女優・水崎綾女(28)、神野三鈴(51)、樹木希林(74)、俳優・藤竜也(75)が27日、東京・新宿バルト9で映画『光』(監督:河瀬直美/配給:キノフィルムズ、木下グループ)初日舞台あいさつを開いた。
視力を失いゆく天才カメラマン・雅哉(永瀬正敏)と、ただたた単調な日々を過ごしていた女性・美佐子(水崎)が、視覚障碍者向けの映画の音声ガイドの仕事を通じて心を通い合わせ、変わっていく姿が描かれる。
本作は現在フランスで開催中の『第70回カンヌ国際映画祭』のコンペティション部門に選出。翌28日(日本時間では29日未明)が結果発表とあって、主演の永瀬と河瀬監督は現地に赴いており、その“代打”で映画の音声ガイドの役を務めた樹木がゲストとして登場。
樹木は今回の登壇の経緯を河瀬監督のような関西弁の口調で、「(音声ガイド役の)ナレーションをやったんですが、あれはタダじゃないですか。これで最後だからと。もう『困った時の樹木希林というのはなしよ』とお断りしました……強引な宣伝部に言われて来ました」と、ウソか本当か分からないギャラの話までぶっちゃけ、観客たちを爆笑させる。
さらに、“舌好調”な樹木は水崎へ、河瀬組での撮影へ「大変だったでしょ。自殺しようかと思わなかった?消えてなくなりたいとは思わなかった?」と、絡みだす。これに水崎は「大丈夫です。必死に食らいついていこうと思ったので」と応じて、樹木も「それだけの値打ちはあったわね」と、評価し場内を沸かせまくることとなった。
イベント中にはカンヌにいる永瀬と河瀬監督をSkypeでつないでスクリーンに映し出すことに。河瀬監督は現地での試写会の反応へ、「街を歩いてても、『すごくよかったです』『すごく温かい気持ちになりました』『私のパルムよ』と言って頂けることがあって。映画を観終わった人たちと一体感になれる瞬間、それがすごく嬉しくて。映画っていうのは一体感なんですよ。人と人が繋がっていく瞬間の出会いを作ってくれるものであって、エンタテインメントの要素もあるけど、生きる上での力になる要素もあって。カンヌであの瞬間を迎えた時にそう感じました」と、しみじみ。
一方、樹木はカンヌ国際映画祭でもしも本作が受賞の機会があった場合へ「カンヌの賞は頂ければ、そんな幸せなことはないんでしょうけど……何か作っている時は、すごく綺麗な心を持って作るんですけど、脚光を浴びた瞬間に人の心は一変するんですよ。変わることによって潰れる人もいるし、花開く人もいる。その人の器量なのよね。永瀬さんはまあ大丈夫ね。河瀬さんはもともとちょっとね。勘違いしているところがありますから(笑)」と、毒舌を放ちつつ河瀬監督へ、「これからもいい映画を作ってもらえれば。私は賞はどっちでもいいと思っています」と、心情を打ち明け、河瀬監督も、「樹木さんに『賞が問題じゃないんだよ』と言って頂けることによって、すごくグッと来るものがありまし。私たち映画人はその思いを繋ぎながら、日本人としても自分としても真摯に映画を作り続けていく先に、『光』があるんだなって実感できました」と、手応えを感じたようだった。
映画『光』は27日より新宿バルト9、丸の内TOEIほか全国公開中!
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