3月といえば、映画ドラえもんでございます。毎年、3月からGWまで上映されております。
昨年は、『君の名は。』『バケモノの子』などをプロデュース、歴史的ヒットに導いた川村元気さまが脚本を担当。さらに、主題歌を星野源さまが担当。子供だけでなく幅広い年齢層から注目を集めました。
タイトルは「映画ドラえもん のび太の宝島」。興行収入でも歴代記録を更新いたしました。普段、ドラえもんの映画を観ない大人もたくさん、川村元気脚本ということで、劇場に足を運ばれたようでございます。
そして、今年はというと…
なんと、昨年、『かがみの孤城』で「第15回本屋大賞」を受賞、今大きな注目を集めている直木賞作家・辻村深月さまが脚本を担当。
その名も『映画ドラえもん のび太の月面探査記』。辻村さんの初脚本作品でございます。今年も、辻村深月さまが脚本を担当ということで、劇場に足を運ぶ大人の方も多いのでは…。多いこと間違いナッシングでございます。
そんな辻村さま、かなりの“ドラえもん”ファンでございます。子供の頃、近所の子供たちを家に招きドラえもんのビデオ上映会を開催。さらに、各章のタイトルをすべてドラえもんのひみつ道具にした小説(『凍りのくじら』)も書かれているほどでございます。
実は辻村さま、以前にも脚本のオファーを受けていたとか。しかし、作り手として参加してしまっては、好きだけではいられなくなると辞退されていたとか。それほどのファンなのでございます。
昨年、脚本を担当された川村元気さまも、ドラえもんの大ファンで、辻村さまと同じような思いから、最初オファーを受けるのをためらったそうでございます。
今回脚本を担当した辻村さまは、この物語の小説も執筆、出版されております。最初、子供にも読みやすいようにと意識して書かれていたそうですが、途中からは、年齢に関係なく読んでくれる人が読んでくれたらいいなと書かれたそうでございます。
もうひとつ、興味深いのはお馴染みのキャラクターの辻村さんの紹介文でございます。辻村さまは、初めてドラえもんを読む読者も想定、ちゃんと登場人物紹介を最初のシーン等でされております。その紹介が秀逸なのでございます。ほんの数文字でキャラクターをしっかりと紹介されているのでございます。
ちなみに、しずかちゃんの場合だと「頭が良くて優しく、そしてお風呂が好きなきれい好きな女の子」…、さすが大ファンでございます。的確でございます。
小説「映画 ドラえもん のび太の月面探査記」(原作:藤子・F・不二雄 著:辻村深月)
辻村ファンはもちろん、小説好きの方も是非、この春、「ドラえもん小説」を初体験されてみてはいかがでございましょう。
(文:絵本トレンドライター N田N昌)
- DIME(ダイム) 2019-02-16 発売号
Fujisan.co.jpより