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腸内環境が人生を変える?パーソナライズド腸活ソリューションの可能性


健康寿命の延伸は、日本を含む先進国が直面する大きな課題だ。8月21日(木)、渋谷で開催されたメディアラウンドテーブル「未来を変える腸内革命」では、韓国発のバイオベンチャー・HEM Pharma Japanが、腸内マイクロバイオームを活用した新たなヘルスケアの可能性を示した。専門家による講演やトークセッションを通じて、マイクロバイオーム研究の最前線と、個々に合わせたパーソナライズド・ソリューションの重要性が語られた。

健康寿命を延ばすカギは“腸内マイクロバイオーム”

講演に登壇したのは、建国大学医学部助教授のキム・ジュウォン氏だ。キム氏は「寿命は延びているが、それが幸せに直結するとは限らない。大切なのは健康寿命をいかに伸ばすかだ」と語り、腸内マイクロバイオーム研究の意義を強調した。

人の体には約100兆個ともいわれる微生物が共生しており、免疫や代謝、さらには脳との関わりにも深く影響している。腸内環境が乱れると肥満や糖尿病、うつ、不安障害などのリスクが高まることが近年の研究で明らかになってきた。

「これまで注目されてきたのは、体内に“どの菌がいるか”という点でした。しかし重要なのは、その菌が何をして、何を作り、どんな作用をもたらすか。代謝産物(メタボローム)の研究が不可欠です」とキム氏。マイクロバイオームを単なる“腸内フローラ”としてではなく、人間と共生するもう一つの臓器として捉える視点が求められている。

データベース構築が社会実装のカギに

続くトークセッションでは、キム氏とHEM Pharma Japan CEOのチ・ヨセフ氏が登壇。ここでも「データベースの構築と、サンプルの量と質の確保」が大きなテーマとなった。

HEM Pharmaは2022年から本格的に腸内データの収集を進め、2025年7月時点で95,000件以上のサンプルを蓄積しているという。この膨大なデータを基盤に、将来的には個々の腸内環境に合わせた科学的な解析やライフスタイル提案へとつなげていくことを目指している。

「マイクロバイオームの分析には、データベースの構築が欠かせません。いかに多くの方から、質の高いサンプルを獲得できるかが課題です」とチ氏。保存方法や検査条件によって結果が変動してしまうため、信頼性の高いサンプル収集と解析の標準化が必要だと指摘した。

世界唯一の特許技術「PMAS」とは

チ氏が紹介したのは、HEM Pharmaが独自に開発した特許技術「PMAS(Personalized Pharmaceutical Meta-Analysis Screening)」だ。これは人間の腸内環境を体外でシミュレーションし、食品やサプリメント、薬などが腸内でどのように作用するのかを再現できるというもの。

「私たちが摂取するタンパク質や炭水化物などの栄養素は、腸内マイクロバイオームの働きなしには吸収できません。PMASは、そうした複雑な反応を実験室で再現することを可能にしました」とチ氏。

この技術はすでに95,000件以上の実験データと組み合わされ、個人に合わせた健康ソリューションを導き出すアルゴリズムの開発につながっている。将来的には、一人ひとりの腸内環境に基づいたサプリメントや栄養ガイドの提供が現実のものになるかもしれない。

日本市場での期待とアムウェイとの連携

イベントの最後には、日本アムウェイ合同会社の社長、イリーナ・メンシコヴァ氏も登壇した。

「健康寿命の延伸は単なる健康の目的ではなく、社会にとって差し迫った課題です。HEM Pharmaと共に、日本をマイクロバイオームを活用したパーソナライズ社会の先進国とし、そのモデルを世界へ広げていきたい」と語り、協業への期待を示した。

アムウェイはこれまでもHEM Pharmaと長期的なパートナーシップを築いており、今後は包括的なウェルネスプログラムの提供を進めていく考えだ。企業の垣根を超えた連携が、日本での社会実装を後押しする可能性が高い。

腸内革命が描く未来

発表会を通じて見えてきたのは、腸内マイクロバイオーム研究が「学術研究」から「実生活を変える社会実装」へとシフトしつつある姿だ。

「マイクロバイオームは、遺伝子と違って変化可能な健康因子です。だからこそ、一人ひとりに合わせた戦略が必要なのです」とチ氏は強調した。

腸内環境を起点とするパーソナライズド・ソリューションが普及すれば、健康寿命を延ばし、より豊かな人生を送ることができる時代が到来するかもしれない。“腸内環境が人生を変える”という言葉は、決して大げさではないのだ。

【HEM Pharma Japan公式サイト】

[https://hempharma-jp.com/]

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