現在、バングラデシュの首都ダッカに来ています。バングラデシュはアジア最貧国とも言われていた国ですが、2022年の経済成長率(GDP)は7%とここ数年は高い成長率をみせ発展著しい国。とはいえ観光資源や観光客向けのサービスが少ないため、いまのところ旅人界隈からの注目度は低い国でもあります。
そんなバングラデシュに来たのは、自分のYouTubeチャンネルにアップしている動画がきっかけ。今年に入ってから『BALMUDA Phone とiPhone 13 Proでカメラテスト/Camera Test』という動画の視聴回数が急に増えたのです。動画をアップしたのが2022年の11月なので、2年以上も前。なぜ視聴回数が増えたのかと、アナリティクスをチェックしてみると、検索キーワードとしては『BALMUDA Phone』がトップで、なんとその大多数がバングラデシュから。1月中旬までは90%がバングラデシュからのアクセスでした。
良くも悪くも数々の伝説を残したあの『BALMUDA Phone』がバングラデシュでいったい何が? もう気になって気になって仕方が無く、現地を調査するため日本からバングラデシュまで飛んできたわけです。ちなみにバングラデシュは初訪問です。
最初に訪問したのはPurana Paltanという地区にある『Motaleb Plaza』というビル。ビルの外にはOPPOの大きな看板があり、まさにスマートフォンを取り扱っている雰囲気を醸し出しています。中に入ってみると、ビルの中はほぼすべてスマホ関連のショップ。サムスンやOPPO、Xiaomiといった日本でも馴染みのあるメーカーのショップが多く並んでいます。
ビルの3階くらいまではこういったショップが並んでいて、さらに上層階には修理屋が並んでいました。基本的にメーカーの看板を掲げているショップは提携店のようで、そのメーカーのスマホしか基本的には取り扱っていません。いくつかのショップで「BALMUDA Phoneはある? 日本のスマートフォンなんだけど」と聞いてみても、店員さんからは「ない」との返事。
ちなみにビルの周辺エリアには、やはりスマホメーカーの看板を掲げたショップがいくつかありましたが、やはりここも基本的にはそのメーカー品のみを取り扱っているようで、BALMUDA Phoneは見当たりません。
Motaleb Plazaでの探索はあきらめて、次に目星をつけていたショッピングモール『Jamuna Future Park』へ移動します。Jamuna Future Parkはダッカのシャージャラル国際空港から南東4kmほどの場所にある巨大なショッピングモール。約38万平方メートルと南アジア最大、世界でもトップ30にランクインする広さです。
その4階にあがってみると、フロア一帯まるまるスマホ関連のショップで埋め尽くされています。筆者も世界各地でスマホショップはチェックしていますが、ショップが一ヵ所に集まったエリアとしては世界でも最大クラスといった印象です。
実はバングラデシュ訪問前に事前調査で、このJamuna Future Park内の『TAG -Tech &Gadget 』というショップが、FacebookでBALMUDA Phoneについて投稿しているのを見つけていたので、まずはそのショップへ行ってみます。
するとあっさりと店内のショーケースにBALMUDA Phoneを発見。あの伝説のBALMUDA Phoneが、本当にバングラデシュで売っていました!
店員さんの話によると、このショップにあるのは1台だけ、結構レアだよとのこと。新品や未使用品ではなく中古で、価格1万3000タカ。日本円に換算すると1万8000円ほど。システムに表示されるモデル番号(A101BM)から、ソフトバンク版のようです。
レアでひとつしか無いならと、ショップにあったBALMUDA Phoneを購入。クレジットカードが利用でき、特に手数料なども上乗せされませんでした。ちなみに店員さんによると、人気なのはXiaomiやOPPO、VIVOで、アッパークラスの人たちはiPhoneも好きとのこと。
バングラデシュでBALMUDA Phoneが販売されていることが確認できたので、さらに落ち着いて周辺のショップを見て回ると・・・・・・先ほどの店員さんの「レア」発言はなんだったのかというくらい、あちこちのショップでBALMUDA Phoneを売っています。価格は先ほどのショップとほぼ同じで1万3000タカ前後。なかには5〜6台展示している店もあり、数はホワイトより少ないですが、ブラックの本体カラーモデルも売っています。なかには日本語で製造年月日が書かれたメモが貼り付けられたものも。確実に日本の中古品が流れてきていますね。
それだけではなく、よくよく見るとBALMUDA Phone以外にも日本で発売されていたスマートフォンが沢山売られています。AQUOSシリーズやGalaxyシリーズのほか、Redmi Note 9TやRakuten Handも見かけました。ちなみにRakuten Handは1万4000タカだったので、BALMUDA Phoneより高いです。
BALMUDA Phoneとあわせて、日本からの中古品がバングラデシュへと相当数流れてきているようですね。ただ中国メーカーとは違い、日本のスマホメーカーの看板をかかげ新品を売っているショップは見かけませんでしたので、故障などサポートなどはどうするのだろうと気になるところです。
実はMotaleb Plazaの上層階もそうですし、Jamuna Future Park内、さらにはGulistan Shaheed Matiur Parkの近くにある地下モールGulistan Underground Marketには数多くのスマホ修理やが立ち並んでおり、「保証?なにそれ?」といった感じにスマートフォンを開けてガンガン修理していました。推測するに、中古といっても美品や動作品だけでなく、故障品などもあわせて大量に輸入。美品や動作品はそのまま中古品として販売。訳ありのものを修理屋などでパーツ取り用に使って、修理していくといったようです。
こういったスマートフォンやケータイの混沌とした販売風景は、中国や東南アジアで以前はよく見かけましたが、最近はキレイなショップや正規代理店が多くなり、目にする機会も減っていて物寂しさも感じていました。そんな懐かしの風景に加えて、伝説のBALMUDA Phoneが販売されるバングラデシュ。なかなかにカオスな国でスマホ好きにはおもしろい国でした!
※画像は筆者撮影
(執筆者: 中山智)