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池松壮亮「本心」盟友・石井裕也監督に製作訴え4年「映画と時代の追いかけっこになった」


映画『本心』の公開記念舞台挨拶が東京で行われ、主演の池松壮亮が共に出演する石井裕也監督との映画化への熱い思いを語りました。物語は2040年のデジタル化が進んだ世界を舞台に、池松演じる主人公が亡き母の“自由死”の本心を探るため、仮想空間で母のバーチャルフィギュアを作るストーリーです。池松は「映画と時代の追いかけっこになった」とし、コロナ禍での難産を経て監督と共に完成させた作品に思いを馳せました。映画は平野啓一郎氏の小説が原作で、劇中の2040年から2025年に舞台を移し、AI技術の進化を背景にした現代的なテーマを探求しています。

映画「本心」公開記念舞台あいさつを行った池松壮亮(撮影・中島郁夫)

池松壮亮(34)が9日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われた主演映画「本心」(石井裕也監督)公開記念舞台あいさつで「映画と時代の追いかけっこになった」と感慨深げに語った

「本心」は作家・平野啓一郎氏の同名小説の映画化作品。今からさらにデジタル化が進み、リアルとバーチャルの境界が曖昧になった2040年が舞台で、池松は石川朔也を演じた。田中裕子(69)演じる、亡くなった母秋子が生前「自由死」を選択していたと知り、その本心を知りたいと思い、仮想空間上に任意の人間をを作る「VF(バーチャル・フィギュア)」の制作を依頼する物語。時代が進むのが速いことも踏まえ、映画では舞台を2025年に前倒しにした。

池松は、コロナ禍だった20年夏に原作と出会い、映画化への熱い思いが込み上げ、困難な映画化を承知で脚本も手がけた石井裕也監督(41)に声をかけた。前日8日に無事、公開を迎え「感無量と言いますか…なかなか言葉がありません」と、まず口にした。そして「石井さんと僕が原作に出会い、公開まで4年、かかりましたけど…もう少し、先の時代かと思ったら、映画と時代の追いかけっこになって、世界的に昨年『AI元年』と言われ、AIが寄ってくる中で、観客の皆さんと共有できてうれしい」と続けた。「なかなか味方はいなかったですけど、石井さんが映画化の実現のために動いてくれました。これだけ多くの方に見ていただけて誇り」と石井監督に感謝した。

石井監督は「この原作が、すばらしいから読んで欲しいと言われて、昨日のことのように覚えています。僕はバーで言われたと記憶していましたけど(池松は)タクシーの中で言ったと」と振り返った。その上で「4年で、ものすごく記憶が曖昧。人間って何だろう、本心って何だろうと…そういう映画を目指した」と続けた。朔也が作ったVFの秋子は、生前のデータを落とし込んでいる故、朔也には本物の母のように感じられるが、そうではない。そうした曖昧な存在を問う作品性を踏まえ「(池松との出会いの記憶が)曖昧なスタートで…良かったなと思います」と語った。

◆「本心」 工場で働く石川朔也(池松壮亮)は、同居する母秋子(田中裕子)から仕事中に電話が入り「帰ったら大切な話をしたい」と告げられる。帰宅を急ぐ途中、母が豪雨で氾濫する川べりに立っているのを目撃し、助けようと飛び込むも重傷を負い1年もの間昏睡(こんすい)状態に…。目が覚めた時、母は亡くなっていた上、生前「自由死」を選択していたと聞かされる。ロボット化の波で勤務先も閉鎖し、幼なじみの岸谷(水上恒司)の紹介で、カメラが搭載されたゴーグルを装着し、現実の分身として依頼主の代わりに行動する仕事「リアル・アバター」を始める。

そんな中、朔也は仮想空間上に任意の人間を作る「VF(バーチャル・フィギュア)」を知る。「母は何を伝えたかったのか?どうして死を望んでいたのか?」などと整理がつかない思いを解消したく、なけなしの貯金を費やして開発者の野崎(妻夫木聡)に「母を作ってほしい」と依頼。「自分が知らない母の一面があったのではないか?」と、手掛かりを求めて、母の親友だったという三好(三吉彩花)に接触。彼女が台風被害で避難所生活中だと知り「ウチに来ませんか」と手を差し伸べ、三好、VFの母という奇妙な共同生活がスタートする。

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