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みんなの銀行デザインの現在地 vol.1 デザイングループの全体像


みんなの銀行デザイングループは、完全内製化したデザイン体制を整え、サービスデザイン、プロダクトデザイン、コミュニケーションデザインの3チームに分かれて活動しており、16名が所属しています。主にB2C領域のプロダクト改善やコミュニケーション施策に力を入れています。これにはサービスのUI改善やユーザーの利用活性化を図るための戦略が含まれます。また、デザインの一貫性を保ちつつ、銀行らしくない開放的なデザインを目指し、ユーザー中心のプロセスを通じてユーザー体験と事業成長の両立を図っています。さらに、銀行は堅苦しいというイメージを払拭するため、「Playful」というテーマで活動を展開しています。次回以降では、各チームの詳細な活動内容が紹介される予定です。

こんにちは、みんなの銀行デザイングループ グループリーダーの林です。

私たちデザイングループは、みんなの銀行が2021年5月にサービス提供開始した直後から内製化に取組み、完全に内製化して既に3年ほど経ちます。これまで組織全体についてご紹介する機会がなかったので、今回「みんなの銀行デザインの現在地」というテーマで、現在の仕事内容や今に至るまでの過程など、全4回に分けてデザイングループの全容をお伝えしていきたいと思います。

初回となる本記事ではデザイングループの全体像をご紹介し、次回以降は3つのチーム別により詳しい内容をお伝えしていきます。銀行のインハウスデザイナーが普段どのような仕事をしているのか、何か参考になることがあれば幸いです。

デザイングループの概要

はじめにデザイングループの体制や業務内容など概要をご紹介します。

みんなの銀行は立ち上げにあたってアクセンチュアやFjordの力をお借りしていましたが、デザインに関しては3年ほど前から完全に内製化しており、全てのデザインタスクを自分たちで行っています。

そして一年前の2023年10月、デザイングループはサービスデザイン、プロダクトデザイン、コミュニケーションデザインの3チーム体制となり、現在16名が在籍しています。国内の銀行におけるデザイン組織としては比較的大きい規模になります。

仕事の領域は幅広く、「B2C領域」だけでなく「B2B(2C)領域」も、そしてそれぞれで「既存事業のグロース」と「新規事業の創出」に関与しています。

この中でもデザイングループが特にリソースを割いているのが「B2C領域」×「既存事業のグロース」、つまりみんなの銀行アプリを育てていく仕事になります。

その中を更に細分化すると、アプリをより使いやすく改善する「プロダクト改善」とアプリの魅力をユーザーに伝える「コミュニケーション施策」に分けられ、それぞれ上流の企画フェーズから具体化フェーズまで、デザイングループの3チームがお互いの強みを生かし、連携しながら、一気通貫で関与していきます。

以降の章ではこの「プロダクト改善」と「コミュニケーション施策」それぞれにおける業務内容を詳しくご紹介します。

「プロダクト改善」におけるデザイナーの仕事

プロダクト改善は主に「ユニット」と呼ばれる部署横断型のチームに分かれて行っています。「預金ユニット」「決済ユニット」のように機能単位で分かれており、各ユニットにサービスデザイナーとプロダクトデザイナーが参画し、企画や開発のメンバーと一緒に継続的にサービスを改善しています。

ちなみにどのユニットにも属さない横断的なプロダクト改善はデザイングループがリードして進めています。

進め方はケースバイケースで大きく変わりますが、代表的なフローとしては、まずサービスデザインチームが主体となりリサーチを行います。行動データ分析やデプスインタビュー、アンケート、コンタクトセンターに届くVOC分析といった定量定性両面でのユーザー調査はもちろん、他社調査も含めて、状況に応じて様々なリサーチを実施します。

そのリサーチ結果を元に企画チームと一緒に取り組むべき課題を設定します。この時実施するワークショップはサービスデザインチームがリードし、案件の優先順位をつけ、スケジュールに落とし込んでいきます。

通常はUIの改善箇所を見極める流れですが、フェーズによってはリサーチ結果を元に、ベースとなるターゲットやサービスコンセプトを見直すこともあります。

そして設定した課題を解決する施策をプロダクトデザインチームも交えながら検討し、そのままプロダクトデザインチームが引き取り、開発メンバーと連携しながら、ユーザービリティテストを繰りかえしUIを精緻化していきます。

リリースされた後は、その改善が効いているかどうかサービスデザインチームが効果検証を行い、その結果を踏まえて次の施策を考えるといった流れで、ぐるぐるとサイクルを回していきます。

「ユニット」という機能単位で検討することで、クイックに物事を進められる一方、個別最適になるリスクもはらんでいるので、デザインメンバーが横横で連携しながら各ユニットの検討内容について意見しあう時間を毎週設けたり、個別に進めても統一感のあるデザインが実現できるよう、プロダクトデザインチームが中心となってデザインシステムの運用に力を入れたりしています。

「コミュニケーション施策」におけるデザイナーの仕事

一方コミュニケーション施策では、主にマーケティンググループやサービスプランニンググループが中心となって獲得施策やCRM施策を考え、コミュニケーションデザインチームがその意図をくみ取った適切なクリエイティブを制作するというのが主なフローになります。

ホームページやLP、広告バナーのデザインはもちろん、イベント時のツールやグッズのデザイン、Instagramアカウントの運用なども行っており、アプリ以外のすべてのタッチポイントのデザインをコミュニケーションデザインチームが担うことで、みんなの銀行の一貫した世界観を実現しています。また最近はプロダクト改善と同じように、コミュニケーション施策においてもより上流の企画フェーズからデザイナーが参画する機会が増えてきました。

例えばお金のやりくりを学べる「Money Saver」というオウンドコンテンツは、元々デザイナーが持っていた課題感を起点にデザイナー自ら企画立案し、具体化まで一気通貫で行ったものになります。

また、これまで「アクイジション(顧客獲得)」と「リテンション(顧客維持)」でターゲット像が異なりアクティブ率が伸びにくい状況が続いていました。

そこでこれまでサービスデザインチームがプロダクト改善の中で蓄積してきたユーザーデータを元に、特によく使ってくれているヘビーユーザーの特徴から増やすべきペルソナを明確に定義し、そのペルソナを戦略的に獲得し維持するための一連の施策を、マーケや企画のメンバーと一緒に考える取組みを進めています。

このように、デザイングループが持つユーザーデータを起点として、部署横断・ファネル横断で、一気通貫の施策を検討する機会が増えています。

デザイングループのこだわり

みんなの銀行サービスに広く関わるデザイングループですが、大事にしているポイントが2つあります。

1つ目が「徹底的なユーザー理解とその周知」です。

みんなの銀行のミッション「みんなに価値あるつながりを」を実現するためには、その「価値」をユーザー視点で見極めながら具体化していくことが必要です。そのためには、デザイングループがユーザーを理解することはもちろんですが、一緒にサービスをつくり、伝えていくメンバーにも理解してもらわなければ実現できません。

通常業務の中で他部署と積極的にユーザー起点の議論をすることはもちろん、新入社員向けオンボーディングの中に、インタビュー動画を見ながらアイデアを考えるワークショップを組み込んだり、経営会議の中でゲリラ的にインタビュー動画を流すことで、普段ユーザーの声に触れる機会が少ない経営層にも半ば強制的にユーザーに目を向けてもらう機会を設けたりしています。

このように、私たちデザイングループは常に社内の誰よりもユーザーを理解している組織であると同時に、そのユーザー起点のマインドセットを会社の隅々に浸透させていく組織であることを心掛けながら活動しています。

2つ目は「銀行らしくないデザインの実現」です。

銀行は生活に欠かせない存在であるにもかかわらず、「堅い」「難しい」「面倒くさい」という印象があり、苦手意識を持っている人も多いです。
そのような固定観念を払拭し、誰もが親しみを持って使いこなせる銀行ができれば、ユーザーはより豊かで便利な暮らしをおくれるようになると思っています。

みんなの銀行が掲げる3つのバリューの1つに「銀行らしさからの脱却」というものがあります。また私たちデザイナーの指針となるデザイン原則の中にも「Playful」という銀行らしくないワードがあります。これらの方針を体現するのが私たちデザイングループの役割だと思って活動しています。

みんなの銀行はまだ新しい会社で、やらなければいけないことがたくさんあります。限られた予算や条件の中で創意工夫をしながら、成果を出していくというのはとても面白いフェーズであり、デザイナーの腕の見せ所だと思っています。

インハウスデザイナーとしてトライアル&エラーを繰り返しながらサービスを育て、デザインの力でより良いユーザー体験と事業成長の両立に貢献していきたいと思います。

本記事ではデザイングループの全体像をお話しさせていただきました。今後の記事では「サービスデザインチーム」「プロダクトデザインチーム」「コミュニケーションデザインチーム」それぞれのチームがどのように活動しているのか、より詳しく紹介していきたいと思います。乞うご期待ください!

(執筆者: みんなの銀行)

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