TikTokで人気のシンガー・ソングライター、乃紫（のあ）が25日、東京・渋谷WWWで初ワンマンライブを行った。人気曲「全方向美少女」をはじめ、新曲5作含む全15曲を披露。SNSで姿をみせることはあったが公のステージに立つのも初めて。ファンたちで埋まった満員の会場で、ついにそのベールを脱いだ。
1曲目の「ヘントウタイ」のBGMが流れ、乃紫がステージ真ん中に姿をみせると、ファンからは割れんばかりの大きな歓声が起こった。「今日、私のライブに来てくれたハイセンスな皆さん。楽しんでいってね」と笑顔で語ると、デビュー曲「杯杯」、「東京依存症」などをはじめ、「惑星より愛を込めて」「学園ハイブランド」「月と指輪」「何者」と新曲4曲を次々と投入。MCでは「初めてのライブでこんなにたくさんの人に集まってもらって幸せです。いつも部屋で1人で曲を作っているので、バンドのみなさんと演奏するのも、みなさんの前で歌うのも初めてです。すごい経験をさせていただいています。ありがとうございます」と感謝を語った。
大学在学中の22年に楽曲制作ソフトに触れたことをきっかけに楽曲制作を開始。TikTokに投稿した「作曲してみた」動画などがバズり、素顔を見せないアングルで作業をする様子から「正体不明の女子大生」として話題となって名を広めた。その後、芸能事務所MR8に所属、音楽レーベル、MIJ Quality Recordsから楽曲を出すようにもなり、SNSウケを狙って今年発表した「全方向美少女」はK－POPアイドルら国内外の多くのアーティストがTikTokで楽曲使用するなどして大流行。ビルボードジャパンのネクストブレイク楽曲チャート「Heatseekers Songs」では17日付で初の首位も獲得した。
そんな反響もあり、この日の会場には若い学生の姿も多くみられた。「私にとっても思い出深いものになると思うので精いっぱい楽しんで」と声をかけると、終盤は人気曲「接吻の手引き」や新曲「踊れる街」、「全方向美少女」「先輩」「A8番出口」とたたみかけ会場の熱気は最高潮に。演出の桜吹雪も舞う中「こんな駆け出しのアーティストのライブに来ていただいたみなさんと、支えてくれたスタッフさんに感謝の気持ちでいっぱいです」とあいさつ。最後はMIJ Quality Records所属として初めて出した楽曲「アフターオール」で締めくくった。
終盤にはファンクラブの設立とセカンドワンマンライブの日程もサプライズで発表。東阪ツアーと銘打ち、11月9日に東京・Zepp新宿、同17日に大阪・Yogibo META VALLEYで行う。
乃紫は全曲を歌い終えると、弾いていたギターのピックを客席に投げ入れ、最後の“ファンサービス”。初披露のステージながら堂々たるパフォーマンスをみせ、節目のスタートを切った。【松尾幸之介】
