こんにちは。デジタルバンク「みんなの銀行」の寺嶋です。エンプロイーサクセスグループ(人事部門)に所属しています。
今回は、みんなの銀行のバンキングシステムを開発するゼロバンク・デザインファクトリーで、80名規模の開発組織全体の課題を抽出し解決するCIO Office(CIO:Chief Information Officer/最高情報責任者)をリードする稲倉直也グループリーダーに、これまでの経験や業務内容、仕事の魅力について話を聞いていきます。
※この記事はオウンドメディア『みんなの銀行 公式note』からの転載です。
“未来を切り拓こう”とするFFGの姿勢が、不安や危機感を抱いていた私の想いとリンクした
Q. これまでの経歴と入社のきっかけを教えてください。
大学を卒業後、地元の地方銀行に入行しました。
最初に銀行の営業店に配属され、その後本部に配属されてからは、システムや営業戦略、経営企画などの部門を複数経験しました。
システムや経営企画の部門ではインターネットバンキングなどの「デジタル×銀行」の領域に携わり、また、金融のWebサービスを提供している企業への出向も経験しています。
出向先では、世の中のFinTechの動きやITの事業会社のスピード感などを目の当たりにして刺激を受けたと同時に、「このままではいずれ、地方銀行はメガバンクや事業会社にFinTechの領域で取り残されてしまうのではないか」といった危機感を抱くようになりました。
一方で、当時在籍する銀行はデジタル化が思うように進んでおらず、今思い返せばですが、それが転職を考えるきっかけだったのだと思います。
当時は銀行の企画部門に所属していたこともあり、他行のサービスや動向をチェックすることも多かったのですが、その中で、ふくおかフィナンシャルグループは業界で一目置かれる存在でした。
その頃は、みんなの銀行のプロジェクトは外部にオープンにされていなかったのですが、ふくおかフィナンシャルグループ傘下であるiBankマーケティングが「Wallet+」という金融サービスプラットフォームを展開していて、銀行のDX化に積極的に取り組んでいるイメージがありました。
同じ地方銀行でありながら“未来を切り拓こう”とするふくおかフィナンシャルグループの姿勢が、銀行の行く末に不安や危機感を抱いていた私の想いとリンクし、転職を決意しました。
PJ発足時の人員は10数名。アプリの設計・要件定義から未経験の領域まで、とにかく何でもやっていた
私が入社した2019年2月月頃は、みんなの銀行のプロジェクトが発足したばかりで、人数規模は10数名、もちろんシステム担当もいないという状況でしたので、システム周りの事を幅広く担当していました。
作ろうとしているシステムの第三者評価に向け、やり取りや調整に始まり、アプリの設計や要件定義といった前職のシステム部門での知見や経験がかろうじて活かせたものから、アーキテクチャの要件定義など全くの未経験の領域まで、とにかく何でもやっていた記憶です。
その中の業務のひとつとして、現在CIO Officeで担っているシステム投資や資金回りの調整も行っており、システムサイドのメンバーが増えるにつれてそちらに比重を移していったという流れです。
CIOの片腕として、開発組織全体のシステム課題を見つけて解決していくチーム
Q. CIO Officeの役割を教えてください。
CIO Officeという組織が立ち上がった経緯からお話すると、少しずつ人員が増え、組織が細分化していくフェーズの中で、宮本昌明CIO(みんなの銀行の執行役員とゼロバンク・デザインファクトリーの取締役を兼務)が開発組織全体を見ることが難しくなってきたこともあり、CIOとその他のグループとの間をつなぐ役割の必要性を、宮本さんと話していました。
CIOの片腕として、「開発組織全体のシステム課題を見つけて解決していくチーム」という立ち位置でCIO Officeは発足しました。
よくCIO Officeの役割を聞かれるのですが、一言で伝えるのは少し難しく、あえて言うのであれば、「エンジニアを支援すること」だと考えています。
サービス企画サイドとシステムサイドで円滑に開発案件を回していくための支援や、経営に近い立場にもいるため、システム投資や経費などの財務状況を把握・管理するという役割もあります。
現在着手しているプロジェクトベースでお伝えすると、サービス検討から開発に至るまでのプロセスの見直しをはかっていて、サービス企画の部門とも協議しながら進めています。
また、現在、人員の内製化計画にも着手しています。
みんなの銀行では、現在も開発の一部をパートナー企業に委託しており、外注している開発業務を内部で巻き取っていく内製化を進めています。採用計画に近しいものですが、これは組織課題、会社の成長のための課題だと捉えており、エンプロイーサクセスグループ(人事部門)と連携しながら進めています。
経営に近いポジションから、会社を俯瞰して見ることができる
Q. 業務の魅力や、やりがいについて教えてください。
開発やサービス企画などに直接携わることは少ないのですが、エンジニアの環境・体制の整備や、改善を通して開発に寄与できることがやりがいだと思います。自分のサポートによって開発の効率性を阻害する要因が解決されると、「やってよかった」と感じます。
また、経営に近いポジションということもあり、経営向けの資料の作成をはじめ様々なことを経験できますし、会社を俯瞰して見ることができるため、どこにどんな課題があるか自然と目につくようになります。一筋縄ではいかないことや時間がかかることも多いのですが、だからこそ課題が解決したときは大きな達成感を得ることができます。
CIO Officeの仕事は一人で完結するものはごくわずかで、各開発側のリーダー、メンバーと議論をしながら一緒に進めていくことがほとんどです。 開発体制の検討にしてもそうなのですが、私たちCIO Officeが課題を提起し、課題の解決方法を開発現場と二人三脚で考えていくというイメージです。
組織の業務改善や組織開発の領域で顕在化している課題、また潜在的な課題をキャッチアップしてその課題解決をはかっていく、プロジェクトマネージャーのような立ち位置が近いかもしれません。
Q. CIO Officeの業務に必要なスキルや経験はありますか?
そうですね、例えば私自身を例にあげますと、前職の銀行ではシステム部門を経験していたため、みんなの銀行のシステム自体のキャッチアップは比較的早かったと思いますし、また、経営に近いポジション・目線で業務に取り組んだ経験があったため、会社全体を俯瞰して見ることができたことがアドバンテージになったと思います。
「システムのことがわかる」、「会社全体を俯瞰して見ることができる」、といったスキル・経験があるとフィットしやすいです。
先述の通り、私もこれまでCIO Officeとして取り組んだ仕事が過去に経験があったことかと聞かれれば、そうではないことのほうが多かったと思っています。
それでも、今申し上げた2つのスキル・経験は現在の業務に活かされていると感じますので、勘所があるだけでも立ち上がりはスムーズになると思います。
また、実態としてはシステム開発会社に近い環境ですので、SIer出身の方やITコンサル出身の方の経験・知見も活かしていただけるのではないかと考えています。
CIO Officeの業務の中にあるシステム投資管理や全体調整については、入社してからでも十分キャッチアップができると領域だと考えており、どちらかと言うと「システム開発への理解」というベースを持つ方のスキル・経験が活かされる場面が多いと思います。
Q. 今後の組織の展望を教えてください。
少し変な表現になりますが、「CIO Officeが目立たない開発組織」が目指す姿だと考えています。
人が働いている以上、調整ごとはどこかで発生するとは思いますが、それが当事者間でスピーディーに解決できる仕組みを作り上げていくべきだと思います。「判断できないものがあるから、CIO Officeが間に立って調整しなくてはいけない」という状態は、開発の現場において無駄な時間や労力がかかっているのだと思います。
その労力ができるだけカットされた環境を作ることが、最終目標です。使い古された表現ではありますが、「縁の下の力持ち」のような存在を目指していきたいです。
(執筆者: みんなの銀行)