『家呑みよりも、気になる町で独り呑み』今回はサラリーマンの聖地、街録の名所、新橋へ繰り出します。
新橋は駅のリニューアルが進行中。すでに新しい駅のホームがほぼ出来上がり、古いレンガの高架と未来的なホームを見比べると、歴史の境目を感じることができます。一方、変わらない場所がランドマークのニュー新橋ビル。
「憩いの地下街」に創業60余年、最古参の老舗があります。
店名の「ダイヤ菊」とは長野県茅野市にある日本酒の酒蔵の名称。 “日本映画界の巨匠・小津安二郎が愛した酒”としても有名で、小津安二郎の仕事場での日記『蓼科日記』には、ダイヤ菊が度々登場。
脚本家との会話で「ダイヤ菊(一升瓶)100本飲みましたが、まだ映画が完成しませんね」というエピソードが出て来るほど愛飲していました。その「ダイヤ菊」を造る蔵元直送の酒がいろいろ揃うのは、都内でもここだけだそうです。
店内は昭和の雰囲気そのままにL字のカウンター席とテーブル席、奥には少し広めのスペースがあって宴席にはぴったりですが、独り呑みならカウンターがおススメ。小津安二郎映画ゆかりの大女優「原節子」さんの画と写真に見守られながら、ゆっくりテレビが視れます。
喉がカラカラだったのでまずはビール。テーブルのメニューにあったニンニクの天ぷらをお願いしました。説明書きには「千葉県船橋産の無農薬水耕発芽にんにく、芽から根まで丸ごと召し上がりください」とあります。
食べてみるとホクホクしていてとても食べやすい一品でした。さて、喉の調子も整ったところで、いよいよお目当ての「秋限定の日本酒」へ。その名も「秋限定 純米原酒 ダイヤ菊 ひやおろし」をグラスで注文。
初めていただく酒ですが、これがびっくり。その美味しさもさることながら、メニューに書かれていた謳い文句「柔らかな口当たりと純米原酒ならではの、米の甘味と旨味」そのままの味だったのです。
感激しつつ、もう1杯いただくことにして、おつまみも日本酒用にシフトチェンジ。
刺身などの定番はイメージする程安くありませんが、300円均一のメニューも充実。冷やっこ、シュウマイ、長芋千切り、ソーセージ、ちくわの天ぷら等々。独り呑みには十分なラインナップです。
ところで「憩いの地下街」ですが、同店以外にもテレビを設置している店がたくさんあって、様々なスポーツ中継を流しています。お洒落なパブリックビューイングはちょっと苦手という方にはうれしいスポットです。
最後に女将さんおすすめの「ニラ玉」もいただいて大満足。ちなみに秋もそろそろ終わりますが季節限定の酒は他にもあるので、四季折々の味と出逢えるはずです。
店名:『酒蔵 ダイヤ菊』
住所:東京都港区新橋2-16-1ニュー新橋ビルB1-49
電話:TEL 03-3580-5375
営業:月曜日~金曜日、日曜日
定休日:土曜日
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Fujisan.co.jpより