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望海風斗は人見知りの心配性…「石橋をめちゃめちゃたたいて」ドラマ進出 今夏3作品で奮闘中


とても礼儀正しく、自信に溢れた笑顔が素敵な望海風斗。撮影の合間も、自然と周りを気遣える人柄がとても印象的でした(撮影・菅敏)

宝塚歌劇団を退団して4年。舞台を中心に活動してきた元雪組トップスター望海風斗がこの夏、ドラマに本格進出し、3作に出演する売れっ子ぶりをみせている。芸能界の花道をさっそうと歩いてきた一方で、素顔は根っからの「人見知りの心配性」。石橋をたたきまくりながら、一途にキャリアを切り開いてきた。【梅田恵子】

★「私には無理って」

連ドラ初挑戦となった7月期、テレビ朝日系「誘拐の日」、WOWOW「殺した夫が帰ってきました」、NHK「あおぞらビール」と、いきなりドラマ3作に出演し、奮闘している。

宝塚退団4年目での新境地。「18年やってきた男役を離れて、やっと自分の呼吸で舞台に立てるようになってきた。居場所が見つかったと思えたので、新たな世界に飛び込んでみる時期なのかなって」と語る。

根っからの舞台志向で、映像作品には二の足を踏んできたという。

「事前に濃密なけいこがある舞台と違って、その場で監督の要求に応えていく瞬発力が必要と聞いて、私には無理だよって(笑い)。すごい人見知りの心配性。石橋をめちゃめちゃたたきながら渡っていくタイプなので、はじめましての輪に入っていきなり『アナタたち夫婦です』とか言われもビビります、みたいな」。子どものころからそうなのだという。「家に帰れない修学旅行みたいなお泊まりも苦手で、しおりに書いてあるものをちゃんと準備して、何度も点検して」。

★発見と学びの連続

飛び込んでみたドラマの世界は、発見と学びの連続だった。「芝居が大げさにならないように気を付けているのに、映像を見たら、目の芝居だけでもうるさいんですよ(笑い)。何かたくらんでいるように見えちゃうというか」。「監督に『もっと力を抜いていいよ』と言われた意味がよく分かりました。あと、滑舌が良すぎてもダメなんですね。一語一句はっきりしゃべっちゃうと、ウソくさく聞こえるんだなって」。

「誘拐の日」は看護師長、「殺した夫が帰ってきました」はアパレル会社の上司、「あおぞらビール」ではキャンプ場で出会う子連れの女性を演じている。いずれも、これまでのキャリアでは演じることがなかった市井の人々だ。

★ペーペーのように

「看護師さんに見える手の動きひとつとっても、日常をいかに見せるかというのはやっぱり難しいですね。何の役が来てもいいように、いろんな人を見ておこうと思うようになりました」。どのキャラクターも生き生きと魅力的だと伝えると「よかった!」と底抜けに喜ぶ。「ドラマではまだ初心者マークの新人なので、どんどん自分の個性を見つけていきたい。『宝塚のトップってこんなもんか』と思われたら嫌なので、すごい人のように思わず、ペーペーのように扱ってほしいです(笑い)」。

★天海舞台一目惚れ

「人見知りで心配性」だが、宝塚歌劇という究極の表舞台を目指すことに迷いはなかった。小学生の頃、宝塚ファンの叔母と「グランドホテル」(93年)の天海祐希を見て、「一気に恋に落ちた」。もともとクラシックバレエとピアノを習い、歌も大好き。「夢の世界に私も入りたくて、宝塚だけは何の怖さもなく飛び込めた」。

音楽学校では常に上位成績を収めたが、とんとん拍子にスター街道とはいかなかった。「成績とスター性は関係ないんですよね。天海祐希さんにあこがれて宝塚に入りましたけど、自分はあんな見るからに華とオーラがあるタイプではないとだんだん分かってくる。度胸があるわけでも前に出られるタイプでもない。自分だけの魅力、スター性が必要なんだと」。

★男役理想デニーロ

模索する中で、理想の男役像の手本としたのはロバート・デニーロだった。役の人生を生きているように表現し、受け手の心をつかむ名優だ。「ちょっと影があるというか、にじみ出る男の色気みたいなものが私には刺さった。こういう男役がいてもいいんじゃないかと」。

「ファントム」や「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」など、悲劇性を背負ったキャラクターの悲しさ、あたたかさはこの人の独壇場とされ、心情を表現するずば抜けた歌唱力とともに、いつしか宝塚の歴史を紡ぐスターの1人になった。トップ在籍中はコロナ禍にも見舞われている。宝塚も、度重なる緊急事態宣言による公演中止など大きな試練を受けたが、「ファンのためにできること」を組子たちと考えるスタイルで組をまとめ、名トップとしてファンに愛されたのもこの人らしい。

★秋にはエリザベート

秋には、大型ミュージカル「エリザベート」(10月10日開幕、東急シアターオーブなど)で、明日海りおとダブルキャストでエリザベート役を務める。「驚きました。直感的に、私には一生来ない役だと思っていたので、夢じゃないかと」。

明日海は宝塚の同期でもある。明日海の花組トップお披露目公演も「エリザベート」(14年)で、望海は物語の進行役でもある暗殺犯ルキーニ役を演じている。公演後、雪組へ組替えし、3年後にトップの座をつかんだ。「私にとっても転機となった作品で明日海と再会できるのは本当に感慨深いです」。

「エリザベート」公演期間中に開催された宝塚100周年大運動会は2人のきずなを物語る。「花組がビリで終わってしまって。特に星組の柚希礼音さんが強いんですよ(笑い)。私たちはどの競技でも勝てないという屈辱を」。傷心のまま東京宝塚劇場入りとなった組子たちをねぎらおうと、2人で劇場の大風呂を1日限りの温泉風に演出。「♪いい湯だな、って歌を2人で替え歌で録音して、エンドレスで流して」と、懐かしそうに振り返った。

★来世は踊れる男役

退団のサヨナラ公演では、ファンに「生まれ変わっても、宝塚でお会いしましょう」とあいさつして話題になった。その気持ちは今も変わらないという。「男役として主に歌の方で頑張ってきたので、来世では踊れる男役になりたい(笑い)。大浦みずきさんや安寿ミラさんみたいに、海外のスタッフが来てニューヨーク公演までやるような」。

目指す俳優像を聞くと「ちょっと出ただけで、この人絶対おもしろいじゃん、と思ってもらえるような味や魅力を匂わせられる人になれたら」と語り、「これって、今世の話ですよね?」。今世も来世も、俳優業を極める気満々である。

▼テレビ朝日系「誘拐の日」峰島あゆみプロデューサー

子ども思いの小児科の看護師長という役柄だったので、カメラが回っていないときも芽生ちゃん(日下莉帆)と積極的にコミュニケーションを取り、自然と距離を縮めてくださいました。宝塚のトップスターとして華やかなキャリアをお持ちですが、映像は新たな挑戦ということで、監督の意見に丁寧に耳を傾け、分からないことは率直に質問されるなど、真摯(しんし)にひたむきに向き合う姿がとても印象的で、何事にも努力を惜しまない方。熱心な看護師長という枠を超え、このヒューマンミステリーの中で少しミステリアスな余韻も残す存在感を放っていて、物語に奥行きを加えていただきました。

◆望海風斗(のぞみ・ふうと)

10月19日、横浜市生まれ。03年宝塚歌劇団に入団し花組配属。09年「太王四神記」で新人初主演。14年に雪組に組替えし、17年同組トップに。21年退団後、「ガイズ&ドールズ」「DREAMGIRLS」「ムーラン・ルージュ! ザ・ミュージカル」などで活躍。23年に読売演劇大賞優秀女優賞、菊田一夫演劇賞受賞。169センチ。

◆ドラマ進出した7月期の3作品

▼テレビ朝日系「誘拐の日」(主演斎藤工、火曜午後9時) 主人公の娘が入院する病院の看護師長役。

▼WOWOW「殺した夫が帰ってきました」(主演山下美月、金曜午後11時) 主人公が勤務するアパレル会社の上司役。

▼NHK「あおぞらビール」(主演窪塚愛流、月~木曜午後10時45分) 主人公たちがキャンプで出会う家族連れの女性。登場人物の就職活動に関わりを持つ。

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