泣きたい時に見たいアニメ
『不滅のあなたへ』
『不滅のあなたへ』は不老不死の少年・フシが、旅しながら世界を巡り、様々な出会いと別れを繰り返すアニメ。
何物にも染まらず真っ白な状態だったフシが、膨大な経験を通して感情の機微を学び取り、人として成長を遂げていくさまに感動!
主人公と関わりを持った者たちの運命も見所で、大人になる願い叶わず命を落としたマーチ、身分違いの恋と醜い顔に苦しむグーグー、離島のスラムで暮らす罪人の娘・トナリの慟哭が、激しく胸を揺さぶりました。
永遠を生きるフシの彷徨を描くストーリーは、次第に複数のキャラクターの思惑が交錯する群像劇の様相を呈していき、時代のうねりに翻弄される人々の、生き死にのドラマから目が離せなくなります。
第1話の完成度が突出しているので、気になる方はまず初回だけでも見てください。
氷原の廃村に取り残された少年と狼の友情は号泣必至です。
『一週間フレンズ。』
『一週間フレンズ。』は、友達のことを一週間しか覚えていられない藤宮香織と、そんな彼女と何度も友達になろうと奮闘する同級生、長谷祐樹の物語。
小学生の時のある出来事がきっかけで、友達の記憶を忘れ続けてきた香織。
クラスで孤立していた彼女に声を掛け、一週間後にはリセットされる思い出を積み重ねていく、長谷のひたむきさが泣かせました。
長谷のクールな親友・桐生や、物忘れの酷い天然・沙希もグループに加わり、香織がだんだん心を開いていった矢先にまた事件が起こり……。
記憶の齟齬が原因のディスコミュニケーション、相手を思いやるが故のすれ違いが切ない本作は、男女の友情の難しさや継続的な交流が促す変化を描いており、視聴後は優しい気持ちになれました。
『すずめの戸締まり』
『すずめの戸締まり』は新海誠監督の最新作にして、『君の名は。』『天気の子』に次ぐ、劇場版アニメーション第三弾。
宮崎県在住の女子高生・岩戸鈴芽(すずめ)が、ミステリアスな旅の青年・宗像草太を伴い、日本各地に点在する「扉」を閉めて回る本作を語る上で、東北大震災は外せません。
幼少期に震災を経験し、母と死に別れた喪失感に苦しむすずめが、自らの過去と向き合いトラウマを克服していくストーリーは、一人の少女の成長を感じさせてくれます。
叔母の岩戸環や草太の親友のイケメン・芹澤明也など、2人をサポートするキャラがほどほどに人間臭く、魅力的に描かれているのも好印象。
好きな人を取り戻すべく原点に立ち返り、覚悟を賭して頑張り抜くすずめの姿は、視聴者に希望を分け与えてくれました。
人間の再生の可能性を信じたくなる、素晴らしい物語です。
『鬼滅の刃』
社会現象を巻き起こした爆発的ヒット作、『鬼滅の刃』。
主人公・竈門炭治郎が、鬼にされた妹・禰豆子を人間に戻すために鬼殺隊入りし、仲間たちと共に鬼舞辻無惨を追いかける本作は、切実なモノローグが泣けると評判。
特に涙腺を刺激するのは各キャラクターが鬼殺隊を志願した動機で、家族愛や兄弟愛に弱い人は、幸せな日常を鬼に壊され、親族と死別した柱たちの過去に号泣するはず。
味方のみならず敵の十二鬼月も深い業を背負っており、遊郭編のラスボス・妓夫太郎と梅の過去回想は、視聴者の涙を誘いました。
無限列車編の煉獄さんの最期は衝撃でしたね……。
刃を交えた敵にも一抹の慈悲をかけるのを忘れない、炭治郎の健やかな優しさが愛しいです。
『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』
『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の主人公は、自動手記人形の少女ヴァイオレット・エヴァーガーデン。
戦争で失った両腕の代わりに義手を付け、手紙の代筆と配達を行っています。
もとはギルベルト大佐に拾われた戦災孤児で、少年兵として戦塵にまみれていたヴァイオレットは、無口無表情で感情表現が不得手。
そんな彼女が自動手記人形の職に就き、様々な人間の心を届けるうちに、大佐の遺言「愛してる」の意味を理解していきます。
最高に美しい純愛ストーリーに、泣かずにはいられません。
依頼者それぞれの背景も重く、戦争の爪痕に苦しむ者、愛する人を失った者が、ヴァイオレットとの対話で癒され再生を遂げる、極上のヒューマンドラマが堪能できます。
『四月は君の嘘』
『四月は君の嘘』は難病を患ったバイオリニストの少女と、悩み多きピアニストの少年を中心にした青春ラブストーリー。
母のスパルタ指導で数々の賞に輝き、正確無比な演奏から「ヒューマンメトロノーム」と呼ばれたものの、現在はピアノが弾けなくなった有馬公主。
失意のどん底にいた彼が天真爛漫な宮園かをりに導かれ、さんざん回り道した末に音楽の楽しさを思い出し、再びステージに返り咲く姿が感動的です。
それぞれの幼馴染を交えた四角関係の行方にも、最後までドキドキしました。
前半に撒いた伏線が後半に収束するタイトル回収も見事で、『四月は君の嘘』の本当の意味がわかった瞬間に、ドバドバ涙がこぼれました。
『窓ぎわのトットちゃん』
2023年冬に公開された『窓ぎわのトットちゃん』は、タレント・黒柳徹子さんの自伝的小説をアニメ映画化した作品。
文化人形のような頬紅をさしたキャラデザ、なんともレトロで可愛らしいですね。
本作は純粋な子供の視点から戦争の残酷さ、時代に翻弄される大人の苦悩を描いており、トットちゃんの友達・泰明ちゃんを襲った悲劇には、お子さんがいる人ならずとも打ちのめされます。
ラスト近くの教会のシーンは、美しさと切なさが相俟って、目が真っ赤に腫れ上がるほど号泣してしまいました。
『夏目友人帳』
『夏目友人帳』はこの世ならざるものが見える高校生・夏目貴志と、妖怪たちとの交流を描いたハートフルファンタジー。
様々なワケあり妖怪たち、それと同じ位個性的な同級生たちと友情を育む主人公の成長が丁寧に描写され、各エピソードのラストにはじんわり涙がこみ上げてきます。
ゆるかわマスコットキャラ、ニャンコ先生の活躍も必見!
早くに両親を失い一人ぼっちだった夏目が、周囲に心を許し笑えるようになった時は、「よかったね」と言いたくなりました。
四季の移り変わりに関係性の変化を織り込んだ、ゆったりした空気感も心地いいです。
『この世界の片隅に』
『この世界の片隅に』は、太平洋戦争中の呉に嫁いだ一般人女性・すずの日常を描いた作品。
ちょっとぼんやりしたドジっ子・すずさんと朴訥な周作、殆ど面識のないまま結ばれた新米夫婦の不器用極まる掛け合いは、初々しくじれったい!
子連れで出戻った義姉の意地悪にめげず、一生懸命家事をこなすすずさんが、徐々に呉での暮らしぶりに溶け込んでいく前半は大変和やか。
だからこそ戦況悪化した中盤以降の展開が辛く、周作・すず夫婦が直面する数々の困難に、胸が押し潰されました。
『最終兵器彼女』
『最終兵器彼女』は最終兵器に改造されてしまった心優しい少女・ちせと、彼女と付き合っているシュウジの話。
もし日本が戦争していたら、最終兵器が女子高生だったら……。
そんなありえない「もしも」と向き合った本作において、罪悪感で心を病んだちせは薬漬けになり、体は機械と融合し、徐々に自我を失っていきます。
並んで歩く時に手を繋ぐのさえ気後れし、ファーストキスすら勇気がでず見送るような初々しいお付き合いと並行で戦争パートが挟まれる為、その凄まじい落差に心へし折れる人が続出。
両想いカップルの幸せを祈る視聴者の心と裏腹に、2人に感情移入すればするほど見るのが辛くなる、涙腺崩壊アニメの決定版でした。
ラストに見える希望の光!絶望を乗り越えた先へ
以上、視聴者の涙腺に波状攻撃を仕掛けてくる、泣けるアニメの傑作を紹介しました。
皆さんの好きな作品はありましたか?
筆者は『この世界の片隅に』のラスト手前、焼け野原に立ったすずさんたち夫婦が、迷子の孤児を拾うところで声を上げて泣きました。
いずれの作品にも共通するのは、人と人の繋がりや心の働きを丁寧に描き、涙の理由に説得力を持たせる脚本でしょうか。
これからもたくさんの泣けるアニメに会いたいです!