俳優森優作(34)がこのほど、出演する映画「ミッシング」(吉田恵輔監督、17日公開)について、日刊スポーツの取材に応じた。
同作は吉田監督らしい、人間の本質に迫る作品。失踪した娘を必死に探す母・森下沙緒里(石原さとみ)が、夫との温度差、マスコミ報道によるSNSの誹謗(ひぼう)中傷などによって心を失っていく様を描く。森は沙緒里の弟・土井圭吾役を演じる。【聞き手=川田和博】
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-通訳になりたくて英国に留学。なぜ全く違う俳優に
「留学中、アメリカの大学の日本校に編入するのですが、そこで友だちと一緒に演劇の課目を取りました。その発表会で舞台に立ったら、恥ずかしすぎて途中で逃げちゃったんです。最後にちょっとだけ戻るんですけど『なんで自分だけ』という思いがすごく残っていて。それが興味を持ち始めたきっかけかもしれません」
-「悔しさ」が原動力になった
「自分で納得したかったのかもしれません。それで古厩(智之)監督のワークショップ参加しました。その時に高校生役を探していたようで、そう見えるということから監督に『森君、来てみる?』と言われて。エキストラだと思っていたら、一言だけどセリフがある役だったんです」
-そこで手応えをつかんだ
「全く逆で、また絶望して帰ったんです(笑い)。セリフは一言だけ『お前、大丈夫かよ』でした。現場で迷惑をかけてはいけないと思って、自分の想像できる『お前、大丈夫かよ』を何通りも鏡の前で練習していったんです。ところが現場でスタートがかかったら、自分でも聞いたことがない『お前。大丈夫かよ』が出て『はい、カット。もう1回やろう』って(笑い)。だから、やっぱり悔しさが次につながっていったような感じです」
-吉田監督はどんな人
「何か温かいものとか、ぬくもりとか、そういうのって、人間にしかないものだと最後まで信じている人だと思います。極限の状態までその逆を描いた方が、その価値がよりハッキリしますよね。だから、ピュアなもの、温かさやぬくもりを本当に信じている人だと思います」
-極限まで逆を描いているので「そこまで描かなくても」と感じたのかもしれない
「自分が表現したいこと、吉田監督が伝えたいことが少しでも良いから伝わってほしいと思っています。かなり深いテーマを描いていますが、そんな作品はあまりないので。この作品を見た後はディズニー映画でほっこりしていただければ…(笑い)」
-今後、どんな役に挑戦したいか
「なんでもやっていきたい。基本的には楽しくありたいので重いのは…(笑い)。もちろんやりがいはありますけど。基本的には楽しいのがいいです」
-最後にメッセージを
「見てくださった方の隣人だったり、家族だったりへの見方や思いが少しでも温かくなれば、この映画を作った意味がものすごくあると思います。1つの事件を描いている映画ですが、一番近くの人への思いを受け取ってもらえればすごくうれしいです」
◆森優作(もり・ゆうさく)1989年(平元)12月4日、大阪府生まれ。英Brittin Collage Manchesterをへて、University of Sunderlandに留学。13年に映画「『また、必ず会おう』と誰もが言った」でデビュー。15年、映画「野火」で高崎映画祭の最優秀新人男優賞を受賞。169センチ、56キロ。血液型A。