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毎熊克哉が桐島聡容疑者演じる、49年間逃亡の連続企業爆破犯 映画「桐島です」主演


映画「桐島です」で桐島聡容疑者を演じた毎熊克哉(右)

毎熊克哉(37)が、連続企業爆破事件に関与したとして指名手配され、49年もの逃亡の末、今年1月に70歳で死亡した桐島聡容疑者を描いた映画「桐島です」(高橋伴明監督、来年公開)に主演し同容疑者を演じたことが12日、分かった。報道、史実にフィクションを織り込んだ社会派エンターテインメント作品。数少ない情報から、手配書に貼られた写真そのものの外見を完成させ、逃亡人生を1人で演じきった。ベルリン映画祭(ドイツ)など海外の映画祭への出品を目指す。

   ◇   ◇   ◇

昨年の「どうする家康」、放送中の「光る君へ」と2作連続でNHK大河ドラマに出演など進境著しい毎熊が俳優として1つの勝負作に挑んだ。「桐島です」は、国内の映画賞を席巻した22年「夜明けまでバス停で」の高橋監督(75)と脚本家・梶原阿貴氏(51)が同作同様、実際の事件に着想を受けて企画。当時の映像、新聞も出てくるが、桐島容疑者が工務店に住み込みで働き「内田洋」を名乗り生き続けた日常に力点を置いた。淡い恋愛模様など逃亡と表裏一体にあった1人の男の青春も描かれる。

オファーを受けた時は「ものまねではないし、ものまねするほどの材料もない。相当、難しいと思った」という。それでも「よく分からない人物をやることが、役者として怖いというより楽しそうだった」と、すぐに挑戦心が芽生えた。

数少ない写真、映像しかない中、桐島容疑者の49年に向き合い、役を作り、苦悩して演じる中で湧き上がってきた感情があった。「もちろん逃げて偽名で生きていたのもあるけれど、仲間が次々、捕まっていく中で置いてきぼりにされている感…強烈な寂しさを感じた」。その思いが、特殊メークもなしに各年代の桐島容疑者の姿を再現させた。

事件が再びクローズアップされた「桐島聡です」と告白し、亡くなっていく終末は、映画でも最大の見どころになる。毎熊は「最後に本名で死にたかったのでは? という意見もありましたが、自分はそうじゃなかったんじゃないかと思った。でも、どちらにも考えを決めたくなかった」。突き詰めた末の境地に達した毎熊=桐島の姿を確認できるのはスクリーンだけだ。

◆連続企業爆破事件と桐島聡容疑者 1974年(昭49)から75年にかけて、過激派「東アジア反日武装戦線」が起こした計12件の爆破事件。同容疑者はグループの1つ「さそり」のメンバーで、75年4月19日に東京・銀座の韓国産業経済研究所を手製の時限爆弾で爆破した爆発物取締罰則違反容疑で同5月に指名手配。今年1月25日に入院中の神奈川県内の病院で突然、告白し同29日に死去した。

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