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中村優一が映画「YOKOHAMA」で初プロデュースと初監督 ヨリコジュン、作道雄との縁から


初プロデュース、初監督に挑戦した中村優一(撮影・中島郁夫)

俳優中村優一(36)が19日公開の映画「YOKOHAMA」で総合プロデュースと監督に初挑戦している。生まれ育った横浜を舞台に不条理な世界を描く3部作「贋作」「横濱の仮族(かぞく)」「死仮面」のオムニバス。「贋作」では出演、「死仮面」は監督に挑戦した。プロデューサー、俳優、そして横浜について聞いてみた。【小谷野俊哉】

  ◇◇  ◇◇

ヨリコジュン監督(51)の「横濱の仮族」は、横浜に住む富豪・横濱権蔵(高山孟久=44)が、火事によって失った家族を取り戻すため、容姿がそっくりな人間を拉致して“仮族”としての生活をスタートさせる。「家族そっくりな誰かに殺してもらう」という願いをかなえようとする様を、全編ワンカットで描いている。

「ヨリコさんならではの撮影方法というか、ワンカットで撮りました。ヨリコさん自らがカメラを持って撮影してるんです。本当に舞台と映画の間というか、舞台を映画で撮っているみたいな作品です。『本当にワンカットで撮っているんですか』って聞かれるんですけど、ガチで僕たちワンカットやってるんです。セッティングも、家族全員でご飯を食べるシーンとかがあったんですけど、全部出演者が自ら準備して撮影に臨みました。結局、本番は2回だったんですけれど、そのうちの最初のワンテーク目が使われたっていう感じですね」

主演の高山をはじめ、家族全員がオカッパ頭だ。

「全員オカッパなんですけれど、高山さんだけガチでオカッパにしていただきました。あとの方はみんなウィッグなんですけど、高山さんの髪形にすごい説得力がある。これを話すと、皆さんにびっくりされるんですよね。舞台あいさつとかでも『あれ、ウィッグでしょう。みんなウィッグじゃないの』って見た人が思うんですけど、高山さんはガチのオカッパです。役者魂というか、そのバックボーンになっているというか」。

主人公は横濱権蔵という名前だが、高山は彫りの深いエキゾチックな顔立ち。西洋風のお屋敷に住む大金持ちだ。

「高山さんだからこそやれる、すごい世界観ですよね。ヨリコさんと高山さんは一番古いというか、もう20年くらいの付き合いなんですよね。なので結構、もう分かりきっているという関係性。だからこそできた、すごい世界観ですよね。僕もですけど、高山さん以外にもヨリコさんの舞台を経験している人たちが多かった。そのヨリコさんへの信頼感というか、発想がこういうユニークなのを知っている。毎回そうですからね。台本を読んで、まず分からないです。多分、ヨリコさんもそれを狙っていると思います。結局、リハーサルとかで『こういうことなんだ』と、ちゃんと分かる。それを通してじゃないと、ヨリコさんの作品って分かったためしが、僕はないです。本当にね、これはすごいなと思いながら、だからこそ飽きないというか、撮影が面白い」

「死仮面」では、初めて監督を経験した。

「まずは、今回協力いただいたスタッフさんやキャストの皆さんの力というか、そこに救われたな、支えていただいたなという気持ちが、終わった後は強かったですね。自分自身、初めてなのにちゃんと乗ってくれるというか、僕の言葉に、僕の指揮に乗ってくれるというところが、すごくありがたい気持ちでいっぱいでした。だからこそ、自分が見たかった画(え)を確実に撮れたというところが幸せでした」

映画は「監督のもの」なのか、「俳優のもの」なのか。

「普段の俳優活動だと、全部を自分で決めすぎて現場に行くと、必ずミスるんです。台本の捉え方が監督と違ったりするので、最近は、あまり考えずに現場に行くんです。なんか頭がカチカチになっちゃうのでね。監督業は逆に、ちゃんと自分で最初から最後まで、映像の流れを決めておかないとダメだというところがある。あとは現場で、俳優の皆さんとコミュニケーションを取りながら。けれども大枠は、ほぼ自分の中では撮りたいものは決まってましたね」

「死仮面」は特殊造形アーティストを題材にしている。特殊造形アーティストの田所が「創作から逃げたい」というメッセージを残して自殺。映画プロデューサーの益田は他殺を疑い、田所がかつて所属していた特殊造形工房の経営者の米村(秋沢健太朗=35)を訪ねる。

「これも秋沢健太朗君との出会いのご縁。秋沢君の所属が、芸能事務所ではなくてヘアメーク事務所。そこの社長さんが秋沢君主演で何本か映画を作ってまして、それに僕も出させてもらってました。それで、この社長さんと一緒に映画を作りたいと思った。特殊メークを、この方にやっていただきたいと思ったのがきっかけです」

最初から特殊メークにこだわっていたわけではなかった。

「まずは題材を特殊メークということではなくて、なんか面白いことが起きるんじゃないかな、と。社長さん自身が、もともと特殊造形とか特殊メークとかもやられている方なので。一緒にやれたらというところから、特殊メークを使いたいと思いました。なので、どちらかというと、物語先行というよりも、人間というか、人とのご縁からですね」

特殊メークを施す仮面も、一から丁寧に人の顔から型を取って作り上げている。

「そこはやっぱり特殊メークアーティストの話なので、そこをちゃんと映像に映すということをやらせていただきました。脚本の作道雄(さくどう・ゆう)監督は映画監督なんですけれど、その監督作品に僕は出させていただいてるんです。それで舞台あいさつで一緒に全国を回っている時に、作道さんに『特殊メークを使って(秋沢)健太朗主演でやりたいんですけど』っていう話をさせていただいていた。それから、あの内容になったっていう感じですね」

シンプルなイメージを作道氏に話して、脚本ができあがってきた。

「僕はキーポイントでしかお願いしてなくて。『ミステリーで、特殊メークを使って、秋沢健太朗の主演で』っていうところだけ。あとは、その舞台あいさつの最後が、東京の池袋シネマロサだったんですね。そこの楽屋にいた時に飾ってあった絵が、ピエロだったんです。それで、ピエロだと思って『ピエロお願いします』って言ったわけです。それで映画のキーポイントがピエロになりました」(続く)

◆中村優一(なかむら・ゆういち)1987年(昭62)10月8日、横浜市生まれ。04年「第1回D-BOYSオーディション」グランプリ。05年日本テレビ系「ごくせん 第2シリーズ」で俳優デビュー。同年テレビ朝日系「仮面ライダー響鬼」。07年テレビ朝日系「仮面ライダー電王」。08年映画「僕らの方程式」主演。12年引退も、14年に俳優業再開。23年映画「妖獣奇譚ニンジャVSシャーク」。177センチ。血液型O。

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