
2月27日、今までオンライン展開で活躍してきたブランド専門店の陽吉(はるよし)が、一等地である銀座6丁目にリアル店舗を構えた。
陽吉は2021年にブランド買取事業を開始し、その後3年で年商900億円目前まで成長した企業だ。「持ち運べる資産」である高級時計は価値が経年劣化しにくい点でも注目されている。
赤に染まった「陽吉Store 銀座店」

「陽吉Store 銀座店」の入口には夜になれば映える3D映像が映し出されるディスプレイが設置されており、映像は宝箱から浮かび上がる構図である。銀座一等地に並ぶからには目立たなければ意味がない。そうした思いから、入口から映えを意識している。

一階は赤に染まったインパクト重視の内装に。壁紙は一枚ペラではなく凹凸があり、天井に鏡を張ってあり大きくない店舗だが広く見せる工夫が凝らされて開放感があるのは面白い。
店先にはサードプレイヤーを飾るディスプレイがあり、目玉ではないが面白い時計を飾っている。売れれば入れ替わるのもあるが、今は世界三大時計やダイヤをあしらった「ハリー・ウィンストン」などが並ぶ。

取り扱うブランドは時計だけではない。「エルメス」や「ルイ・ヴィトン」のバッグ、カラフルな「クロムハーツ」のリュックも置かれていた。ほかにも、300万円はくだらないデニムも置かれている。

肝心の時計ブランドは「ロレックス」を中心として、「パテック・フィリップ」や「H.モーザー」ほか、スポーツブランドでは「GMT/BRILLER」や「ロレックスのサブマリーナ」などが並ぶ。どれもこれもお宝でキラキラだ。
2階の商談スペースは一変落して落ち着いたゴージャスな空間

2階の商談スペースは陽吉グループのイメージカラーである白を基調とした落ち着いた空間だ。こちらは高級感や上品さを意識した。照明は「トム・ディクソン」だ。配置された鏡によって、2階も広く感じる工夫がある。

2階にはVIPルームがある。やはり、ここも白を基調としており、清潔感を意識した造りだ。広く見せるための鏡張りだが、ただの鏡張りではなくブランドのロゴを散りばめることでオシャレを演出。ここの照明も「トム・ディクソン」で、間接照明によって高級感を漂わせている。
一番の目玉「2億2000万円超えの高級時計」をお披露目

世界中にたった5本しか流通していない「ESCAPE Ⅱ」を中心として、合計10億を超える時計の円卓騎士が並ぶ。もちろん、購入可能であり、購入すればそのまま腕につけて帰ることができる。

「ESCAPE Ⅱ」は、スイスの時計ブランド「パーネル」とデザイナー・細川雄太氏の手掛ける日本ブランド「レディメイド」のコラボによって生み出された時計だ。
文字盤の下には世界最速の3軸ジャイロトゥールビヨンが2基搭載されており、重力の影響を最小限に抑えている。なんというメカメカしさだろう。

もしも、「ESCAPE Ⅱ」が売れたら、王座に座る時計はなんなのか。吉山社長は武士道精神をイメージした「リシャール・ミルのRM 47 トゥールビヨン」を想定。超高級時計ではあるものの、その数は「ESCAPE Ⅱ」よりもどうしても多い。超レア物である「ESCAPE Ⅱ」を見たいなら、店舗に急ぐべきだ。
陽吉は古物業界の構造から逸脱した空中戦・SNS戦略によって急成長

古物業界は路面店やオークションを通して仕入れるのがこれまでの構造だったが、陽吉は空中戦であるSNS戦略に力を入れることで新参者でも成長できる道を作り上げた。
SNSは写真撮影などにもこだわり、時計屋や業界人だけでなく一般の高校生にも「すごいね」と感じてもらう飽きさせない投稿を意識した。それらの運営を自社ですることでコストカットを実現し、販売価格や買取価格に反映している。

今回のリアル店舗は、空中戦であるSNS展開だけでなく、地に足をつけたい思いがある。そして、古物商としてブランドを取り扱うからには銀座一等地にお店を持ちたいという夢があった。ロマンを売りたい陽吉として、ロマンを追う選択をしたのだ。

そんな陽吉を率いる吉山社長のお気に入りの時計は「パテックフィリップ ノーチラス 5811/1G-001」だ。薄くて嫌気がないので、かしこまった場面でも遊びの場面でも仕事の場面でも使い回せるのがお気に入りポイント。
元々時計は趣味程度に好きなほうだったが、今は好きが加速しており、暇があれば時計を見ている人生になった。

今一番気になっているのは、ジュエリーウォッチである「ロレックスのコスモグラフデイトナレインボー」。吉山社長のなかで高級時計ブームの火付け役になった時計で、元々は700万から800万だったが今は最高一億円の値をつける、虹色の縁でギラギラした超高級時計だ。その成長力をゲン担ぎとしても欲しい、と考えているようだ。