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アイナ・ジ・エンド、才気みなぎるルーツ「歌うことに抵抗とか恥ずかしさはなかった」


変幻自在に表情を変えるアイナ・ジ・エンド。その表現力に引き込まれ何枚もシャッターを切ってしまいました(撮影・浅見桂子)

聞く者の心をつかむ、魅惑のハスキーボイス。ソロアーティストのアイナ・ジ・エンドが存在感を増している。アニメ映画「劇場版モノノ怪 唐傘」(中村健治監督、26日公開)の主題歌である新曲「Love Sick」(26日発売)をリリース。映像作品の主題歌を務めるのは、今年だけでも3度目だ。作詞作曲に振り付け、演技までこなす。才気みなぎるアイナのルーツに迫った。【玉利朱音】

   ◇   ◇   ◇   

★両親とも音楽関係者

たたずむだけで絵になる鮮烈な存在感。チャーミングな笑顔も魅力的だ。母は元歌手、父は元バンドマン。アイナの身の回りには、幼少期から常に音楽があった。

「お母さんはずっと歌ってるし、お父さんも親戚の集まりでずっとギター弾いてたりして。だから、歌うことに抵抗とか恥ずかしさはなかったです」

天性のハスキーボイスと表現力が持ち味。アニメ映画の主題歌を務めるのは今作が初となる。

「Love Sick」は、アイナと2度目のタッグとなるTK(凛として時雨)のプロデュースで、激しいサウンドの中にはかなさを感じさせるキラーチューンだ。

「TKさんご本人もすごくキーが高い曲を歌ってらっしゃるけど、今作もめちゃくちゃ高かった。やっぱり高いところで勝負するんだなって。改めてそのヒリヒリ感がかっこいい」

映画の舞台は男子禁制の女の園である「大奥」。奇妙な事件に巻き込まれる新人女中2人と、怪異に立ち向かう薬売りの姿を描く。 作品について「色彩がすごく豊かで、かと思えば声優さんのお芝居がものすごく生々しい。アニメなのにアニメじゃないみたいな現実感があって、ほかに見たことがないものでした」と話した。「もし私が大奥に入ったら…ダメそうですね(笑い)。でも、割と指示される側にいるのが好きで楽なんです。ずっと下っ端ならいいかも?」とにんまり笑みを浮かべた。

★母親の反対押し切り

最初から歌手を志していたわけではなかった。4歳からダンスに打ち込み「ダンスで生きていくつもりでした」。高校3年生の時、ダンス仲間からの一言が転機となった。

それまでステージに立って歌う経験などはなかったというが「ダンスの相方みたいな存在の子に『歌の方がいいと思うよ』って、泣きながら言われたんです。マジか、と思って」。切実な言葉に心動かされ「やってみるか」と歌の道に進んだ。

「東京にはいっぱいチャンスが転がってると思ってて」。大阪のクラブでショーガールとして踊った経験もある。そこで「不謹慎ですけど、周りを見て『こうなりたくないかもなー』と思った」と、母親の反対を押し切り高校卒業後に上京。「親に『ボイトレって東京でしかできないらしいよ』ってうそつきました(笑い)」。そこで待っていたのは甘くない現実だった。

★30万円だまし取られ

とにかくお金が足りない。渋谷・109内のアパレルショップをはじめ、さまざまなアルバイトに取り組むも「9割9分怒られてたんです。おつり1000円なのに1万円札を渡しちゃって、レジで過不足を出したり…。クビも続きました」。

家賃を払えず部屋を追い出されたこともあった。

「本当に社会になじめなくて、家がなくなったときは『終わったー』と思いましたね」

それでも、クラブやライブハウスなどさまざまな場所でパフォーマンスを続けた。しかし「ある人からの『レコーディング費用を30万払ってくれたらCD出してあげる』っていう話にだまされちゃって。お金だけなくなってました」。

★BiSHメンバーに

苦しい日々を変えたのは、Twitter(現X)で見つけた「BiSH」のオーディションだった。同事務所のグループ「BiS」(第1期)とは、以前バックダンサーとして対バンをした経験があった。

「BiSのライブがすごく良かったんですよ。アイドルっぽくなくて、曲もめっちゃかっこよくて。その後輩のオーディションやるんだって、これだったら前みたいにだまされないかもって思ったんです」。

オーディションに合格し、15年にBiSHのメンバーに。ダンス経験を生かしてグループ楽曲の振り付けを担い、持ち前の歌唱力でライブパフォーマンスをけん引。21年には全曲作詞作曲を手がけた初のソロアルバム「THE END」を発売し、ソロ活動を本格始動させた。

BiSHは昨年6月の東京ドーム公演をもって、惜しまれつつ解散。同年10月には、自身初の主演映画「キリエのうた」(岩井俊二監督)が公開した。

★岩井監督出演オファー

岩井監督がアイナのライブでの歌声に衝撃を受け、オファー。歌うことでしか声が出せない路上ミュージシャンキリエこと路花と姉の希の2役を演じた。同作で映画での芝居に初挑戦。さらに主題歌含む劇中歌6曲を書き下ろした。映画製作時はBiSHの解散前で、ライブツアーと並行しつつ、夜な夜な劇中歌の制作に励んだ。

「けっこう過酷でした。当時は毎日微熱があって、帰宅したらゲロ吐くみたいな(笑い)。ようやってたな、もう2度とできないなと思います」

熱演が評価され、同作で第47回日本アカデミー賞新人俳優賞などを受賞した。

日々活躍の場を広げ続けるアイナ。これからどんな歌を届けていきたいのか?

「BiSHに入る前はもう誰も見てなかったんで。誰かに届いてくれ、誰か拾ってくれ、頼む! みたいな気持ちしかなかった」と笑顔を見せつつ「でも今は違って。おこがましいかもしれないけど、誰かがアイナの歌で心地よい眠りにつければいいなって、そう思えるようになりました」。

才能と根性、真っすぐな心でチャンスをつかみ続けたスーパーヒロインだ。

▼親交が深い池田エライザ(28)

アイナは、私の話をとてもニュートラルな状態で聞いてくれます。「うん、うん。そうやったんや」。その後、少し間を空けて「エラちゃんは大丈夫?今は元気なん?」と寄り添ってくれるのです。友人が共感してくれると、一定量の安心を手に入れられるのですが「わかるわかる。あるよねそういうこと」という共感よりも先に「それで、エラちゃんの心は大丈夫なん?」とまっすぐ目を見て聞いてくれる彼女の清らかさには得難い幸福を感じるのです。聞いてくれてありがとう、気づかせてくれてありがとう。心の深いところをそっとのぞいてくれてありがとう。おかしな表現になるけれど、疑問に思ってくれてありがとう。

これは私がアイナのたまらなく好きなところなのですが、会話の中に、ずるさがないんです。「合わせておこう、楽しよう」という気を感じないのです。「エラちゃんはどう感じた?どうしてそう思ったの?」。それをしっかり聞いた後に、自分の経験を重ね、なぞりながら話してくれる。ノリはいいけど、ノリだけでは話さない。このスタンスはまねしようとしてできることではないのです。(事実…私もやってみようと思ったけれど、難しかった)これはアイナだけが持つ能力なのではないかと思うほど、簡単ではなかったんです。

◆アイナ・ジ・エンド

12月27日生まれ、大阪府出身。15年~23年まで「BiSH」のメンバーとして活動。18年に「きえないで」でソロデビュー。21年にソロ活動を本格始動。22年のミュージカル「ジャニス」で、ミュージカル初出演で主演を務める。初主演映画「キリエのうた」(23年)役名の“Kyrie”名義でアルバム「DEBUT」発売。今年9月に自身初の日本武道館ワンマンライブ「ENDROLL」開催。

◆BiSH

15年に結成し“楽器を持たないパンクバンド”として16年にメジャーデビュー。21年にNHK紅白歌合戦初出場。23年6月の東京ドーム公演をもって解散。メッセージ性の強い楽曲と型破りなグループ性で人気を集め、千鳥のノブなどファンを公言する芸能人も多数いた。

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