
中居正広氏と元社員の女性アナウンサーをめぐる一連の問題を受けて、フジテレビの親会社、フジ・メディア・ホールディングス(FMH)の個人株主が日枝久氏ら旧経営陣に233億円の賠償を求める株主代表訴訟を東京地裁に起こした第1回口頭弁論が5日、都内で行われた。
原告側で提起人の下野創氏と代理人の河合弘之弁護士が終了後に取材に応じた。口頭弁論では10人以上のメディアと7人の一般傍聴人が見守る中、フジ側の出席者はなく、答弁書では請求棄却を求めたのみ。原告側は意見陳述などを行い、約7分で終了した。
意見陳述でフジ側の一連の対応を非難し、再生を願った下野氏は「傍聴する方が退屈しないように、何もないとすぐ終わっちゃうので。ここに至るまでの思いを簡単に述べさせていただきました」と振り返った。
下野氏は長年のFMH株主で、自身もフジテレビの番組を見て育ち、親しみもあったことから株を保有していたという。フジについては「被害にあった(元社員の)女性との付き合い方、対処の仕方がもう少しあったんじゃないかなと考えていますし、突き放す形が多かったので、どうなのかなという思いがあります」と話した。
裁判は次回は弁論準備手続きとしてオンラインで行われる見込みで、期日は未定。河合弁護士は被告となるフジ側の対応について、被告団も日枝氏ほか十数名と港浩一氏らなど「3つに分かれている」と明かし、計15人全員が請求棄却を求めているという。また、フジ側に訴訟告知をした際について「被告人補助参加をするかと聞きましたが、今のところ回答はありません。さすがにこの事件で被告弁護に会社が回ることできないんじゃないかなと思っています」と話した。
下野氏は中居氏と女性のトラブルを知りながら適切に対応せずに会社に損害を与えたとして、当時取締役だったフジの港浩一前社長ら旧経営陣や、日枝久取締役・相談役など15人に233億円の賠償を求めている。FMHに港前社長らに賠償を求める訴えを起こすよう求めたが、訴えを起こさない旨の回答があり、株主代表訴訟に踏み切ったという。