現在放送中の連続テレビ小説『らんまん』で、浜辺美波が演じているのが寿恵子。主人公・万太郎(神木隆之介)を支える良き妻として、『らんまん』ファンにはすっかりおなじみだ。
明日8日放送の第115話では、渋谷に待合茶屋を作ることを決意するという。住民同士の助け合いがないことから、人と人をつなぐ店にしたいのだとか。自ら商いを始めようと思い立ち、行動に移すバイタリティたるや、目を見張るものがある。結婚前、和菓子屋“白梅堂”の看板娘として、客相手の狭い世界にいた頃とは想像もつかない成長ぶりだ。
寿恵子は今や3人の子どもの母親でもある。茶屋の新規開業を目指しながらの子育ての大変さは容易に想像がつく。また彼女は、万太郎が植物への探求心の果てに作った借金返済のため、みえ(宮澤エマ)の料亭で仲居として働き、短期間でみごとに返し終えている。
万太郎の研究人生は、この寿恵子なしには考えられなかっただろう。彼女は万太郎の2代目助手として標本の整理を手伝ったり、万太郎のために石版印刷機を自宅に導入したり、家計をやりくりするために大切にしていた「八犬伝」を質入れしたり、借金取り(六平直政)にさらに投資をさせるなど、とにかく献身的だった。
実際は悲壮感あふれる展開になってもおかしくないところ、視聴者がそこまで感じないのは、寿恵子がこれを「試練」「苦労」ではなく「冒険」と最強にポジティブにとらえているからだろう。
いずれにしても、そこには万太郎への尽きることがない愛があるからに他ならないが、一方で体調を崩さないか心配ではある。寿恵子のモデルである寿衛も、同じく渋谷に店を出して家計を救ったものの、1928年(昭和3年)に55歳で亡くなっている。
同作の主題歌『愛の花』は、あいみょんが寿恵子をイメージして作った歌だという。その歌詞を読み解くと、何か予感めいたものが生まれてしまうが、今のところ『らんまん』は、万太郎という愛すべき植物学者を支えた女の一代記の様相を呈している。9月末の最終話まで残りわずか。一体どんなゴールテープを切ることになるのだろうか?
(執筆者: genkanaketara)