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「なんか面白いことないかな」
そんな退屈を感じたとき、どうしますか?
私たちの趣味嗜好を私たち以上に知るスマホに手を伸ばし、無限のエンターテイメントにアクセスできる時代。しかし、それでも退屈を感じるのは、「慣れ」が原因かもしれません。
好きなものに囲まれた生活は快適ですが、思いがけない出会いこそ、視野を広げる大きなきっかけになります。では、そんな未知なる「カオス」と出会うためにはどうすればいいのでしょう?
『あなたを選んでくれるもの』──偶然に身を任せる冒険
ミランダ・ジュライは、パフォーマンスアーティスト、ミュージシャン、作家、映画監督、女優と、多彩な顔を持つ人物です。そんな彼女の著書『あなたを選んでくれるもの』(新潮社刊)は、まさに”偶然の出会い”に身を任せる冒険を描いたノンフィクション。
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映画脚本の制作に行き詰まり、ネットサーフィンで現実逃避をしていた著者が、突如思い立ち、フリーペーパーに売買広告を出している赤の他人に電話をかけ、自宅を訪問してインタビューをする。そんな大胆不敵な試みをはじめます。
インタビューをもうやめにして脚本を仕上げるか、それとも知らない人たちと会いつづけることでいつか脚本を仕上げるために必要な何かをつかめるはずだと信じてインタビューを続行するか。(中略)たぶんインディー・ジョーンズだったらパソコンの前に引きこもったりはしない。彼だったらたぶん、そんなのはただの現実逃避だという声を無視して電話を取り、<ケア・ベア>人形を一つ二~四ドルで売っているマチルダに連絡する。(『あなたを選んでくれるもの』P149-150)
明確な目的はありません。どうなるか分からないまま、葛藤を抱えつつ他者の人生に踏み込んでいく。その過程で、彼女自身の視点も変化していきます。これぞ、冒険!
予測不能な体験。カナダで「カオス・ハウス」生活
この本を読んで、私自身がカナダで経験した「カオス・ハウス」生活を思い出しました。
私は、海外ボランティアのプラットフォーム『Workaway』を通じて、見知らぬ人の家に住み込み、家事や育児を手伝っていました。その家に暮らしていたのが、自称・元ミニマリストのシングルマザーと3人のキッズ、そして自称・超能力者のおばあちゃん。家の中は靴下だけで体感1000足はありそうなほど物であふれていました。
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ある日、大掃除が突然はじまりました。まずはじめに、真っ赤なトラックに不要な大型家具や雑貨をドンドコ放り込みます。
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トラックで向かった先は「ワイルドなゴミ捨て山」。こちらは政府指定のゴミ捨て山ではあるものの、箱も仕切りもない、切り開かれた山の一角。そこへ積んできた廃棄物を、文字通り“放り投げる”──日本ではなかなかお目にかかれない圧巻の光景。
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ちなみにこの家の主である、シングルマザーはとてもパワフルな女性で、スクールバスを買って改装して、そこを家として暮らしていたそう。たくましいですね。
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別の機会に、山奥の極めて僻地にあるヒッピーコミュニティにも足を踏み入れました。自給自足で、農作物を育て、コミュニティの中で共有して暮らしているそうで、案内してくれた女性の家のトイレは壊れてしまい、彼女は仕切りも何もない野外でトイレを間に合わせているとのこと。うーん、ワイルド。
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さらに、大量のウサギやモルモットを自費で保護する動物レスキューおじさんの家も見学できました。
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過去最高200匹以上のウサギを自宅で育てていたという、動物レスキューおじさんは飲食店にまでウサギを同伴。愛が深い。
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他にもカナダで穴掘りした体験については、こちらの記事を読んでもらえると嬉しいです。
総じて、謎に思うことや予測不能な偶然の出会いに首をつっこむことで知らなかった世界が開けるとともに、通常のありがたみにも気づきました。体力は消耗しますが…。
選ぶのではなく、選ばれる体験
ミランダ・ジュライの本『あなたを選んでくれるもの』も、そんな偶然の出会いの積み重ねから、彼女自身の創作や人生観を見つめ直すプロセスへとつながっています。
私たちは、好きなものを「選ぶ」ことができます。しかし、選ぶからこそ、つい自分の慣れ親しんだ範囲にとどまりがち。その結果、退屈を感じるのかもしれません。
たまには選択するのではなく「選ばれる」側に回り、予測不可能なカオスに身を委ねる。
もし退屈を感じたら、選ぶことをやめてみるのもいいのかもしれないと思いました♪
陽気な人が集まるラテン系のダンススタジオに潜入してみたものの、まばゆい満面の笑みに辛くなってしまった運動音痴のアラサーより。