
桜田ひより(22)が28日、主演映画「この夏の星を見る」(山元環監督、7月4日公開)星空観測会イベントで東京・新宿バルト9屋上ヘリポートに立った。風が吹いて、肌寒い中だったが「ヘリポートに立ったこと、人生で初めてです!」と興奮気味に口にした。
「この夏の星を見る」は、直木賞作家・辻村深月氏による同名小説を、商業映画デビューの山元環監督、脚本の森野マッシュ氏が映画化。コロナ禍を背景に、20年に登校や部活動が次々と制限され、緊急事態宣言に直面し、大人以上に複雑な思いを抱える中高生たちの青春を描いた。桜田は茨城県立砂浦第三高校の2年生・溪本亜紗を演じた。
この日のイベントは、自作の天体望遠鏡で制限時間内に星をどれだけ多く見つけられたかを競う「スターキャッチコンテスト」が、物語の中で描かれたことにちなんで行われた、「スターキャッチコンテスト」を作った茨城県の土浦三高天文部の岡村典夫先生も駆けつけ、桜田と水沢林太郎(22)中野有紗は望遠鏡で星を見た。桜田は「まさかの、ヘリポートからお送りするとは…東京の空を見ることが実現できてうれしいです」と笑みを浮かべた。
撮影は、長崎・五島列島、茨城、東京で行われた。桜田演じる亜紗と同じ茨城県立砂浦第三高校に通う飯塚凛久役の水沢は「こんなに高いところからビルを見ることはない。感動しています。茨城の山の中で撮影があった時、夜に見上げた時は、いっぱい星座が見えました」と撮影を振り返った。五島に住む学生・佐々野円華を演じた中野は「五島はナイトロケで真っ暗で、星ってこんなに近いんだと、手を伸ばせば届きそうなほど、近かった」と続いた。
作品の中でも描かれ、発生から5年が経過したコロナ禍を振り返る質問も出た。桜田は「私も、ちょうど高校生。作品作りの途中で自粛になり、明けてからのフェースシールド、マスク越しでお芝居する、不思議な心境を今でも覚えています」と答えた。
水沢は「16歳でデビューし、いざ頑張ろうという誤記、緊急事態宣言。目の前にある仕事がなくなって、奪われたような感じで」と振り返った。そして「5年もたっていて、忘れかけているのに、ふと気付き、不思議な感覚があった」と今の率直な心境を吐露。中野は「まだ中学生。卒業旅行…思い出が全てなくなった。家族と昔の映画を見た。悲しいことだけじゃなく、自分の興味を育てた時間だと感じました」と振り返った。
◆「この夏の星を見る」2020年、コロナ禍で青春期を奪われた高校生たち。茨城・砂浦の溪本亜紗(桜田ひより)や飯塚凛久(水沢林太郎)は、失われた夏を取り戻すためスターキャッチコンテスト開催を決意する。東京では孤独な中学生・真宙が、同級生の天音に巻き込まれその大会に関わることに。長崎・五島では実家の観光業に苦悩する佐々野円華(中野有紗)が、新たな出会いを通じて空を見上げる。手作り望遠鏡で星を探す全国の学生たちが繫がり、夜空に交差した彼らの思いは、奇跡の光景をキャッチする。