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フジテレビ「なるほど ! ザ・ワールド」の“ひょうきん由美”益田由美が生島企画室入り


凜(りん)としたステキな笑顔でポーズをとる益田由美(撮影・浅見桂子)

1980年代にフジテレビのクイズ番組「なるほど!ザ・ワールド」で「ひょうきん由美」と親しまれた元フジテレビのアナウンサーの益田由美(69)が、芸能事務所「生島企画室」入りすることが6日、分かった。199年(昭52)にフジテレビに入社して37年11カ月勤務、15年(平27)2月に同局の女性アナウンサーとして初めて定年を迎えた。70歳、古希を前にした新たな決意を聞いてみた。【小谷野俊哉】

   ◇   ◇   ◇  

益田は77年4月に契約社員扱いでリポーターとして入社した。81年に正社員となったが、前の世代ではフジテレビの女性アナは8年間の勤務が最長。同年の採用はフジテレビ全体でも、女性アナ4人だけ。同期はフリーアナの城ケ崎裕子(69)、後に制作に転じて「ウゴウゴルーガ」などのプロデューサーを務めた桜井郁子氏、そしてもう1人だった。

入社5年目の81年10月に愛川欽也、楠田枝里子司会のクイズバラエティー「なるほど-」が始まった。世界と日本各地の話題を現地リポートとクイズ形式で紹介する番組。「ネパールに行くタレントがいない」という理由で益田が起用された。「私は、国内専門のリポーターだったんですけど『あっ益田がいたじゃないか』ってね。1人で乗り継ぎ、乗り継ぎでネパールまで行って、先に到着していたスタッフと合流。ロケが終わったら、また1人でインド経由でバンコクに行って日本に帰ってきたんです」と振り返る。

ネットどころか、ケータイ電話もない時代。「本当にドキドキしました。予定のタイムテーブルを作るスタッフも慣れてないし、机の上で『ここで乗り換えるのに40分あるから』って。外国の空港で乗り換えなのに40分ぐらいしか取らなかったりとか、そういうことを平気でやっちゃうわけですよね(笑い)。そういうことが毎回続くんですけど『あいつは1人でクリアして現地に行ってスタッフと合流をした。何を食べさせても大丈夫だった』っていうので、海外専用になってしまいました」と笑う。

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女性アナウンサーらしからぬ体当たりリポートが、視聴者に受けた。83年11月から18週連続で視聴率30%超え(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。最高視聴率は36・4%だった。だが、世界69カ国を回ったツケで、椎間板ヘルニアと頸椎(けいつい)ヘルニアを発症して88年3月で降板、6カ月の休職で治療した。「なるほど-」は96年3月まで続いた。その後は「晴れたらイイねッ!Let’sコミミ隊」など自分で番組を企画して、プロデューサーを務めながら出演して、定年を迎えた。

来年2月11日の70歳の誕生日を前にして、元TBSアナウンサー生島ヒロシ(73)が会長を務める生島企画室に所属する。「自分でも、まさかこの年でと思います。定年退職後は、時々ナレーションの仕事をやってたんですけれども、その時スタッフの女性が『私のおばあちゃんが、益田さんの声が大好きで』って話してくれたんです。とてもいい気持ちになって、もうちょっと声の仕事をしたいなと。そのおばあちゃんも喜んでくれるから。私もおばあちゃんなんですけどね(笑い)。番組プロデューサーに相談したら生島企画室を紹介してくれました。シニアが見て喜んでくださる番組に参加できたらうれしいですね」と話している。

生島企画室は元キー局のベテラン女性アナウンサーが多く所属してる。NHKは内藤裕子(48)、TBSは吉川美代子(70)、フジテレビは寺田理恵子(63)と吉崎典子(62)、テレビ朝日は南美希子(68)と「女子アナ再生工場」の趣さえある。益田は「TBSの吉川さんとテレ朝の南さんは同期です。といっても、当時は今と違って他局のアナウンサーとの交流なんてありませんでした。それに私は、日本にいなかったから」と話している。

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自らも現役アナウンサーとして先頭に立つ生島は「再生工場なんかじゃないですよ。野球では『野村再生工場』とか話題になりましたが、彼女たちは故障したわけでも、能力がないわけでもない。それに“女子アナ”ではなく“女性アナ”と言わないと吉川さんに怒られます(笑い)。ただ、1987年(昭62)の男女雇用機会均等法施行以前から続く『女子アナ30歳定年』『結婚したら女性は家庭に』『子育て優先』などを引きずっている世代でもある。人生100年時代、まだバリバリ活躍できる実力を元々持っている女性アナウンサーたちのお手伝いができればと考えています」と話している。

フジを15年2月で定年退職してからは、主にナレーションの仕事をやってきた。益田は「ちょこっとコマーシャルもやらせていただいたりもしました。『なるほど-』を始めて2年半で腰を痛めて、今が69歳ですから40年以上も腰痛と付き合っています。フジでは4本、自分の番組を立ち上げて企画・プロデュースで出演もして、アナウンサーとしては最後まで肉体派というか体力勝負でした」と笑う。

定年退職して腰をいたわりつつ、コロナ禍もあってのんびりすごしてきた。「すごく好きなことが、たくさんあるんです。もともと好きだった裁縫、編み物、手芸。最近始めたのが陶芸だったり、デッサンだったりで、腰のためにずっとウオーキングをしたりプール行ったり、テニスをしたりっていうことをやっていました」。今は東京から1時間ほどの海と山がある街で、田舎暮らしを楽しんでいる。

数年前にフジテレビ同期だった城ケ崎裕子と一緒に韓国語を勉強し始めた。「遅ればせながら、BTSのファンになりました(笑い)。韓流ドラマもとても好きになって、ドラマで話している言葉がわかればいいなと思って。城ケ崎さんと、それぞれ独学でテレビの講座を見たり参考書を買ったりして、お互い励まし合ってやってるんですけれどねも。城ケ崎さんはニューヨーク支局に2回も赴任しているぐらい、ものすごく英語の達人で語学が得意なんです。だけど私は、何しろ本当に語学がダメで、やっぱり語学って才能があったりするじゃないですか」。

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今年8月から自身のインスタグラムを始めた。「SNSとかは弱いんですが、自分で手作りした作品をアップしています。洋裁で作ったコート、帆布のバッグ、陶芸、デッサン、編み物、ボーダーの服。自分で作ったものを、こうやって写真に残しておくとなんかいい。アルバムになってるっていう感じです」と笑顔を見せる。

◆益田由美(ますだ・ゆみ)1955年(昭30)2月11日、東京都生まれ。77年に早大を卒業して、フジテレビ入社。81年「なるほど!ザ・ワールド」。94年(平6)で「晴れたらイイねッ!」プロデューサー。15年(平27)2月に定年退社。血液型B。

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