東京・歌舞伎座で2日、「猿若祭二月大歌舞伎」が初日を迎えた。「猿若祭」は、1624年(寛永元)2月に、初代猿若(中村)勘三郎が江戸で初めて歌舞伎興行を創始したことを記念したもの。
昼の部「きらら浮世伝」は、江戸の出版人、つたじゅうこと蔦屋重三郎を描いた作品で、中村勘九郎、七之助らが出演。12年に亡くなった中村勘三郎さんが37年前に主演した舞台を歌舞伎化した。初演の脚本を手がけた横内謙介さんが、今回、脚本と演出を手がけた。
勘九郎は、貸本業から身を起こし、才能ある絵師を見つけて世に送り出す蔦屋を躍動的に演じ、七之助は、吉原の花魁(おいらん)の悲哀や前向きに生きる姿を演じた。
絵や戯作(げさく)、歌舞、音曲が不必要とされる中、蔦屋と若い才能が一緒になって戦う姿に、観客から大きな拍手が送られた。勘九郎は「(蔦屋重三郎は)刷り物が好きで、才能を見つけ、ヒット作を生み出した名プロデューサー。父とかぶる部分もあります」と話している。
また、昼の部終演後の「節分祭」では出演俳優がそろって豆をまき、中村梅玉が「今年良い1年を迎えられますよう、歌舞伎がますます繁盛しますよう祈念して」と手締めの音頭を取った。
昼の部はほか「鞘當」「醍醐の花見」、夜の部「阿古屋」「江島生島」「人情噺文七元結」。25日まで。