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誰も見たことがないコンクラーベの人間模様を描く 「教皇選挙」は結末の読めないミステリー


新教皇の選出過程を描く映画『教皇選挙』が3月20日に公開される。この作品は、ジャーナリストで作家のロバート・ハリスの小説を基にしており、12年前のコンクラーベの裏側を描写している。劇中ではリベラル派と保守派の対立や枢機卿たちの人間模様、男女格差が強調されており、それぞれが教皇の座を巡って謀略を巡らす。リベラル派の主席枢機卿ローレンスは親友のベリーニを支援するが、思うように進まない。一方、保守派のトランブレは疑惑を隠そうとする。コンクラーベは3日間にわたり、予期せぬ結末を迎える。監督は『西部戦線異状なし』のエドワード・ベルガーで、密室劇の緊迫感を巧みに演出している。キャストの熱演も光り、最後には予想外のオチが用意されている。

(C)2024 Conclave Distribution, LLC.

礼拝堂の煙突から白い煙が上がり、新教皇が決まったことが告げられる。

12年前、現教皇フランシスコが選出された時のコンクラーベのニュース映像は、数日間の密室の討議が日本語の「根比べ」に重なり、記憶に焼きついている。

3月20日公開の「教皇選挙」は、この密室内の様子を「ゴーストライター」などで知られるジャーナリストで作家のロバート・ハリス氏の小説を元に描いている。「過去のコンクラーベに関する入手可能な記録はすべて読んだ」というハリス氏があぶり出した聖域は、想像以上に人間くさい。

世界14億人のカトリック教会の最高指導者、ローマ教皇が心臓発作で急逝する。次の教皇を決定するコンクラーベを執り行うのは主席枢機卿のトマス・ローレンス(レイフ・ファインズ)だ。教皇候補となる枢機卿108人が世界中からバチカンに集結し、隔離状態で選出が行われる。

自分以外に投票し、誰かが3分の2以上の票を獲得するまでひたすら投票が繰り返されるのだ。

リベラル派と保守派、人種間に漂う対抗心、そして全員男性の枢機卿たちと準備に奔走するシスターたちとの男女格差…人間社会の縮図が分かりやすく浮き上がる。

リベラル派のローレンスは仲間とともに親友のベリーニ(スタンリー・トゥッチ)をひそかに後押しするが、なかなか票は伸びない。最有力の保守派トランブレ(ジョン・リスゴー)は、亡くなる直前の教皇と面会しており、その時のことを懸命に隠そうとしている。

ローレンスはその秘密を暴こうと教皇の信頼が厚かったシスター・アグネス(イザベラ・ロッセリーニ)の協力を得るが…。

劇中のコンクラーベは3日間に及び、謀略が繰り広げられる。有力となった候補には次々とスキャンダルが発覚、本命不在のなかで、意外な人物が浮上する。

メガホンは「西部戦線異状なし」(22年)で注目されたドイツのエドワード・ベルガー。灰色の背景に枢機卿の緋色(ひいろ)の服装が映え、異様な集団密室劇を際立たせる。

保守派の口汚いののしりをクローズアップする一方で、主役のローレンスの秘めた欲望も垣間見せて容赦ない。突き放したような描き方で、コンクラーベのドロドロを浮き彫りにする。

巧者ぞろいのキャストの間で絶え間なくドラマが起き、最後にはしっかりオチが付く。聖域をのぞく好奇心を満たすだけでなく、密度の濃いミステリー作品に仕上がっている。【相原斎】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「映画な生活」)

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