
シンガー・ソングライターHIPPYが14日、広島サンプラザホールでメジャーデビュー10周年記念の初のアリーナライブ「THEヒーローアイランド計画in ARENA」を4000人のファンを集めて開いた。「君に捧げる応援歌」「大丈夫さ」「僕らのスタートライン」など全22曲を熱唱した。同じ広島出身の盟友TEEや音楽仲間の財部良治もステージに応援にかけつけ、途中感極まる場面もあった。
地元・広島での念願の開催にHIPPYは「デビューするまで15年かかっているんで僕の中で25年。広島で四半世紀歩んで、アリーナという舞台に立つことができました。本当にここまで連れてきてくれてありがとうございます」と感謝の気持ちを口にした。
2017年にリリースした「君に捧げる応援歌」は公式YouTubeチャンネルでのMV再生3500万回、TikTok1億回再生を超え、国民的な応援ソングとして定着した。HIPPYは「最初はラブソングで、あとはデブソング(笑い)。日々、歩いてきてエールソングを見つけてもらった」と話した。
今年は被爆80年の節目。被爆3世のHIPPYは毎月6日に広島市内のバーで、被爆者を招き当時を語ってもらう「原爆語り部 被爆体験者の証言の会」を運営している。同じ被爆3世で、広島商業野球部出身のバー経営者冨恵洋次郎さんが2006年から始めた。「大好きな先輩だった」冨恵さんが急逝した17年から活動を受け継いでいる。
ライブの途中、HIPPYは「きょうは会場をオレンジ色に染めたい」と、大型ビジョンをオレンジ色にするように呼びかけた。被爆体験者から「原爆で光ったオレンジ色が嫌い。だから夕焼けが嫌い」というトラウマを聞いて、「オレンジ色をすてきな色に変えたい」という願いだった。
この日発売のニューアルバム「ひろいしま」にも収録され、平和への思いを込めた歌「ほしのまち」を出身の崇徳中高校のグリークラブ(合唱団)の生徒たちと一緒に歌った。今年の夏、中国地方で開催する全国高校総体(インターハイ)の公式応援ソング「ぼくらのスタートライン」も一緒に歌った。
ライブ終盤では来年、全国ツアーをすることを発表。今後の目標としてNHK紅白歌合戦の出場、日本武道館でのライブ実現を掲げた。
◆HIPPY(ヒッピー)1980年(昭55)8月8日、広島市生まれ。バンド活動を経て、2011年からソロ活動。15年4月にミニアルバム「I’m HIPPY」をリリースしてメジャーデビュー。17年3月リリースのフルアルバム「HomeBase~ありがとう~」に収録の「君に捧げる応援歌」がロングセラーとなり、多くのプロ野球チーム選手の登場曲に使用されたことで注目される。20年のプロ野球選手の登場曲タイトル別ランキング1位。公式YouTubeでMVが3500万回再生、TikTokで1億回再生を超えた。23年は横浜DeNAベイスターズ牧秀悟の登場曲「We Can Make it」を書き下ろしで提供。同年8月9日リリースのアルバム「夜明け-Be Alive-」は、日本レコード協会ストリーミングゴールド認定。同じ被爆三世の冨恵洋次郎さんが続けていた「原爆の語り部被爆体験者の証言の会」を富恵さんが亡くなった17年7月から引き継いで毎月6日に開催。今年4月14日に新曲「WIN TOGETHER」を配信リリース。