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松鶴家千とせ わかるかなァ わかんねェから2代目襲名「先代の“遺言”なのでやらなくちゃ」


先代の遺志を継ぐ4代目松鶴家家元2代目松鶴家千とせ

<情報最前線:エンタメ>

2代目松鶴家千とせ(64)が、23日に東京・浅草の木馬亭で公演「歌と演芸」を主催する。22年2月に84歳で亡くなった師匠の初代松鶴家千とせさんを継いで、23年1月に4代目松鶴家家元2代目松鶴家千とせを襲名。初代が精魂込めて続けてきた「うたとお笑い」を引き継いだ「歌と演芸」も、今回が通算100回目の公演となる。2代目千とせに名跡を継いだ思い、そしてこれからについて聞いてみた。【小谷野俊哉】

    ◇    ◇    ◇  

23日の「歌と演芸」が通算100回目。先代松鶴家千とせが、月に1回のペースで主催してきた公演を引き継いだ。

「先代が100回まではやりたいと言っていたんです。どうしようかなとも思ったけど“遺言”なのでちゃんとやらなくちゃいけない。先代からお付き合いのある芸人さんが、たくさん出てくださいます。私は歌と漫談。まだまだ芸は未熟者ですけどね」

現在64歳。芸能の道に入ったのは40代に入ってからだ。

「北海道出身で、普通にOLをしていました。知り合いに頼まれて、先代がチバテレビでやっていたカラオケ番組に出たんです。その時は全くの素人で、これ1回限りですよっていう話だったんですけど。先代から電話がかかってきて『もう1回出てくれないかな』って。『いやです、絶対やだ』って言ったんですけどね。しょうがない、これが最後ですからねと2回目に出ちゃったのがきっかけ」

その後、山崩れのあった宮城県へ、ボランティアで行った時に先代と再会した。

「そこで、師匠とデュエットを2曲歌ったんです。それで弟子入りってことになっちゃったんですよ(笑い)。勝手に『今度からこの名前な』と松鶴家都乃局(みやこのつぼね)と名付けられちゃった。私ね、芸能のことに全く興味がなかったんです。松鶴家千とせっていうのも知らなかったんだけど、弟に焼きそばのCMに出ていて『わかるかな~』の人だよって教えてもらって、ああそうだったのと(笑い)」

一世を風靡(ふうび)した松鶴家千とせを、全く知らなかったことが幸いした。

「1度、千とせ師匠に『俺のこと知ってるか』って言われて『知りません』って。『お前変わってる女だな』って。でも、知らないからよかった。だから本当の親子みたいな、お付き合いができました。逆に知ってると、やっぱり遠慮というか。私は、何事も右も左も分からなかったけど、漫談をやれって言われて、いつのまにか見て覚えました。間の取り方を見て盗んだんです。前に一言だけ『頑張ったな。よくやった』ってほめてくれたことがある。あとは口でチョコチョコって、教えてもらっただけ。でも、本当に財産です」

一周忌を前にした23年1月に4代目松鶴家家元2代目松鶴家千とせを襲名。

「私、なりたくなかったんです。だけど、他に『松鶴家千とせを継ぐ』って言ってる方がいるという話を小耳にはさみまして。その方は、松鶴家を継ぐにはふさわしくないと思うような方でした。兄弟子たちと相談しているうちに、先代が私の夢枕に出てきたんですよ。『局、いいか頑張れよ。これからはな、名前を変えるんだぞ、分かったな』と。それで、名前を継げということなのかなと師匠の息子さんにも相談して『名前をぜひ使ってくださいって』って承諾を得ました。放っておいて、メチャクチャになったら困るのでね」

名跡を継いだことで、責任も重くなった。

「つい先日も、びっくりしたことがありました。先代の漫談のネタがあるんですけど、全然関係のない芸人の方がやっていたんです。師匠とは縁もゆかりもない人がパクって、お客さんの前でやっていた。その2日前に、師匠のその芸をDVDで見たばっかりだったんです。だから、そういうところを正すのも、私の役目かなと思っています。本当に一言でも言ってくれれば、逆に芸の継承になるかもしれないわけですから。ちゃんと、これは先代千とせ師匠の元々のネタを使わせてもらってるんだみたいなことをお客さまに断ってね。それを勝手に自分の芸のようにされたから、ムカつきました」

先代が亡くなって2年3カ月、名前を継ぎ1年4カ月がたった。

「大変です。私なんか、まだペーペーで、まあ比べものにはなりませんよね。だけど芸とかじゃなくて、松鶴家という、このお家がねガタガタになっちゃったら困る。だから引退するまでは、頑張ってやって行かないとね。あと浅草の劇場を中心に活動する芸人が多いんですけど、それぞれ所属する協会によって出演できる劇場の制限がある。芸人泣かせですよね。私は、そういう協会には入ってないから関係ないんですけど。そういうのも風通しをよくして行ければ」

芸以上に先代から受け継いだ思いを大事にしている。

「先代が一生懸命やってきたことを見習って、素人みたいな歌い手、芸人さんにきちんとマナーを身につけさせてあげたいなと思います。弟子を取るのは、それどころじゃないんですよ。でも、ちゃんと3代目のことは考えています。ちゃんと先代の直系のお弟子さんがいますので、きちんと後継を育成して行きたいと思っています」

亡くなる4カ月前に先代の弱音を聞いた。

「前の年の10月に木馬亭で『俺はもう終わったんだよ。若い人の時代だな』って。あれ、引退するのかしらと思ったんだけど、体の具合が悪かったんですかね。まだまだ元気だったのに急に亡くなってしまいました。だから、その若い人の時代を作るためにも、先代の遺志を継いで頑張って行きます」

先代の思いに、自分の思いを重ねていく。それが名跡を継ぐということだ。

◆松鶴家千とせ(しょかくや・ちとせ) 1960年(昭35)5月11日、北海道・岩内町生まれ。OL生活を送っていたが、2004年(平16)ごろにチバテレビの歌番組に出たのをきっかけに初代松鶴家千とせと知り合い弟子入りして、松鶴家都乃局。23年1月、4代目松鶴家家元2代目松鶴家千とせ襲名。オリジナル曲は「ふるさとは風に乗って」「じょっぱり夫婦船」など。インターネット放送局「千住Cwave」で「千とせとさくらと京子の午後のティータイム」(第1水曜)、「千とせと京子のすてきなソワレ」(第3水曜)。

▼2代目松鶴家千とせ主催「歌と演芸」 東京・浅草の木馬亭で5月23日午前11時10分開演。出演は2代目松鶴家千とせ、岡島二朗、内川ひろみ、三田翔也、のこ木本、江口信、湯沢勉、松鶴家どら美他。

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