、人間の小ささを表したシーンだと強調した。

山田は「木の上の軍隊」としては、恐らくは最後になるであろう舞台あいさつの最後で熱く語った。

「沖縄が舞台になっている作品で、沖縄で関心が高い、人がたくさん入ってくれるのは、ものすごく分かる。正直、戦争を扱った映画で、全国でたくさんの人が見てくれるとは。お芝居…やったことには自信があるんですけど、監督も自信がなかったと思う。ロングランヒットとか、キャッチーに言葉として見ると、僕の心が汚れているからなのか…。この映画がいっぱいヒットしているんだ、みたいなことが、うれしいんじゃなくて、この映画をちゃんと受け取ろうとしてくれる人が多いこと、映画のメッセージをちゃんと誰かに伝えよう、もう1回、見ようと思ってくれるのは、戦争に目を向けることと同義だと思っているので、僕はそれがうれしい」

その上で「どの作品を残していく俳優になろうと、ヒット、ヒットじゃなくて、心にホームラン」と口にしたが、そこで一瞬、口ごもった。平監督から「見出しは決まったかも」と突っ込まれると「また、やっちゃったよ」と自らにダメ出しした。そして「ちゃんと、真面目に言うと」と仕切り直し「ヒットしたから、うれしいんじゃなくて、皆さんが、この作品の何かを受け取ろうとしてくれる気持ちと、たくさんの人が受け止ってくれていることが、うれしい」と、かみしめるように語った。【村上幸将】

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