シンプルなデザインと手の届きやすい価格設定でファンを増やしつつある北欧ブランドの腕時計。その中でも、高級ブランドのような高い品質と細部に至るまでこだわり抜かれたデザイン性で「シンプルでオシャレな北欧ブランド」とは一線を画するのが「About Vintage(アバウトヴィンテージ)」だ。2014年に誕生した同ブランドは、品質にこだわりながらも良心的な価格のモデルを世に送り出してきた。
近年ではスイスの高級腕時計メーカー「Frederique Constant」やイタリアセリエAの人気クラブ「ACミラン」など、ジャンルに問わず幅広い業界とコラボレーションを果たしている。これらはAbout Vintageが一貫して掲げるミッションである「MAKE MOMENTS, GIVE IT HISTORY –LET IT BECOME VINTAGE(特別な瞬間を生み出そう。 それを歴史に刻もう。そしてヴィンテージという価値にしよう)」という会社のポリシーが背景にある。
1960 RACING CHRONOGRAPHのリアルレビュー
About Vintageのコラボモデルの中でも特に人気が高いのが「1960 RACING CHRONOGRAPH」。時計開発において重要な産業のひとつだったモーターレーシングが黄金期とされる60年代を彷彿とさせる1本である。当時のクラシックな美しさからインスピレーションを受けた同モデルは、発売開始わずか1週間で完売になったほどの人気モデルだ。
「1960 RACING CHRONOGRAPH」は、2022年10月に発売されたクォーツクロノグラフ。クロノグラフというと基本的に42mmや、ものによっては45mmといった大きいケースが多い。一方、本品は40mmとちょうど良いサイズ感。付けてみると非常に軽く、腕が疲れることはない。特に腕の細い日本人にはマッチしやすいのではないか。
今回選んだカラーは「STEEL / OFF WHITE &BLACK」。白と黒のツートンカラーで通称パンダダイヤルと言われるデザイン。比較的珍しいオフホワイトの文字盤&黒下地の各ダイヤルは視認性良好。反射防止加工済みのサファイアクリスタルが使われていることもあり、パッと見た時にすぐ情報が目に入ってくる印象だ。
付属の革ベルトは思いのほか厚みがあり、これが高級感を演出してくれる。厚みがある分、馴染むまでには少し時間がかかるが、数日でしっくりくる。革製品ならではのエイジングを楽しめるところも一生モノと言われる所以なのかもしれない。
また、パンチング加工がしてあるため夏場でも蒸れることなく使用できたのは非常に良かった。追加で付属してもらったステンレスベルトは重すぎることなく、かつチープさを感じることがないちょうど良い重厚感を演出してくれる。
About Vintageの腕時計における大きな魅力のひとつが、ベルト脱着のしやすさだろう。通常であれば、専用工具を使ってベルトと本体の切り離しをするところだが同ブランドのベルトは全て工具を使わず脱着できるよう設計されている。このおかげでベルトの交換は全く苦にならず、複数の種類を揃えてしまえばその日の気分に合わせて違う表情を楽しむことができる。
発売当初は即完となったほど人気の「1960 RACING CHRONOGRAPH」だが、現在は再入荷されており公式サイトから購入することができる。カラーは今回紹介した「STEEL / OFF WHITE &BLACK」に加え、「STEEL / MIDNIGHT BLUE」、「STEEL / BLACK &OFF WHITE」、「STEEL / OFF WHITE」の4種類が用意されている。1000分の1秒単位で争われるモーターレーシングからインスピレーションを受けた「1960 RACING CHRONOGRAPH」。デザイン性のみならず、高品質なこのモデルは、かけがえのない瞬間を刻み込むというコンセプトを見事に表現した1本と言えるだろう。