
スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさん(22)が3日、パレスチナ自治区ガザに人道支援物資を届けるために上船した国際的な草の根非営利団体「フリーダム・フローティラ連合(FFC)」の船上で笑顔で戯れる姿をSNSに投稿し、イスラエルから「阻止するための準備はできている」と警告を受けたと米ニューヨーク・ポスト紙が報じた。具体的な内容には触れていないが、海上封鎖を突破しようとする船団に対して攻撃を行う可能性が浮上している。
10代の頃から気候変動など環境問題を訴える活動を行っているトゥンベリさんは1日、米ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」で知られるアイルランド出身の俳優リアム・カニンガム(64)ら11人の仲間と共にイタリアのシチリア島を出発し、ガザに向けて1週間ほどの航海を開始した。
トゥンベリさんは、「我々は武器ではなく、食料と医療物資を運んでいる」「このミッションは、社会的・気候的正義、解放、脱植民地化を求める社会から疎外された人々が主導する世界的な運動の一部に過ぎない。歴史の正しい側に立つためには、この運動に加わることが私たちの義務であり、まさにその時なのである。パレスチナ解放」などとつづり、パレスチナ国旗を掲げたり、パレスチナの伝統的スカーフ「ケフィエ」を纏って船首に立つ姿などを投稿。地中海での航海を楽しむ様子を公開したトゥンベリさんらに対し、イスラエル国防軍(IDF)は「行動を取る準備ができている」とロンドン・タイムズ紙に語ったと伝えている。
FFCは、5月にも支援物資を積んだ船でガザに向かう途中にマルタ付近でドローン攻撃を受けて船が破損し、ガザ入りを断念している。負傷者はいなかったものの、団体はイスラエルによる攻撃だと非難していた。今回も、出航直後にドローンの追跡を受けていると参加者の一部が報告していたが、ドローンはギリシャ沿岸警備隊のものと見られている。一方で、IDFが船団を監視していることも確認されている。
トゥンベリさんは出発前のスピーチで、「私たちはどんな困難に直面しても挑戦し続ける必要がある。挑戦をやめた瞬間に、私たちは人間性を失ってしまうから」と涙ながらに語っていた。「(ガザに向かうことが)どれほど危険なものであっても、ジェノサイド(大量虐殺)に対して世界が沈黙することほど危険なものはない」と訴えていた。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)